「フォロワーが抱えるフォロワー」を如何に巻き込めるか?

福間 氏:
インスタグラムを始めとしたアカウントの運用、フォロワー増加施策の相談を結構いただくのですが、僕としてはアカウントの育成以上に、「第三者から如何にレコメンドされるか?」をSNSプロモーションでは凄く大事にしています。

たとえば1万フォロワーのアカウントを育てたとして、1ツイートごとに1万インプレッションだと仮定します。でも、1,000人のフォロワーを持っている10人から拡散してもらえれば、同様に10,000インプレッションを獲得できるんですよね。

「自分たちの情報を拡散してくれる人」を増やすことが、SNSマーケティングの本質だと思っています。「第三者からのシェア」を増やす施策をする方が、流入数を増やすためには大切です。

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金濱 氏:
ファンやフォロワーの価値をどう評価するか?」はとても難しい課題だと思います。

ブランドがTwitterを運営する際に、「フォロワー = 見込み客」と考えてしまうのは危ういかもしれません。

というのも、仮に50万フォロワー集めたとしても、数百万リーチ届くCMと比較するとインパクトを少なく見積もってしまいますよね。

福間さんがおっしゃっていたように、50万人のフォロワーを起点として、次の100万フォロワーに届けられるかどうかが大事かなと。

その他のファンの価値の評価方法としては、コアファンの人からの意見を集めて商品開発を行う、たとえばXiaomi(シャオミ)のように、ファンをピラミッド型に捉えて施策を行う方法もあります。

ピラミッドの上層にはTOPアンバサダーのような待遇を用意して、そうした人たちには商品情報を事前に提供しているんですよね。

ただ、これはリスクでもあります。発表していない製品をファンに教えるため、リークされてしまう可能性もあります。

でも、シャオミのファンはとにかく忠誠心がある故に情報を漏らさないし、「シャオミの製品はこうあるべきだ!」といったフィードバックを事細かく提供してくれるんですよね。

そのTOPアンバサダーと呼ばれる10人との関係性づくりが、シャオミが抱える数千万人の顧客へ還元される。ファンを数だけで捉えるのではなく、*感情を動かす「深さ」*を意識して施策を行うべきです。

インフルエンサーのモチベーションマネジメント

福間 氏:
感情を動かす「深さ」といった場合には、どのようなクリエイティブを作るべきなのでしょうか。またインフルエンサーに熱量を持って取り組んでもらうためのマネジメント方法などは、どのように行うべきですか?

戸高 氏:
クリエイティブの写真に関しては工夫する余地があると思います。

またインフルエンサーの方たちが本当に「ただ拡散したい!」と思えるような依頼の仕方、案件を増やすことが理想ですよね。

インフルエンサー自身が楽しんでくれる状況を作るのが、インフルエンサー施策では肝だと思います。インフルエンサー本人がテンションを上げて取り組んでくれる案件を増やせると、より効果的です。

クライアントと事務所のビジネスサイドでは、案件時に「投稿数」などを取り決める場合が多いですね。例えば沖縄の観光案件があった場合に、インフルエンサー自身が旅行好きであれば、そもそも写真をいっぱい撮ってくれますし、自発的に写真を投稿してくれるケースもあります。

クライアント側からすると、期待以上にインフルエンサーが取り組んでくれるのは有難いですし、インフルエンサー本人も仕事として楽しい。お互いハッピーになれるし、そういう案件だと自分たち事務所的にも嬉しいですね。

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金濱 氏:
仕事をオーダーする担当の方や、プロデュースするエージェンシーの方が「インフルエンサーと関係性を作る意識」があると想定以上の成果が得られることがありますね。

たとえば、とあるブランドが、お金を払わずにインフルエンサーを自社に招待して、誕生日パーティーを行ったという話を聞いたことがあります。インフルエンサーを最高級にもてなす場にするんですよ。

そうした場合に、インフルエンサーは自発的に自分からイベントの様子を投稿したりするんです。それこそ、インスタグラムストーリーとかで動画をアップしてくれたりとか。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)のように、*IRM(インフルエンサー・リレーションシップ・マネジメント)*を意識して、「インフルエンサーと如何に良好な関係を作るか?」をしっかりと取り組むことが大切ですよね。

事務所の方としては、タレントさんの価値を最大限に活かせる案件をやりたいですよね。

戸高 氏:
そうですね。インフルエンサーの興味・関心と商材のマッチングは大切だと思います。

たとえば、とあるインフルエンサーが「このゲームが好きです!」と公言していて、対象となるゲーム会社さんから案件依頼があったとすれば、「インフルエンサーのファン」への影響も大きくなりやすいですね。

ファンから見ても「インフルエンサーの◯◯がゲーム好きだと知っているから、いい仕事来て良かったね。」みたいな感じで捉えてくれるから、自然と応援する雰囲気が生まれやすい。

インフルエンサー本人としても、商材のマッチングが良ければモチベーションが上がりますし、
そうした取り組みがカタログや駅中の広告などSNS以外での露出もあると、「自分も有名になれたかも!」という特別感が生まれることも考えられます。

ファンの子から「この前企業のホームページで見ましたよ!」と言われると、インフルエンサーもテンションが上がりますよね。

依頼する側としても、「あなただから頼みました」という明確な理由があれば、インフルエンサー本人も「やってみて良かったな」と思うようになります。

事務所的な視点ではありますが。「インフルエンサーが熱量高く、本当にお勧めしたくて投稿している」というのは、見ている人にとっては結構わかる。特にインフルエンサーのファンに対しては嘘をつけないものだと感じます。

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