Web上の広告にはさまざまなものが存在し、目的に応じて使い分けることが重要です。検索上位に表示させるものから、ビジュアルでの訴求が得意なものなど多彩です。中でも、特に視覚的なアピールが得意なものが、ディスプレイ広告です。
ディスプレイ広告は、インターネットに触れたことがある人であれば一度は見たことがあるでしょう。

私たちの生活に身近なディスプレイ広告ですが、いざ運用側になってみると意外に知らないことが多いことに気づくでしょう。そこで今回は、ディスプレイ広告について詳しく解説します。

目次

  1. ディスプレイ広告とは
  2. リスティング広告との違い
  3. ディスプレイ広告のメリット
  4. ディスプレイ広告のデメリット
  5. ディスプレイ広告の事例
  6. ディスプレイ広告の種類
  7. GDNとYDA(旧YDN)の主なターゲティング機能
  8. ディスプレイ広告で成果を出すポイント
  9. ディスプレイ広告でビジネスを拡大しよう
  10. 関連記事

ディスプレイ広告とは

ディスプレイ広告がどのようなものかを簡単に見ていきましょう。ディスプレイ広告とは、Webサイトなどを閲覧する際に、画面の枠内に表示される広告のことを指します。画像がメインとして使われ、イメージを伝えるのに特化したネット広告です。

単純に広告を掲載するだけでなく、ユーザーの興味に合わせたアプローチができることも魅力のひとつです。1回の表示だけでなく、複数回の表示をすることで徐々に関心を持ってもらうこともできます。

図6-2_ディスプレイ広告.png

リスティング広告との違い

リスティング広告との違いとはなんでしょうか。リスティング広告ディスプレイ広告は、並べて活用されることが多い広告なので、両者の違いを明確にしておきましょう。

掲載場所

1つ目は、掲載場所の違いです。ディスプレイ広告がWebページ上のどこかに表示されているのに対して、リスティング広告はサイトを検索した際の検索結果のみに表示されます。

リスティング広告はキーワードをベースとして広告を打っていくので、選択するキーワードとそれに適したコンテンツを合わせて発信することが重要となります。対してディスプレイ広告は場所を選ばず掲載できる側面もあり、自由度が高い広告と言えるでしょう。

参考:押さえておきたいWeb広告の基本!7つの種類と特徴について

リーチできるユーザー層

リーチできるユーザー層も異なり、ディスプレイ広告は多くのユーザーの中の潜在層にアプローチすることが可能です。イメージを使って訴求できるので、まだ商品について認知していないユーザーを刺激するのに適しています。

一方、リスティング広告はキーワードをベースに広告を打つので、悩みが明確になって検索をしている顕在層に効果的と言えます。より具体的な答えを求めている場合が多く、成約までの距離が近いのが特徴です。

図_ディスプレイ広告とリスティング広告.png

参考:リスティング広告とは~OLSの特徴やメリット、やり方を一挙公開!

費用感

広告を出稿する際には予算が重要です。あらかじめ決められた予算の中で最大限の効果を出すためには、どの広告がどれくらいの費用感なのかを確認しておくことが必要でしょう。リスティング広告ディスプレイ広告の間にも、費用感の違いは存在します。

●リスティング広告は成約に結びつきやすい分、単価は高め

両者はクリック単価が異なるのですが、比較的高単価な傾向にあるのがリスティング広告です。キーワードの競合が多くなれば、比例して広告費も高くなっていきます。より成約に結びつきやすい側面はありますが、予算がとれない場合は注意が必要です。

●ディスプレイ広告は潜在層向けのため、比較的安い

その反面、ディスプレイ広告単価が比較的安く、多くの人にアプローチできます。目的に合わせて両者を使い分けることが求められるでしょう。

ディスプレイ広告のメリット

実際にディスプレイ広告を使う場合には、より詳しい理解が必要です。そこで、メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。まずはメリットから確認し、ビジネスを拡大するためのヒントをつかみましょう。

ユーザーの関心に合わせたアプローチ

ディスプレイ広告ターゲティングが詳細に設定可能です。そのため、想定している顧客層にアプローチしやすいというメリットがあります。一度表示してクリックされなかったとしても、何度も表示することで関心を引くこともできます。

Googleを活用した広告であれば掲載範囲も広いため、より多様な見込み客にアプローチできるでしょう。

ビジュアル重視の訴求が可能

ディスプレイ広告の魅力のひとつとして、ビジュアル重視の訴求が可能なことがあります。まだサービスを知らない人に、視覚的なインパクトを活用しアプローチすることが効果を生む可能性があります。

