データの蓄積・分析は機械に、仮説・検証は人に任せるのが理想

堀内氏:MUJI passportのように自社でプラットフォームを作れればいいんですが、自社で作れない場合は、KAIZENさんやantenna さんとか、または他のメディアさんも含めてどんどんABテストをやっていったほうがいいんですか?*

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奥谷氏:
ABテストとかマシンラーニングでいうと、僕がMA(マーケティングオートメーション)ツールに求めるのは、絵を書けること。ばくっとABテストができますよ。それをやって成功したとか失敗したのは1ショットじゃ意味がないです。

何回もやるんですが、一方でABテストにも限界があると思うのは、担当者が「わかった」と言っても3ヶ月後、実はわかってないことがわかってくる。ABテストは顧客セグメントを小さくすることなんで、大企業になるほど非効率なことをやってることになるんですよね。そこで、わかったということをいかにマシンラーニングに覚えさせるかということ。

例えば、ABテストを担当してくれているA君がいたとします。でもA君が人事異動などでいなくなったときに、B君が来て全く違うことをやり始めると困るんです。そこでマシンラーニングがABテストの結果をとっておく。

すると1ショット×Xのデータを蓄積できるので精度があがる。
そういうベースがあると、新しいマーケティングオートメーションツールができていくのかと思いますね。

堀内氏:ABテストの結果すらも学ばせたほうがいいということですね。

奥谷氏:
そうです。
統計的に優位じゃなくても、もし機械が一定のアルゴリズムで考えた結果がたまっていくと、例えばこれはこの間たまたま成功したデータと類似していると。時間的な変数とか、女性がよく見ているとか、じゃあ女性向けにこういうクリエイティブを出せばいいというのがわかってくればいいわけです。

願わくば、そういうのが10本出てきて、その中から確率が高いもの、売上がたかいものからためしていく。それで一週間やってみて、うまくいくもの、いかないものを分析するんです。

オフラインの情報の重要性

奥谷氏:
ネットストアのペルソナ分析をずっとやってた時があったんですけど、ペルソナは化粧品と調味加工が買われる傾向が強いんですよね。ただ店舗はどうなっているかわからない。売り場が違うから。でも店舗でも、かごを見るとそれらの商品が入ってたりするんですよ。その感覚は忘れがちになります。

実はオフラインから感じられることがたくさんあるけど、それを全部人間がやるのは限界に近い。
そこで自動化の精度があがれば、より仮説を作りやすくなる。人間はひたすら仮説を作り、それ以外は自動化できるのが理想ですね。

そもそものプロダクトが良いものということが大前提

奥谷氏:
(antenna* さんのようなメディアを使うときは)もともと持ってるコンテンツが重要になってくるんですよね。もちろん数字も重要ですが、ある程度の定性性が必要。

antenna* さんにやってもらいたいのはブランドジャーナリズムのところなんで、企業のホントのとこが女性に見てもらえるので、うちでいうとフットカバーの地味な開発秘話というところもやってもらったりしましたし。

そのうえで、インプレッション保証超えた、コストも下回った、じゃあこれは使えるよねっていう話になってきます。

ガリガリやるABテストは自社内でやることで、こちらはペイドでやってるんで、どれだけもってこれるのか、どういうコンテンツが効くのかというのは、マーケターの数字的な嗅覚と定性的なもの両方必要で、当てはまるものを読み解くのは結構難しいですよね。

堀内氏:これは結構プレッシャーですね…(笑)

高木氏:
まさしく、どういうコンテンツがうけるんでしたっけというのはすごく大事だと思ってます。
ためになるものじゃないとそもそも読まないんですよね。

パーソナルスペースであるスマホにおいて、更にニュースと混在してるコミュニケーションにおいて、最適なコンテンツのあり方っていうのは我々のなかでためていかなきゃいけないし、それをフィードバックしていけるようにしていかなきゃけないですね。

奥谷氏:
まあプレッシャーとは言いましたが、そもそも企業側がなにかネタがあるからantenna* さんにストーリーをリライトしてもらって出すわけで、持ってるものがダメならダメなんですよね。マーケターのセンスというか、これはユーザーに伝えれば勝てるという、精度の高い妄想力をもたないといけない。

いかに精度の高い妄想力を持ってコンテンツマーケティングに踏み込むか。
で、小さな成功体験を繰り返していって、antenna* さんでこういう特集を組んでみようという。
使う側が考えないといけない。責任がどっちにあるかというと、ブランド側ですから。

高木氏:
コミュニケーションの切り口までズバッと言っちゃうとマーケターさんの仕事なくなっちゃうんで、そこはお手伝いできればいいかなと思います。