SNSの普及により、誰もがコンテンツの作り手やメディアになれる時代になりました。SNSの「企業アカウント」においても身近な存在となっていますが、企業のTwitter運用担当者は、自社商品・サービスの売上に繋げていくために、どんなポイントを押さえて取り組んでいけば良いのでしょうか。

良い商品・サービスの情報を必要な人に効果的に届けるコツは「UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)」の発生と拡散にあります。この記事では、企業Twitter運用で押さえておくべきポイントを解説します。

国内でのTwitterの最新状況を把握しよう

Twitterユーザー数は堅調に伸びている

日本国内におけるTwitterの月間アクティブアカウント数は、2017年10月時点で4,500万人に達しました。これは、2016年9月時点と比較して約1.3倍増となっています。Instagramと比較すると成長にはやや頭打ち感があるとも言われていますが、まだまだ10代・20代を中心に根強く支持されているSNSだと言えます。

Twitterは匿名性が高いため、商品・サービスに対するユーザーの本音や感想がツイートとして表れやすい側面があります。また、リツイートやいいね機能によって、情報の拡散性が高い点もポイントです。

そのため、企業にとってマーケティング施策に活かしやすいSNSだと言えます。

SNS上の投稿は購買行動に影響を与えている

SNS上の投稿は、消費者の購買行動に影響を与えている点にも注目すべきです。

マーケティング支援企業「アライドアーキテクツ」の調査によると、Twitterユーザーで「企業アカウントを1つ以上フォローしている」と答えた人は90%にも上る事が分かりました。また、そのきっかけは「SNS上で開催されたキャンペーン」が最も多く、*フォローする目的は「お得な情報」や「商品情報」*であることも分かっています。

そして、「Twitter上の情報をきっかけとして新規ECサイトで購入したことがある」と答えた人は55.2%と、半数以上に上ることも明らかになりました。SNSは今、消費者の購買行動を後押しする重要なチャネルになりつつあるのです。

企業Twitterでは広告やキャンペーンをどんどん打つのが正解?

では、Twitterの企業アカウントでは「広告キャンペーンをどんどん打つこと」が正解なのでしょうか。

アライドアーキテクツ社の調査による最新データでは、コロナ禍においても94%のユーザーが企業のSNS上のプロモーション活動に肯定的、という数字も明らかになっています。

以前はWeb上やSNS上の「広告」はユーザーに敬遠されがちで、クリックされない側面もありました。しかしこの結果を見ると、昨今のSNSユーザーは内容次第ではPR投稿に対して肯定的であると見て取れます。

参考:ゆるい繋がりが、購買に大きく影響?! 「Twitter企業公式アカウントの利用実態調査」結果発表|echos

広告は悩みが顕在化している人にしか届かない

しかし、広告施策にはデメリットもあります。それは、「悩みが顕在化している人にしか届かない」という点です。

SNS広告は、各プラットフォームに登録されている、ユーザーの興味・関心などの情報をもとにターゲット設定を行います。その結果、ユーザーのタイムラインに他のツイートと自然に溶け込む形で広告が流れます。

例えばスキンケアコスメであれば「肌の乾燥」「ニキビ」といった特定の悩みを持ったユーザーに訴求するクリエイティブを出すことになりますが、悩みが顕在化している人しか見てくれない、クリックしない、共感しなければ「いいね」も「リツイート」もしない、と考えられます。

情報の99%が届かずに消えていく時代を迎えている

そもそも現代の情報爆発時代は「情報の99%が届かずに消えていく時代」だと言われています。

Twitterは、全世界で1日あたり約2億5000万ツイートを配信している(※2011年10月時点)ことを、明らかにしています。これはあくまでも今から10年前の数字です。その後、アクティブユーザー数が年々増加していることを踏まえて考えると、現在ではもっと膨大なツイート数になっていることが容易に想像できます。

「SNSを活用すれば、誰もが情報発信者・メディアになることができて、世界中の人にリーチできる」というのはあくまで、世界的に見てもほんの一握りの例にしか過ぎないということです。

世の中に流通する情報の数は年々増え続け、「世界中の砂浜の砂粒の数」に匹敵するとも言われるようになりました。つまり情報とは、「砂の一粒」でしかなく、そのほとんどが届かずに埋もれて消えていく時代を迎えているのです。

参考:情報“砂の一粒”時代にラジオが実現するファンづくり|電通報

企業アカウントでは、どんな取り組みをするべきか

情報が届きにくい時代でも、口コミは届く

前項で、「情報が届きにくい時代を迎えた」と述べました。しかしそんな中でも、「一般の人による口コミ」は強いと言われています。

[図1]SNSのどんな投稿がきっかけで購買行動に移ったか
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引用:【2020年最新版】5大SNSユーザーによる「SNSをきっかけとした購買行動・口コミ行動調査結果」公開!(Twitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTube)|SMM Lab

[図1]は、SNSのどんな投稿がきっかけで購買行動に移ったか、を示したものです。Twitterでは、「友人やフォローしている一般の方の口コミ投稿」が29.1%となっており、「企業アカウント広告」とほぼ同等の影響力を持っていることがわかります。さらに言えば、「インフルエンサーの投稿」より影響力が強いことも伺えます。

