部門間の壁を突破するには?先輩から学ぶ「強い組織」の作り方
部門間の共通認識を持つために必要なものは?
概念や言葉の統一のための工夫
**[primary]富家氏:[/primary]**マーケティング部と営業部が会話するときに、それぞれの言語と文化があり、会話が成り立たない場面があります。外国語を話しているような感覚に近く、その点で、難しさがある場合も。
**[primary]戸栗氏:[/primary]**仰る通りで、両者は使う言葉がそもそも違います。リードと呼ぶ人もいれば、見込み客と呼ぶ人もいる。営業部は比較的アナログな方が多く、マーケティング部はデジタルに強い印象です。
クライアント事例ですが、マーケティングを始めるときに、営業(特にインサイドセールス、マーケティングに近いポジションにいる営業)を集めて社内教育を行い、部署間の言葉の壁を乗り越えた話を聞いたことがあります。
例えば、マーケティング用語で、ペルソナ・カスタマージャーニー・マーケティングオートメーションという単語を、予め理解してもらわないと、部門間での軋轢が発生してしまうので、積極的に会社で毎日や週1度勉強会などの機会を設ける、という方法は効果があると思います。
**[primary]酒居氏:[/primary]**確かに富家さんが仰る通り、何かを始めようと思っても、その概念や言葉が統一されていないと、双方、理解し合えないまま、話が進みません。デジタルマーケティングとはいえ、共通認識をもつための努力は必須です。
**[primary]戸栗氏:[/primary]**理解してもらうためにも、わかりやすい例えは必要です。先ほど話したクライアントは、サッカーのポジションで例えてわかりやすく共通認識をもてるように工夫していました。自分たちの会社の立ち位置や、職責に合わせて、何をしているかを誰でも理解のできる言葉に落とし込む。そういった努力をされています。
**[primary]酒居氏:[/primary]**そういった細かな工夫の積み重ねで、部門間の認識は変わってきますね。
0→1 マーケティング組織をいかに作り出すのか
「19のチャネル」を一通り実施し、効果検証を繰り返す
**[primary]岩熊氏:[/primary]**お客さまをどうやって獲得していくかと考えるなかで、自然発生的にマーケティング活動を開始しました。最初にやったことは、トラクションチャネルの開拓。
『TRACTION』は、スタートアップがお客さまを獲得するための19のチャネルが紹介されており、始めにプロダクトを売る時に、「どのチャネルが適切なのか」「どこに適したマーケティング組織を構築していくのか」というPMF(プロダクトマーケットフィット)の段階でするべき内容が書かれています。
弊社では、この書籍に書かれている19のチャネルを愚直に一通り行いました。粗くてもいいので、「このプロダクトはどうやって広めていくのが適切なんだろうか」という効果検証をしていったというのが、0→1でした。
主に手を動かしていたのは2人で、どちらもマーケティングのスペシャリストではありません。クラウドサインの当時の勝ち筋(顧客獲得はこうやって進めていく)までは素人が行っていました。そこから役割を分けて、専門の人をアサインし、進めていきました。まとめると、0→1は、マーケティングの素人が「19のチャネル」をしっかり効果検証していく、です。
**[primary]酒居氏:[/primary]**具体的にされたことは?
岩熊氏:「19のチャネル」の中には、
・オンライン、オフライン広告の配信
・展示会の実施
・紹介
・アフィリエイトプログラムをする
などさまざま記載されており、当時弊社では、オフライン施策や紹介による営業などが意外と効果がありました。例えば、当時上場した後だったため、証券会社経由でのお客さまの紹介は効果が高かったです。
今はフェーズが変わっていますが、当時は日本に電子契約市場がそもそも大きなものがなく、市場を作るにあたり、大手の法務の方と一件一件しっかりお話をすることで少しずつ認知してもらう、という泥臭い方法がとても効果的でした。
**[primary]酒居氏:[/primary]**今までにないものを市場創造型でやられるビジネスモデルだと、最初から顕在的なニーズがないなかで、オンラインだけで伝えたり、インバウンドから醸成するのは難しいです。あえて潜在的にニーズを持った人がいるであろうオフラインの場で、まずは展開してこられたんですね。
他社で、マーケティング担当者を最初からアサインできないケースは多いのでしょうか?
**[primary]戸栗氏:[/primary]**そうですね。大企業であれば、40〜50人の事業部であれば、1〜2人ようやくアサインできる、といったイメージです。基本的には日本の企業は営業の方が社内での声が大きく、マーケティングに力を入れていないケースが多い印象です。そういうお客さまに対しては、コンサルティングの立場から、部分的に仕事を切り出し外注することをオススメしています。
ただ、外に仕事を切り出すと、時間やコストがかかります。最終的には内製するために一時的に外注し、そのノウハウを社内に蓄積させていき、徐々に内製の幅を広げていくことを薦めるケースが多いです。
**[primary]酒居氏:[/primary]**一旦アウトソースすることで、そこでのノウハウを学び、社内に落とし込んで行くということでしょうか?
**[primary]戸栗氏:[/primary]**はい。その際には、なるべく早いタイミングで、フルタイムでマーケティングをできる人をアサインする必要があります。可能であれば、デジタルをやる場合は若手が良いです。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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- オンライン
- オンラインとは、通信回線などを使ってネットワークやコンピューターに接続されている状態のことをいいます。対義語は「オフライン」(offline)です。 現在では、オンラインゲームやオンラインショップなどで、インターネットなどのネットワークに接続され、遠隔からサービスや情報などを利用できる状態のことを言う場合が多いです。
- インバウンド
- インバウンドは英語で「入ってくる」という意味で、マーケティングの分野ではプル型(受け身)のマーケティング手法として使われます。
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- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
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