近年、IT企業が頻繁に買収を行なっていますが、その中でも特に買収動向が注目されている企業が「Facebook」です。

Facebookは2004年創業という比較的新しい企業でありながらも、大型買収を繰り返し行なっています。
現在人気の高い写真加工SNS「Instagram」を買収した際も、2012年当時売上0円だった同社を10億ドル(日本円で約800億円)という異例の高額で取引し、大きな話題となりました。

参考
「社員13人、売上高ゼロ」でも買収額810億円、フェイスブックM&Aの真相  :日本経済新聞

その勢いは止まらず、今年に入ってからも様々なジャンルのサービスを買収しています。

今回は、2016年にFacebookが買収したサービスをまとめてご紹介します。
買収の傾向を知ることで今後のFacebookの戦略、ビジョンを読み取ることができるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてください。

参考:
Facebookがこれから目指すもの、2015年に買収された5つのサービス | ferret

2016年にFacebookが買収した7つのサービス

1.Masquerade

Masquerade
http://jp.techcrunch.com/2016/03/10/20160309facebook-acquires-video-filter-app-msqrd-to-square-up-to-snapchat/

3月に買収したMasqueradeは、ベラルーシ発のスタートアップです。
撮影したコンテンツにユニークな画像フィルターを施すことができる人気アプリ「MSQRD」を開発しており、動画に特化しています。
同社は世界でもトップレベルの動画加工テクノロジーを有しており、今回の買収でFacebookの動画編集がさらに拡張されていくことが見込まれます。

Facebookのメッセージアプリ「Messenger」は世界的に普及していますが、そんなメッセージアプリ市場で最近急速に人気が高まっているのが「Snapchat」です。

過去にFacebookはSnapchatを約3億ドルで買収しようと試みましたが、失敗に終わっています。
今回の買収の意図は「Snapchat」の動画加工フィルター機能への対抗ではないかと考えられます。

なお、MasqueradeとFacebookは買収額を公開していません。

2.Eyegroove

Eyegroove
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20160814/ForbesJapan_3229.html

Eyegrooveはミュージックビデオを作成することができるアプリで、8月にFacebookが買収しています。

サウンドクラウドの音源をもとに19秒の動画が作れるサービスで、Eyegrooveによって制作した動画は「Groove」といい、自由に動画フィルターをかけて楽しめます。
(日本ではリリースされていません)

CEOであるスコット・スニッブ氏はEyegrooveを”インタラクティブ・ミュージックのインスタグラム”であると説明しています。
最近のSNSではヒット曲をアレンジした動画を公開するのが流行しており、Facebookもこのトレンドを意識しているのではと思われます。

2014年にリリースしたEyegrooveのアプリですが、今回の買収に伴ってサービス終了となります。

3.Two Big Ears

Two Big Ears
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052401465/

Two Big Earsはスコットランド発の空間音声企業で、空間オーディオエンジン「3Dception」をリリースしています。

5月にfacebookが買収したことが明らかになっており、今後Two Big Earsは米Oculus VRに統合することが決定しました。
買収額は非公開です。

今回の買収により、同社のVR/AR、360度動画向けツール「3Dception Spatial Workstation」は「Facebook 360 Spatial Workstation」として無償提供を開始しします。
Facebook専門チームがサポートを行い、「OS X 10.7」以降で利用が可能です。

4.FacioMetrics

FacioMetrics
http://japan.cnet.com/news/business/35092383/

FacioMetricsは、カーネギーメロン大学の学生が立ち上げた、顔画像解析を手がけるスタートアップです。
開発するのは、ゲーム、医療、拡張現実、ロボット工学といった分野をターゲットにした感情判断で、カーネギーメロン大学の研究によって生まれたものです。

同社は顔画像解析に対する関心と需要の高まりに応えることを目的として設立した経緯があり、今回の買収でFacebookに加わることでこれまでの取り組みを「とてつもない規模へと前進させ、世界中の人々に広めることができる」としています。

5.Zurich Eye

Zurich Eye
http://vrinside.jp/news/facebook-acquires-zurich-eye/

Zurich Eyeは、チューリッヒ大学のメンバーによるコンピュータービジョンカンパニーで、11月に買収が決まりました。
今後は、チューリッヒの新しいオフィスでFacebookの傘下であるVRのOculusに加わることになります。

Oculusは買収に関してコメントはしていないものの、チューリッヒにエンジニアリングオフィスをオープンにすると明らかにしています。
同社はチームのうち7人がエンジニアで構成されており、独立したナビゲートができるマシンを開発しています。

Oculusとナビゲーションシステムはあまり関連がないように感じますが、VRにおいてポジショントラッキングは大変重要なものであり、今後の改良に役立てようと考えている可能性があります。

6.Nascent Objects

Nascent Objects
http://japan.cnet.com/news/business/35089278/

Nascent Objectsは、プロトタイプ製造を行うスタートアップ企業です。
米国時間9月19日に、自社ホームページ上でFacebookによる買収を発表しています。

これまで同社では、小型の回路基板・3Dプリント・モジュール設計を使ったプロトタイプ(試作品)をすぐに作成できるモジュール式家電製品プラットフォーム開発に取り組んできています。特に知られているのは「Droppler」という製品で、各家庭の水使用量を把握し利用習慣をゲームのような感覚で変えることができます。

また、多種多様なアイテムに適合するバッテリ、ドローンモーター、ディスプレイなども開発していたことが製品仕様ページからわかっています。

7.CrowdTangle

CrowdTangle
http://japan.cnet.com/news/business/35092090/

Facebookは、11月にCrowdTangleを買収しました。
CrowdTangleは2011年創設のスタートアップ企業で、ソーシャルアナリティクスツール「CrowdTangle」を提供しています。

「CrowdTangle」はFacebookのパブリックAPIを利用してソーシャルデータを分析、ソーシャルパフォーマンス測定、トラフィックを生成するコンテンツの特定ができます。インスタグラム、Twitterなどのコンテンツを含む、多種多様なオンラインメディアの分析が可能です。

買収発表の時点では買収条件は明らかになっていませんが、今後も引き続きCrowdTangleのサービス提供を行います。

まとめ

昨年、AR・画像認識の「Surreal Vision」、ジェスチャーコントロール技術の「Pebbles Interfaces」を買収していますが、今年もポジショントラッキングの「Zurich Eye」を買収しており、今後もVR・ARに注力していくと予想できます。

また、今年はフィルターアプリの「Masquerade」、ミュージックビデオアプリの「Eyegroove」のように、近年のトレンドや他社への対抗を意識した買収もありました。

Facebookの買収傾向として人材獲得、買収後サービスを停止することが特徴的ですが、近年の買収を見ると幅広い分野への進出を視野に入れていることも明らかです。

Facebookがどのような戦略を考えており、今後どのように展開していくのか、引き続き注目していきましょう。