自分自身を1人のネットユーザーとして振り返ったとき、何か商品・サービスを検討する前にレビューサイトをチェックする人も多いのではないでしょうか。レビューサイトには、一般の方の口コミ投稿が蓄積されていて、企業側が発信する情報よりも、良い点・悪い点が正直に書かれています。そのため、購買の際の決め手としている人も多いはずです。

[図2]購入・選定時にクチコミがどの程度気になるか
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引用:購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査|NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ

インターネットアンケートサービス「gooリサーチ」の結果によると、「購入・選定時に口コミが気になるか」という質問に対し、「気になる」人は特に女性で9割にも上ることが明らかになっています。

上記の数字からも、一般の方による口コミは特に強く、インフルエンサーによる口コミよりも高い影響力を持っていると言えるのです。

UGC(User Generated Contents)について理解しよう

「一般の方による口コミ投稿」のことを、昨今のマーケティング業界では*「UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)」*と呼んで非常に重要視しています。

SNSの成長により、企業だけが情報発信者になる訳ではない時代。そして、「情報“砂の一粒”時代」の中にあっても、この「UGC」は一般消費者の間で重視され、商品購買・選定に強い影響力を及ぼしています。

つまり、企業Twitterを運用してうまくユーザーを発言に巻き込み、「UGC」を発生させることが重要な意味を持つのです。

口コミの中でもSNSにおけるUGCは強い

前述したとおり、「一般の方の口コミUGC」は

  • ユーザーに信頼されやすい
  • 消費行動に関する態度変容を起こしやすい
  • 企業広告よりもリツイートされやすい
  • ユーザーに刺さりやすい

という強みを持っています。

Twitter上で自社に関するUGCが蓄積し、それがユーザー間で拡散・伝播していけば、自社の認知度・好感度向上が期待できます。その結果、指名検索につながり、売り上げもじわじわと上がっていくのです。

UGCを発生させやすい仕組みを考えよう

昨今の企業Twitter運用においては、「UGCを発生させやすい施策を考える」ことが重要なカギとなります。ここからは、UGC発生に成功した事例を見ていきましょう。

事例1. 森永製菓

  • テーマ:かつて人気だったチョコレート菓子「ベイク」
  • 投稿してもらう内容:元ツイートを引用RTし、「ベイクを買わない理由」を投稿
  • 賞品:Amazonギフト券100円で「買わない理由を買い取ります」とPR

このキャンペーンに対してユーザーによる引用RTは1日で4万件を超え、予算の関係でキャンペーンを2日で終了せざるを得ないほどの大反響だったそうです。

「買わない理由」を書いた人「全員」にAmazonギフト券をプレゼント、という点もその理由ですが、「買わない理由を買い取ります」と呼びかけた点も目新しく、結果的に短期間で膨大なUGC発生に成功した事例だと言えます。

▼森永製菓 公式Twitter
https://twitter.com/MorinagaChoco/status/1155583707358433280?s=20

事例2. マクドナルド

  • テーマ:夏限定の炭酸ドリンク「マックフィズ」
  • 投稿してもらう内容:「#フィズしたい」「#私のフィズ体験」など特定のハッシュタグを付けてツイート
  • 賞品:抽選でマックカード1,000円分

季節限定メニューの発売時期に合わせ、公式アカウントでは連日、この商品情報を発信。発売時期とキャンペーン時期を重ね、Twitterでトレンド入りもしました。

ユーザーからは「こんなシチュエーションで飲みたい」「こんな人と一緒に飲みたい」といったUGCを集めることに成功し、「マックフィズ」に関する口コミが拡散しました。

▼マクドナルド 公式Twitter
https://twitter.com/McDonaldsJapan/status/1150585689525952512?s=20

事例3. 牛角

  • テーマ:「肉の日(29日)」
  • 投稿してもらう内容:元ツイートを引用RTし、牛角のお気に入りメニューをコメント
  • 賞品:抽選で牛角お食事券3,000円分

「イベントを求める声が多かった」と、ユーザーの要望に応える形で、「肉の日」に合わせてキャンペーンを実施。「牛角」公式Webサイトからお気に入りメニューをキャプチャしたユーザー投稿も多く見られ、メニュー名とともに美味しそうなお肉の画像が拡散されました。

「牛角」ファン以外からも「このメニューが食べたい」と関心を惹き、「こんなメニューがあるんだ」という情報拡散にも貢献しました。

▼牛角 公式Twitter
https://twitter.com/gyukaku29/status/1310852984012599297?s=20

数より質を重視し根気よく続けることが大事

Twitter運用では「フォロワー数獲得そのものが目的」という罠に陥りがちです。しかし「数」より「質」を重視し、日々Twitter運用をし続けながら、その先のゴールは何か?を明確にすることが大切です。

また、「Twitterでバズれば、爆発的に売上が上がる」などと、すぐに結果を求めるべきではありません。UGCを発生・蓄積させることで、じわじわとユーザー間に伝播していき、その先で自社の認知度や高感度が高まっていきます。

根気よく地道に続けることで、企業活動に貢献していくものだと理解しておきましょう。

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