ディスプレイ広告は、テキストのみのリスティング広告とは違ったメリットがあるので、成約や認知へのきっかけをつかむためにも役立つでしょう。

比較的費用が安い

また、リスティング広告と比べて、広告出稿コストが低いこともメリットです。費用が安いということは、同じ予算の中でより多くの人にリーチできるということです。ターゲットとしている層によりますが、商品のイメージを定着させるためにも活用できるでしょう。

必要なコストが低いことから、試行回数を増やし効果を高めていくことも可能です。リスティング広告など他の広告と併用してみたり、YouTube広告で動画を配信するなど、さまざまな方向から運用していくと、より良い効果を得られるはずです。

図_ディスプレイ広告のメリット・デメリット.png

ディスプレイ広告のデメリット

低予算で多くの人にリーチできるなどメリットも多いディスプレイ広告ですが、デメリットも存在します。デメリットは、活用する上で必ず確認しておく必要があります。適切な使い方をするためにも、運用の目的とデメリットを照らし合わせましょう。

リスティング広告よりCVRが低くなりがち

ディスプレイ広告は、多くのユーザーへの認知拡大には大きな効果が見込まれる一方、購買意欲への即効性やCVRが低いと言われています。
幅広いユーザーからにアプローチできる反面、潜在層も多く含まれるためCVRが低く、入札単価が安くでも結果的にコンバージョン単価が高くなる傾向があります。

効果測定が難しく広告費の消化ペースが速い

ターゲット層の広さが、効果測定を難しくさせる側面もあります。それぞれのターゲットへの絞り込みを行う場合に、画像やテキスト、その組み合わせ方などの改善が多くなる可能性があるのです。どの要素がコンバージョンにつながるかの特定に時間がかかりやすいというデメリットがあります。分析などでは、広告効果測定ツールを検討してみても良いでしょう。

ディスプレイ広告は、多くのWEBサイトに表示され、クリックされやすい位置に表示される広告のため、クリック率は高くなります。しかし、見込み客以外のクリックが増加することもあり、広告費を無駄にしてしまうこともあります。

印象が薄くなる傾向がある

ディスプレイ広告は多くの人にリーチできますが、実生活上で印象に残っているディスプレイ広告はあるでしょうか。多くの広告が記憶から消えていることに気づくはずです。つまり、ディスプレイ広告の多くはリーチしても、印象が薄く成果に結びついていないことがわかります。

広告の目的はビジネスを拡大することです。ディスプレイ広告で成果を上げたいのであれば、インパクトが強いものを活用したり、長期間掲載し続けたりするなどの施策を打っていくことが重要になります。

クリックしてもらわなければ成約は難しい

広告を掲載してもクリックされなければ意味がありません。ユーザーがクリックするのは「興味があること」が前提ということを忘れず、クリックする理由が生まれる運用をしていきましょう。

認知を拡大することが目的であれば、長期の掲載が効果を生むこともあります。目的に合わせた使い方を見極めていくことが重要です。

ディスプレイ広告の事例

ディスプレイ広告のメリットとデメリットがわかったところで、ディスプレイ広告の成功事例をビジネスモデル別に紹介します。

合わせてディスプレイ広告のイメージ例も見て行きましょう。

BtoBのディスプレイ広告

BtoBのディスプレイ広告事例.jpg
参照:free株式会社KDDI株式会社

ターゲットが企業であるBtoB向けのディスプレイ広告には、上記のようなものがあります。画像にキャッチーなコピーを配置することで、視覚的なインパクトを与えつつ潜在層を含めたユーザーに広く訴求できます。

BtoCのディスプレイ広告

BtoCのディスプレイ広告事例.jpg
参照:日本マクドナルド株式会社Google Store

BtoCディスプレイ広告では、ターゲットである一般消費者へ向けて商品やサービスの購入や申込みなどを訴求します。食欲をそそるような美味しそうなイメージ画像で訴求したり、商品のデザインやカラーがわかる画像で訴求したりすることによって、思わずクリックしてしまうという効果を狙えます。

ディスプレイ広告の種類

ディスプレイ広告リスティング広告の違いが分かったところで、ディスプレイ広告についてさらに深掘りしていきましょう。ディスプレイ広告にはいくつか種類があり、運用方法も異なります。主要なものを3つ紹介しますので、参考にしてください。

GDN(Googleディスプレイネットワーク)

Googleが提供しているGDNです。Google広告の中に入っている機能で、Googleアドセンスなどの枠に広告を出稿するためのサービスです。ユーザーの趣向に合わせて表示する広告が切り替えられるなど、効率的な運用が可能となっています。

詳細なターゲティングも可能となっているので、明確な顧客像がある場合にはさらに強力なツールとなるでしょう。Googleが管理する200万以上のWebサイトに掲載されるので、ディスプレイ広告としては最大手と言えます。

参考:ディスプレイキャンペーン

YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)

