広告配信やSEOコンテンツマーケティングなど、自社のWebサイトへの集客を伸ばす施策は多くの企業にとって一般的になってきました。

一方で、集客したユーザーがサイト内でどのような行動をしているかまで分析する「アクセス解析」に課題をもつ企業が増えてきました。

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※ferretが会員向けにWebに関する課題調査を行った結果

せっかく集客しても、コンバージョンに至らなければ集客施策をいくら行っても意味はありません。
アクセス解析を行ってサイトの課題を見極め、適切な改善を行うことが重要です。

今回は、10,000を超えるWebサイトに導入されている人工知能搭載のアクセス解析ツール ”AIアナリスト”を運営する株式会社WACULの代表、大津 裕史氏に「集客を成功させるためのアクセス解析」について伺いました。

Webサイトのデータを活用できている現場は少ない

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話し手
株式会社WACUL 代表取締役 大津 裕史氏

【プロフィール】
1984年生まれ。京都大学卒業後、株式会社ビービットに入社。デジタル領域中心に100社以上のコンサルティングを手がけた。2010年に株式会社WACULを設立し、代表取締役就任。デジタル領域でのコンサルティング経験を素に、人工知能の研究開発を推進し、15年5月よりWebサイトの分析から改善提案まで行う人工知能「AIアナリスト」を提供。

Webサイトで成果を出していくためには、まずWebサイトの「データ」が必要です。

欧米では「データを扱えること」が役職要件に入っているケースが多く、昇進しようと思ったら、データを用いる仕事は避けられないんですね。

1,2年前と比べ、Webサイトのデータを記録する重要性は広がっていると感じています。
ビッグデータ」というキーワードがバズワードになったこともあり、多くのWeb担当者が「データ」という言葉に対してオープンになっていることが背景にあると思います。

しかし、「データを記録するだけ」で安心してしまっている人がほとんどです。
収集したデータを活用して、Webサイトの改善に活用できている企業はまだまだ少ないと思っています。

特に、「そもそもWebサイトのゴールが定まっていない」会社が多いですね。
トラフィックがある程度の規模にまで成長しているWebサイトを持っているにもかかわらず、KPIがなくなんとなくPVを増やしたいという課題感しか持っていない。

Webサイトの目的を明確に持つことで、見るべき指標が分かり、それを伸ばすためにどのデータを活用して施策を立てていくかがシャープになります。
なので、まずは目標設定を明確にすることが最優先ですね。

正しいアクセス解析は、まず ”ボリュームゾーン” を知ること

よく多くの会社では、サイト全体の数値だけに注目しがちなんですね。
例えば、「去年は8万人の訪問だったが、今年は10万人」とか、「先月のCV数は10件で今月は14件」とか。

しかし、その全体だけを見る分析手法では、成果の出るサイト改善施策に落とし込める可能性は低いんです。
「意味のある分析を丁寧にして、アクションにつなげること」が重要であると弊社はよく言っています。

Webサイトの改善で成果を出すためには、サイト全体の数値ではなく、「CMの影響で、新規ユーザーが自然検索経由で増えている」「リピーターCVRが下がって、売上が減少している」など、もう少し粒度を落とした形で分析が必要となります。
そうすればどのような改善案を打てばよいかが浮き彫りになってきます。

あなたのWebサイトのボリュームゾーンはどこですか?

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Webサイトを改善する際の鉄則は、「人通りの多いページから改善に着手する」ことです。例えば居酒屋の来客を多くしようと、ビラ配りをするとします。
そのときに、人通りの少ないところで配るよりも、人通りの多いところで多くの人に配布したほうが効率的ですよね。

Webサイトも同様で、どんなユーザーがどのページに多く訪れているのか(=ボリュームゾーン)を把握して、改善する対象を見つけましょう。
そして、その対象で見つかった課題に対して、改善の施策を打つのが基本的な流れです。

