企業がデザインを外部委託して、ハイクオリティなデザインのWebサイトを作ったとしても、なぜかユーザーの直帰率が高くなってしまうことがあります。一方で、デザインはイマイチでも、ユーザーが心地よく使えるように設計されていれば、ユーザーの直帰率は下がる可能性があります。

多くのWebデザイナーやWebディレクターは、オンボーディングやページ遷移などの*ユーザー体験(UX)デザインに気をかけますが、昨今では、それ以上に重要だとされている要素があります。それは「スピード」*です。

今回は、UXにおけるページの表示速度について、Googleが新たに発表した検索結果に関する重要な「予告」も踏まえながら、ポイントをまとめていきます。

「ユーザー体験」が悪化する原因

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イメージ画像 / BURST

いくら素晴らしいサービスを提供していても、アプリWebサイトの使い心地が悪ければ、ユーザーはサービスから離れていきます。今ですら*「ユーザー体験」(UX)*という言葉はすっかり定着していますが、それでもUXがないがしろにされているサービスもたくさんあります。

ユーザーがサービスに定着することを*リテンション(定着率)*と呼びます。ユーザーリテンションが低い原因としては、以下のようなものが考えられます。

・オンボーディングに失敗している
・ログインしにくい
・ページレイアウトが使いにくい
・読み込み速度が遅い

他にも数えきれない要素がリテンションに関係してきますが、特に致命的なものは最後に挙げた*「読み込み速度が遅い」*という点です。

2017年にGoogleが公表した調査によれば、ページの表示速度が1秒から3秒になるだけでも、ページの離脱が32%まで上昇し、6秒になれば106%(つまり2倍以上)にまで急激に上がることが分かっています。

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Think with Google

それにも関わらず、大抵ページスピードは他のUXの改善項目に比べると後回しになりがちです。しかし、ページの読み込み速度が数秒変わるだけでも離脱率が減るのであれば、優先的に改善する価値が大いにあるといえます。

表示スピードに左右される3つのパフォーマンス

1. 直帰率

日本では4GやLTEが主流になってきていますが、世界規模で見ると、3Gや2Gを採用している国も依然として残っています。また、日本でも4GやLTE回線が使えない場合は、一時的に3G回線が利用されることがあります。

3G通信では、1.5MBのデータをダウンロードするのに7秒かかると言われており、先ほども引用したGoogle調査に従えば、少なくともページ全体の容量が1MBを超える場合には大きく離脱・直帰することが考えられます。

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WebPageTest

WebPageTestというページの速度を測るサービスでは、「Advanced Settings」(詳細設定)でConnection(接続)を3Gに設定することで、3Gの場合のページの読み込み時間を測定することができます。ページスピードが気になる方はぜひ実際にテストを行なってみましょう。

2. 検索順位

Googleが2018年3月末に出した発表では、いよいよGoogleの検索指標として*モバイルファーストインデックス(MFI)*の使用を開始したことが報告されました。

これまではデスクトップ版とモバイル版でコンテンツ内容が大きく異なる場合、モバイル検索ユーザーに大きな問題が発生する可能性がありました。これからは、順次検索にMFIが採用されるWebサイトが増え、モバイル版のコンテンツインデックスの対象となります。

検索順位はさまざまな要素が複雑に絡み合って評価されますが、その中でもページの「表示スピード」は無視できない要素です。Googleの別の発表では、2018年7月からはページの読み込みに改善が見られないサイトはモバイル検索のランキング要素に少なからず影響するという予告が出されています。Googleでは、この改善のことを「Speed Update」と呼び、Webサイトの運営者に注意喚起を行なっています。

3. リファラル

ページUXを改善するための項目にはさまざまなものがありますが、とりわけページスピードが遅くなると悪い口コミに影響します。

不思議なことに、使いにくい、デザインがイケてないなどの理由であれば、ユーザーはそのままブラウザを閉じるだけです。しかし、ページの読み込み速度が遅いとTwitterなどのSNSの書き込みが増えるようです。