Googleに続いてYahoo!が運営するYDAについて紹介します。Googleが世界に対応しているのに対し、Yahoo!は日本への発信に特化しています。具体的にはYahoo!JAPANやYahoo!ニュースなどのサイトへ掲載できます。

日本国内でのユーザー数も最大級で、より多くの見込み客にアプローチできるでしょう。大手企業も掲載しているなど、信頼も厚いサービスとなっているので、ディスプレイ広告を導入する際は検討してみてください。

参考:ディスプレイ広告(運用型)とは

YouTube広告

最後に紹介するのがYouTube広告です。YouTubeで動画を見ているとページの端や、動画画面下部など、あらゆるところに広告が表示されています。これらもディスプレイ広告の一種で、多くのユーザーにアプローチできるでしょう。YouTubeは、月間アクティブユーザー6,500万人越えのサービスとなっているので、インプレッションの拡大にもつながるはずです。

参考:2021年12月更新! 12のソーシャルメディア最新動向データまとめ

また、ディスプレイ広告として動画を発信することもできるので、ビジュアルやイメージによる訴求をより強めたい場合は、活用してみることをおすすめします。

GDNとYDA(旧YDN)の主なターゲティング機能

2大ディスプレイ広告と言われる、「GDN(Google Display Network)」と「YDA(Yahoo!ディスプレイ広告(旧YDN)」のターゲティング機能について紹介します。ターゲティング機能で、多くのユーザーから特定の潜在層をより絞り込んでアプローチすることができます。

GDNのターゲティング機能

GDNのターゲティングには多くの設定項目がありますが、主なものを紹介します。

● キーワード

設定したキーワードで、そのワードに関連するWEBサイトに広告を表示することができます。

●トピック

特定のトピックに関するいくつかのページをまとめ、広告掲載の対象に設定することができます。

●プレースメント

ディスプレイ広告のネットワークに属するWEBサイトを指定し、ユーザーがそのWEBサイトを訪問したときに広告を配信します。WEBサイト全体を指定する場合と、サイトの一部を指定する場合とがあります。

●アフィニティカテゴリ

特定のカテゴリに興味や関心を持つユーザーを絞り込み、広告を表示することができます。アフィニティカテゴリは大カテゴリから小カテゴリまで130を超えます。細かくターゲットを設定することができます。

●ユーザー属性

地域、年齢、性別、使用デバイスの種類など、ユーザーの属性を絞ったターゲティングができます。

YDAのターゲティング機能

Yahoo!ディスプレイ広告(旧Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)の、主なターゲティング機能をご紹介します。

●サイトリターゲティング

自社のサイトを訪れたことのあるユーザーに配信、あるいは除外を設定することができます。

●サーチターゲティング

ユーザーが使用する検索キーワードに応じた配信をすることができます。

●性別・年齢・地域ターゲティング

それぞれ、配信対象者の性別・年齢・地域を指定して検索することができます。

●デバイスターゲティング

ユーザーが使用するデバイスを絞って指定配信します。

●プレイスメントターゲティング

配信あるいは除外するWEBサイトのURLを指定します。

ディスプレイ広告で成果を出すポイント

ディスプレイ広告は大きな効果を出せる可能性がある媒体ですが、成功するためにはコツがあります。成功ポイントは次の通りです。

まずは目的を明確にする

なぜディスプレイ広告を掲載するのか、その目的を明確にしましょう。商品やサービスの認知拡大やブランディングといった広告としての効果を目指すのか、ユーザーとのコミュニケーションを拡大し、CVR向上を目指すのか、目標を定める必要があります。

●ブランディング目的ならターゲティングが重要

ディスプレイ広告は、多くのユーザーの目に留まりやすく、視覚的な強い印象を与える広告手法です。商品などの認知を広げるのに有効なため、ターゲットを絞り込み、より訴求を図るとよいでしょう。年齢や性別、キーワードなど属性でターゲティングし、動画などクリエイティブも工夫すると効果的です。

●レスポンス目的ならコンテンツの絞り込みが重要

ユーザーからのレスポンスを重視する場合は、費用は最小限で多くのコンバージョンを獲得する、費用対効果施策を心がけましょう。多くのユーザーの中でも、顧客化する可能性の高い見込み客の育成が必要です。見込み客となり得る層に響くキーワードやトピックで絞り込むコンテンツターゲティングの組み合わせで、見込み客が閲覧するWEBサイトに広告を表示することができます。

ディスプレイ広告でビジネスを拡大しよう

ディスプレイ広告について紹介してきましたが、使い方によっては大きな効果を得ることができます。自社のビジネスの目的に応じて、他の広告との併用など、ビジネスを拡大する施策のひとつとして考えてみるとよいでしょう。本記事がディスプレイ広告の理解につながれば幸いです。

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