なので、まずは「あなたのサイトのボリュームゾーンはどこですか?」という問いに答えられるかどうかが大事ですね。

ボリュームゾーンを見極めるために、切るべきセグメント

ボリュームゾーンを見極めるなら、以下の4つのセグメントに切ってかけあわせてみると良いですね。

・デバイス	
・ランディングページ	
・流入元	
・ユーザー(サイト特性により異なる)	

このうちどれかが異なると、ユーザーのサイト内での行動が大きく変わってきます。
まず、「デバイス」でいうと、PCかスマホで、ページの見え方が大きく変わるので、ここは必ず分けましょう。まずは、訪問数の多いデバイスから改善に注力するべきです。

次に「ランディングページ」です。Webサイトはざっくり分けると「トップページから流入するサイト」と「詳細ページから流入するサイト」の2つのタイプに分けられます。
例えば、ECなどで「商品名」の検索流入が多い場合だと、「商品詳細ページ」のトラフィックが多くなるので、まず改善するのは、主要な入口である商品ページというわけです。

「流入元」もSNSから入ってきたユーザーと指名ワードで検索したユーザーだと、サイトを訪れた意図が変わるのでサイト内の行動が変わります。
そのため、まずは主要な流入元から見たほうがいいですね。

最後に「ユーザー」なのですが、これはサイトの特性によって、どのようなユーザーで分類するべきか、大きく変わりますね。
例えばニュースサイトなら、サイトに初めて訪問したユーザーは、単にニュースを見にきただけで、そのまま直帰するユーザーが多いでしょう。

それに対して、会員登録して毎日訪れるユーザーは、当然サイト内の回遊の仕方が異なりますよね。
なので、会員・非会員で分けてデータを見て、施策を打っていく必要があります。

他にも年齢・性別・地域や、新規 / リピーター のように、サイトでユーザーの行動が変わると思われるセグメントは分けたほうが、より確度の高い分析結果を出せます。

抜本的な改善と、日々の変化への対応

それでは、実際にボリュームゾーンで絞ったあとに、どのようにデータを分析するのが良いか、事例をもとにご紹介します。

基本的に、データを分析する際は、「抜本的な改善フェーズ」と「変化を見て対応するフェーズ」の2つに分かれます。
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まずは抜本的なサイト改善で、サイトの伸びしろに対応

本格的にWebサイトの改善に着手するとなると、サイトの課題を多く洗い出し、アクションを数多く打つことで、サイトのCV数を伸ばせます。

成果が出やすい手法としては、ボリュームゾーンで絞ってデータを分析して、CVに貢献できていないページを洗い出すことです。そして、ユーザーのストーリーを設計しつつ、CVに結びつきやすい流れに誘導することが有効です。

抜本的なサイト改善でCV数が3倍になった事例

それでは、具体的にどんな抜本的な改善をしたかの事例も紹介しますね。今回ご紹介するのは、組織改革のコンサルティングや、新人研修を行うベンチャー企業のサイトで、伸ばしたいCVは「問い合わせ」でした。
まず、ボリュームゾーンに絞って、サイト内で経由されたページ訪問数CVRを分析したところ、以下のようなバブルマップに可視化できました。

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※丸はサイト内のページ、横軸の右側ほど訪問数が多く、縦軸の上側ほどCVRが高いことを指しています。

ここで注目すべきは、訪問数が少ないが、CVRの高い「実績」ページです。ユーザーがこのページを見ると、CVへのモチベーションが上がるのですが、あまり多くのユーザーに見られておらず、結果的にCVに貢献できていません。
他のほとんどのページは、経由すればするほどCVRを下がっていたのですが、導入企業を一覧できる「実績」ページだけ見せるとCVRが飛躍的にあがっていました。
そこで、「実績」ページコンテンツを主要な入口であるトップページに露出したところ、CV数が3.0倍まで増加しました。

