ネイティブ広告はなぜブランドリフトを起こすのか

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飯髙:
ネイティブ広告といえば、ユーザーに態度変容を起こし、ブランドリフトできると言われています。これは、なぜなのでしょうか?

高広 氏:
そもそも「ブランドリフト」とは、ブランドのアウェアネス(気づき)や認知、ブランドへの理解です。そして、ブランドリフトでは「購買意向(Purchase Intent)」までが最も重要なのです。

しかし、認知(知った)→理解(わかった)→購買意向(買いたい)。1回の広告接触でここまでのすべてが起きる可能性が低い。

そして、実際に「買う」という行為になるとき、インターネットで買うのか、実店舗で買うのかというふうに色々なものがあるため、購買意向が高まっても購買までシームレスに起きない可能性が高い。

だから、ここの役割を明確に分けないと正しいマーケティングやブランディングはできません。ブランディング広告をやったからといって、商品の購買に繋がるのかっていう考え方はナンセンスです。

そう考えると、ブランド広告の役割というのは最大限に購買意向を高めること(ブランドリフト)にある。購買意向を高めるためには、商品を理解しなくてはならないという段階があります。その段階をどうやって計測するのか。広告接触者と非接触者でどちらのほうが購買意向が高いのかというパネル調査を行うのが一般的です。

なぜネイティブ広告がブランドリフトを可能にするのかは、ネイティブ広告がその先の「コンテンツ」への入り口のようなものだから。ネイティブ広告は常にコンテンツとセットです。これを博物館とか展覧会を例にしてみるとわかりやすいです。入口に居たときと、展示物に触れて出口にたどり着いたときでは気持ちが変わることを考えたらイメージしやすいと思います。

この博物館などに入ってみたいなと思わせる看板が「ネイティブ広告」で、そこを出るまでというのがコンテンツコンテンツがよければ出口にたどり着いたときにお客さんは、気持ちが変わってるでしょう。ブランドリフトを実現するためには、ネイティブ広告とそれに紐付いたコンテンツ。これらをセットで考えるのがポイントです。コンテンツのないネイティブ広告はそもそも存在しませんからね。

飯髙:
媒体社だったらタイアップ記事をやっているので理解が得られそうですね。自分たちに合うものを書いているので。

高広 氏:
コンテンツに対して誘導するようなネイティブ広告を提供するときは、「こういうコンテンツを作ると良いんじゃないですか?」っていうアドバイスを無償でやるのも良いかもしれませんね。結局のところ効果が上がれば、広告主は出稿し続けてくれるから、アドバイスを無償で提供したとしてもリターンは大きいはず。

飯髙:
大きいですね。枠を販売しながら、コンテンツのアイデアなどを提供するというのは参考になります。

高広 氏:
媒体社のすべての行動、すべての事業開発って広告枠を売るためにやるべきだと僕は思っています。タイアップのビジネスを否定するということではなく、タイアップばかりをやって枠を粗末にするのはどうなの?っていう話です。

飯髙:
とはいえ、代理店や広告主側でコンテンツを作るという形になって、それが媒体社の求めるコンテンツになるかどうかが気になっている方も多いかと思います。

高広氏:
そもそも、媒体社が作りたいコンテンツってどういうものでしょうか?

媒体社の方は「自分たちのメディアにあうコンテンツ」とそうおっしゃることが多いのですが、それを聞かれたときに具体的に自分たちで定義付けできていない。

一方例えば、ferretという媒体に出稿したいと思っている広告主がferretのトンマナと異なる広告を出稿しますかね。彼らはferretの読者が欲しいわけでしょう。

その媒体を読もうっていうモードに入っているお客さんに広告を出したいと考えているわけです。そのモードと異なる広告を出稿しても効果は上がりません。

だからこそ、前提として媒体社は自社メディアに合った広告の判断基準があり、誘導する設計までが確立されているというのはマーケティング戦略として存在するはずなのです。

そこから誘導した広告はおかしな内容にならないはず。もし、最初におかしなことがあっても、運用していく上で媒体に合った広告を掲載できるようになる。でなければ、読者も媒体社も広告主もハッピーになりませんからね。