ferretをご覧いただいている皆さん、こんにちは。株式会社マルケトにてアカウント・エグゼクティブを務める弘中丈巳(ひろなか たけみ)と申します。

おそらくこの記事をご覧いただいている皆さんは、"マーケティングオートメーションに何となく興味を持っている" "仕事で関わり始めている" あるいは"すでに関わっているけれど勉強中"という方がほとんどなのではないでしょうか。

そんな方々のために、今回は「マーケティングオートメーションの基礎」の内容について、どこよりもわかりやすくご紹介します。

マーケティングオートメーションとは何か? どんな役割があるのか? といったことについて、できるだけわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

※本記事は参加型のオンライン動画学習サービス「Schoo」に承諾を得た上で、配信内容をもとに制作されたものです
  

プロフィール

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弘中 丈巳(ひろなか たけみ)
株式会社マルケト / Account Executive
2014年に株式会社マルケト設立のタイミングで参画し、1人目の営業担当として、インサイドセールス部門の立ち上げ、営業〜カスタマーサポートを行う。 前職は株式会社セールスフォース・ドットコムにてCRM領域に、またマーケティングオートメーションが日本で広がり始めた初期よりマルケトに参画し、マーケティング(Marketing Automation)の世界に没頭している。現在は営業活動の他にSMB向けのマーケティングコミュニティやSMBユーザー会の企画から実施も担当。急成長企業やスタートアップ企業での導入経験が豊富。

  

マーケティングオートメーションとは

まずは「そもそもマーケティングオートメーションって何なのか?」という疑問にお答えします。

すでにマーケティングに関わり始めている人の中には、マーケティングオートメーションがメールの配信やWebトラッキングなどを便利に行うためのツールだと思っている人も多いようですが、そうではありません。

元々、マーケティングオートメーションとは、デマンドジェネレーションのためのツールでした。

ちなみに、"デマンドジェネレーション"という言葉、皆さんご存知でしょうか。
ここではデマンドジェネレーションとは何なのかという点について、もう少し詳しく解説します。

下の図をご覧ください。デマンドジェネレーションは、(1)見込客のデータ収集、(2)見込客の啓蒙・育成、(3)見込客の絞り込みという3つの流れと、その流れによってもたらされるROMI(Return On Marketing Investment、マーケティングROI)で構成されます。

参考:
ROMI(Return On Marketing Investment)|シナジーマーケティング株式会社

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画像引用元:マルケト提供

(1)の見込客のデータ収集とは
イベントや展示会で名刺を集めたり、Webのお問い合わせフォームなどからお客様情報を収集したりすること

(2)の見込客の啓蒙・育成とは
メールマガジンの配信やセミナーへの誘導などでお客様の温度感を高めること

(3)の見込客の絞り込みとは
お客様に直接コンタクトを取るなどして、商品・サービス購入の確度が高いお客様を絞り込んでいくこと

この(1)から(3)を統合することによって、ROMIを最適化することがデマンドジェネレーションであり、それを実践するためのツールがマーケティングオートメーションなのです。
  

マーケティングオートメーションの歴史と分類

1992年、マーケティングオートメーションは米国のunica(現在はIBMの一部門)という会社が提供を開始したのが始まりで、2000年以降、急速に発展を遂げてきました。

日本では2014年が「マーケティングオートメーション元年」と呼ばれており、この年を境に、国内でもマーケティングオートメーションツールが急速に発展を遂げてきました。

では、その歴史の中でマーケティングオートメーションツールは如何に進化を遂げ、どのような種類に枝わかれしていったのでしょうか。

それをルーツで分類したのが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

マーケティングオートメーションツールは大きく4つに分類できます。

「メール配信」に特化して開発されたもの、「キャンペーンマネジメントシステム」として開発されたもの、「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」として開発されたもの、「セールスフォースオートメーション(SFA)」を補完する機能として開発されたものです。

しかし、最近ではこれらの4つの機能が集約され、1つのマーケティングオートメーションツールで様々な施策が打てるようになってきました。

では、なぜそのようなマーケティングオートメーションツールの統合が進んできたのでしょうか。それは市場の変化と大きく関係しています。
  

市場の変化とマーケティングオートメーション

マーケティングに携わっている方ならよくご存じだと思いますが、市場の変化を4Pで整理しました。それが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

「PRODUCT」(製品)については"モノからサービスへ"、「PRICE」(価格)については"1回売り切りからサブスクリプション(定期購入)へ"、「PLACE」(お客様との接点)については"マルチチャネルからオムニチャネルへ"、「PROMOTION」(販促)については"新規獲得目的からLTV(ライフタイムバリュー)の最大化へ"という変化が表れています。

それに対応して、マーケティングに求められている役割も「お客様との長期的な関係性をあらゆるチャネルを用いて醸成していく」ことに変わってきているのです。

また、現在のお客様は、1日平均3,000件ものマーケティングメッセージを受け取っている一方で、消費行動の90%は自らの情報収集で完結し、64%のお客様は「価格よりも、何が体験できるかが大切」だと考えているなど、顧客体験にも大きな変化が表れています。