改善後も日々の数字を追って、変化に対応する

抜本的なサイト改善が一通り完了した後は、日々の運用で「変化を見て対応する」ことが重要となります。

毎日・毎週・毎月と一定の期間毎に、「訪問数」や「CVR」の変化がないかを見て、変化があれば先ほどの「デバイス」「ランディングページ」「流入元」「ユーザー」で分けて深掘りすることで、どのゾーンで変化があったのかを特定しましょう。

どのセグメントで、訪問数CVRのどちらが変動したのかが判明すれば、どのような対策を打つべきか明確になります。

例えば、自然検索からのCV数が減少していて、その原因が主要キーワードの検索順位が落ちて、流入数が減っていると分かったら、すぐにコンテンツを見直したほうがいいですね。
また、広告からのCV数が伸びていて、それが広告をチューニングしたことで、広告からのCVRが大きく伸びているのなら、広告予算を増やすべきか、すぐに検討したほうがいいでしょう。

つまり、抜本的な改善もしつつ、このような「日々の変化」にも目を向けて、CV数が大きく上下する変化に対応することで、サイトのCV数を最大化できます。

プロのアクセス解析をすべて自動化する “AIアナリスト”

ここまで紹介したアクセス解析の手法は、それなりに工数が必要となるので、すぐに実践するのは、ハードルが高い場合もあるかと思います。

弊社で提供しているAIアナリストは、分析工数が取れない、もしくは分析のスキルがない方でも、簡単にWebサイトの課題を発見して、成果の出るサイト改善を実践できるように開発されました。

AIアナリストとは、「Webサイトを分析してサイトの課題を自動で見つけてくれる人工知能」です。
Googleアナリティクスと連携するだけで使えるツールで、これまでに10,000を超えるWebサイトに導入されてきました。

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AIアナリストで何ができるのか

AIアナリストはGoogleアナリティクスのデータを取得し、先ほどお話した「抜本的なサイト改善」と「日々の変化を見る」というアクセス解析をすべて自動化します。

「抜本的な改善」という点では、インパクトの大きいサイト改善案をお出しして、その改善案を実施した場合のCV数の伸びしろや、そのデータ根拠を自動で出してくれます。提案は「ページAから、ページBへの誘導を強めましょう」のような分かりやすい日本語で出てくるので、改善のイメージもしやすいですね。

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また「日々の変化を見る」という点では、過去のデータを人工知能が機械学習することで、CV数が大きく変動している原因を自動で見つけて、アラートを出してくれます。

例をあげると、「自然検索からの訪問数が伸びて、CV数が大幅に伸びています」のような報告が自動であがってきますね。なぜ、変化が起こっているかの原因まで教えてくれるので、その後の対策もスムーズに立てられますね。

長い期間かけて、少しずつCVRが下がっていた、みたいな人間だと気づきづらい変化まで検知するので、問題が発生したときに、早く正確な対応ができるようになりますね。

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AIアナリストは無料版でも改善提案を見られます

AIアナリストでは無料プランと有料プランの2つがあります。無料プランではGoogleアナリティクスと連携した時点での改善提案を見ることができます。
有料プランですと、継続的にリアルタイムで改善提案を取得することができます。

はじめてAIアナリストを知った方で、どんな改善提案を提示してくれるのかを知りたい方は、無料プランからお試しください。

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AIアナリストの無料プランはこちらから

まとめ

インターネット広告費が増加する中、「どれだけ多くのユーザーを集めてくるか」に注目しがちですが、「集めたユーザーをいかに成果に結び付けるか」もとても重要なポイントです。

本日お話を伺ったWebサイト分析の人工知能AIアナリストは、これまで本格的なWebサイト改善に着手したことがない方にとって、「アイデアをくれる相棒」のような存在ではないでしょうか。
適切なデータの取得はどうすればいいのか、改善の対象とするページはどこなのか、どんな改善策を打てばいいのか、Web担当者にとって考えるべきことはあふれかえっています。

より成果に近く、効率的で効果的なWebサイト運用を望んでいる方は一度、AIアナリストを活用してみてはいかがでしょうか。