エンゲージメントを深める意義とその手法

中澤様は、エンゲージメントを深めるということは、お客様とのコミュニケーションを深めることと同義であると考えています。

では、どうすればお客様とのコミュニケーションを深められるのでしょうか。

中澤様は、製品やサービスに関するコミュニケーションの深さは、「検討度」と「関与度」の2軸による面積の大きさで決まると言います。

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「検討度」とは、お客様が製品やサービスを買いたいという動機の強さや、目的に適うものを選びたいという意識の高さを指します。「関与度」とは、自社とお客様との関わりの深さです。

中澤様は、お客様の検討状況と歩調を合わせながら関与度を高め、相互理解を深めていくことがコミュニケーションを深めることに結び付くと言います。それを実現するため、同社は「クルマコネクト」と呼ばれる独自のチャット型営業プラットフォームを構築しました。

このプラットフォームを利用した、顧客のマーケティングROIは大幅に向上。また、商談受注率は2.5倍、人事生産性は1.5倍に拡大するなど、業績、業務効率化の両面で大きな成果を上げています(現在一部の導線にクルマコネクトは使用されています)。
  

クルマコネクトを用いたエンゲージメントマーケティング

では同社は、どのように「クルマコネクト」を使って、エンゲージメントマーケティングの成果を上げられたのでしょうか。

ちなみに、「クルマコネクト」とは、お客様の検討状況に応じながらチャットを使って購入希望にマッチしそうな自動車を提案したり、買い取りのご相談に乗ったりするためのプラットフォームです。

先ほど、同社のデジタルマーケティングは、最終的にお客様を商談に導くためのルートの1つであると説明しましたが、「クルマコネクト」によるコミュニケーションは、お客様を店舗に送り込む前段階で、エンゲージメントを高めるためのサービスと位置付けているそうです。

「クルマコネクト」によるコミュニケーションを実践した結果、中澤様は以下の「3つの気付き」を得ることができたと言います。

1. コミュニケーションの深度と受注率の間には明確な相関がある
2. コミュニケーションの深度は定量化が可能である
3. コミュニケーションのシナリオはデザインすることができ、かつPDCAによって向上させられる

同社では、お客様とのコミュニケーションの深度を、最低レベルの「Stage-0」から最高レベルの「Stage-4」まで5段階に分類しています。当然、コミュニケーション深度の高いStage-4のお客様の受注率が高くなるという結果が出ています。

コミュニケーションステージを定量化するためには、下の図のように、まず各ステージの概念上の定義を決める必要があると中澤様は説明します。

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ステージの定義付けを行ったら、次にそれぞれのステージにお客様を振りわけるための定量的なルールを設定します。

同社の場合、コミュニケーションの深度が比較的浅い「Stage-0」から「Stage-2」までのお客様については、Web上での行動内容や行動量といった「行動データ」に基づくセグメント、コミュニケーションの深度が深い「Stage-3」「Stage-4」のお客様については、チャットによる会話内容などの「発話データ」に基づくセグメントを実践しておられます。

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「クルマコネクト」による実際の対話は、「ステージシナリオ」と「会話シナリオ」と呼ばれる2種類のコミュニケーションシナリオに基づいて行われます。あらかじめ用意したシナリオに沿って行い、内容はPDCAを回しながらブラッシュアップしているそうです。