したがって、今日のマーケティングにおいてはお客様というセグメントを集団(マス)ではなく、個人(パーソナル)として捉えていくことがますます重要になっていると言えます。そして、このような市場の変化、顧客体験の変化に対応していくためには、今まで以上に統合的なマーケティングオートメーションの活用が求められているのです。
  

マーケティングオートメーションの役割

市場や顧客体験の変化によって、今日のマーケティングに求められるようになってきたのは、お客様との「エンゲージメント」を如何に深めるかということです。

ちなみに、エンゲージメントとは「お客様と密接な関係を作り続けること」と考えてください。密接な関係を作り続けることで、お客様は匿名から見込み客、顧客、そしてファンともいえるロイヤル顧客へと変わるのです。マーケティングオートメーションが果たすべき役割も、如何にお客様をエンゲージメントできるかという点に変わってきていると言えるでしょう。

では、マーケティングオートメーションを活用すると、お客様とのエンゲージメントはどのように深まっていくのでしょうか。その流れを示したのが下の図です。

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画像引用元:マルケト提供

エンゲージメントするためには、「LISTEN」(データ収集)、「LEARN」(カスタマージャーニーの設計)、「INSPIRE」(気付きを与える)の3つのステップがあります。統合化されたマーケティングオートメーションツールなら、この3つの流れを1つのツールで完結させることができます。
  

「LISTEN」

こちらは顧客データの収集です。これまでのマーケティング活動で収集できた顧客データは、属性やセミナーへの参加履歴といったオフライン情報が中心でしたが、マーケティングオートメーションツールを使えば、Webへの訪問履歴やメールの開封履歴といったオンラインによる顧客データの入手・分析も可能となります。
  

「LEARN」

続いては、カスタマージャーニーを設計する活動です。カスタマージャーニーとは、お客様の「パーセプションチェンジ(心情変化)」の連鎖を言い表す言葉です。

商品やサービスを知ったお客様の心情を「興味がある」から「試してみたい」「買ってみたい」へと高めていくことですが、マーケティングオートメーションなら入手した膨大な切り口の顧客データをもとに、パーセプションチェンジを促し続けていくための有効なアプローチを設計できます。

参考:
パーセプションチェンジとは|Tactical-Media
  

「INSPIRE」

最後はデータを収集し、カスタマージャーニーを設計した最後に行う“態度変容”を促す活動です。これを成功させるためには、当然ながらターゲットとなるお客様に“刺さるコンテンツ”を送らなければなりません。刺さるコンテンツとは、言い換えれば“その人だけの特別なコンテンツ”です。

商品・サービスに対する興味の深さや、購買意欲の高さには、お客様ごとに温度差があります。その細かな違いを正確に捉え、お客様ごとのペルソナや趣味趣向、商品・サービスへの興味の深さなどを詳細に分析した上で、その人に合ったメッセージを送るのです。
  
以上の3つの機能が全て実装されていてこそエンゲージメント(お客様と密接な関係を作り続けること)が可能になるのです。

さらに、そのほかのマーケティングソリューションは現在5,000以上あると言われているため、マーケティングオートメーション以外の素晴らしいツールと柔軟にコラボレーションできるマーケティングオートメーションツールが理想的であると言えます。
  

マーケティングオートメーションの活用事例

最後にマーケティングオートメーションの活用事例を2つ紹介します。
  

1. NPO法人「かものはしプロジェクト」様の事例

かものはしプロジェクト様ではマーケティングオートメーションを活用して、ボランティア活動に参加してくださる仲間や寄付をしてくださる方々とのエンゲージメントを深めています。

具体的には、下の図のように、それぞれのコミット度に応じた「ドナーピラミッド」というものを作り、ピラミッドのステージごとに欲しい情報が異なるので、コミュニケーションの方法を変えています。

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画像引用元:マルケト提供

この結果、メール開封率は従来の18%から平均70~80%に上昇。最大で89%に達しました。メールに貼られているリンクのクリック率も2倍以上に増えたそうです。
また、マーケティングオートメーションをマーケティング部門だけではなく、人事部門が利用し人材採用に活用している企業もあります。

下の図は、ある会社が新卒採用に活用している例です。

応募・選考の段階では、応募者のWeb上における行動履歴などから“刺さる情報”を発信して応募者数を増やし(例えば、同じ大学の先輩インタビューをポップアップさせるなど)、内定から入社にいたる段階では、自社の良いところをさらに理解してもらうためにメールと並行してWeb広告やFacebook広告なども活用しています。

入社後には会社で活躍してもらうため、新入社員の得意不得意に応じて宿題を自動で変えることで個別指導を実現しています。

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画像引用元:マルケト提供
  

まとめ

このように、マーケティングオートメーションは、マーケティング以外にも幅広い分野で活用できます。

実際にマーケティングオートメーションを活用して、より売上げに直結するような見込み顧客との出会いを構築していく上でも、まずはマーケティングオートメーションの歴史やどのような課題を解決するのに長けているのか、役割は何なのかというのを理解してみてはいかがでしょうか。

これらを正しく押さえた上で施策を検討・実施することで本質的な課題改善を図れますし、より大きな成果を引き出せるはずです。