「クラウド」というキーワードが頻繁に聞かれるようになり、現在では当たり前のように「クラウドサービス」というワードを誰もが口にしていますが、「クラウド」という意味を正しく理解されている方は、どれだけいらっしゃるでしょうか。皆さんは答えられますか。

「クラウド」とは、クラウドサービスプラットフォームからインターネット経由でコンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとした、さまざまな IT リソースをオンデマンドで利用することができるサービスの総称です。

引用元:クラウドとは?|アマゾン ウェブ サービス(AWS)

上記、アマゾン ウェブ サービスに記載されているとおり、ひとくくりに「クラウド」「クラウドサービス」言っても様々な種類があり、それぞれに特徴があります。

そこで今回は、クラウドに関する基礎知識とそれぞれの特徴についてご紹介します。
  

「クラウド=雲」だけじゃない

iCloudのアイコンのイメージにもあるように、クラウドとは雲(Cloud)という意味です。

きっと、サーバーストレージの一種と認識している方も多いのではないでしょうか。また、あるサービスにPCやスマートフォンなど、様々なデバイスからアクセスして利用できる仕組みというイメージをお持ちの方も少なくないはずです。

データ蓄積や処理が可能な雲(Cloud)に対して、様々な人がそれぞれの媒体でアクセスできる仕組みのことを、いわゆるクラウドコンピューティングと言います。さらに、クラウドという名が付く多くのサービスが出てくる中で、群衆を意味する「Crowd型」サービスも発展しています。Cloud(雲)とCrowd(群衆)では全く違う意味になるので、カタカナにするとクラウドとなり、混同しないように注意が必要です。

下記では、Crowd(群衆)とCloud(雲)の特徴や種類についてご紹介します。
  

Crowd(群衆)の特徴と種類

Crowd(群衆)型サービスの特徴

インターネットソーシャルメディアの普及が進み、それまで企業単位でしか行われなかったような多くのことが、個人単位でも可能になっています。

仕事の受発注、人材募集や投資、資金調達などがそれらの代表例で、インターネットを介す事で個人間でも直接やり取りできるようになっています。

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Crowd型のサービスとは個人もしくは企業と、不特定多数の個人をつなげることのできる仕組みと理解しておきましょう。
  

Crowd(群衆)型サービスの種類

Crowd型の特に活用されるサービスとして、「クラウドファンディング」「クラウドソーシング」があります。
  

クラウドファンディング

Webに詳しくないという方でも特に耳馴染みのあるクラウドサービスといえば、クラウドファンディングではないでしょうか。

クラウドファンディングとは、投資、資金調達を個人単位で可能にしたサービスです。資金調達というと、主に投資家や銀行とのやり取りとなり、信用のない個人では中々ハードルの高いものでした。しかし、インターネットを介して不特定多数の人から資金を募ることのできるサービスがクラウドファンディングです。

クラウドファンディングは資金を募りたい人と、サポートしたい人をスムーズに繋いで仲介するサービスと理解しましょう。

クラウドファンディングのサービスでは、まず「こういう製品、サービスを実現したいから資金を募集します」とプロジェクトをたて、その説明をクラウドファンンディングの提供するサイトに掲載します。資金提供者に対しては、プロジェクトが達成された際のリターンを提示します。

完成した製品やサービスが利用できるなどに加え、ファンにとってプレミアムな特典をつけるなどして内容ごとに設定金額を変えることも可能です。プロジェクトに共感した人が、そのページから申し込みをして、資金を提供することになります。

申し込みはインターネットショッピングと変わらないような形で行われるため、資金提供する側の負担も少なくなっています。また、調達する側も株式や借用書を発行する必要もありません。
  

クラウドソーシング

クラウドソーシングは不特定多数の個人と、仕事の受発注ができるサービスです。インターネットを介して仕事を発注したい人と、仕事を受注したい人をマッチングするサービスになっています。

金額交渉や契約書の発行や締結、納品作業や検収書の発行、報酬の支払いまでをサービス上で完結することが可能です。これにより外注先の選定や人材募集、経理、事務的な手間もWebサービスで一貫して行えます。また、必要な人材を必要な時にだけ確保できるため、従業員を抱えないといけないリスクも軽減することが可能です。

会社に属さないフリーランスのワーカーなどが仕事を探す場としても活用されています。また、フルタイムで働けない主婦層などでも仕事の受注ができるため、家事や子育ての合間の時間を利用して働くといったスタイルも可能になります。
  

Cloud(雲)の特徴と種類  

Cloud(雲)型のサービスの特徴

Cloudはコンピューターで行われていた様々なサービスやソフトウェアを、インターネット経由で利用できる仕組みです。それまで個々のPCやストレージに保存されていたデータやソフトウェアなどを、一箇所に集約して管理し、インターネット経由で利用できるようになりました。

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これにより、複数のサービス・ソフトウェアを個々の端末内にインストールするのではなく、ブラウザやアプリケーション経由などで誰でも同じようにアクセスし利用することができます。

また、Cloud型のサービスは、それまでのパッケージ販売されていたようなサービスが、必要な時に必要な分だけ利用できるという特徴もあります。水をタンクで買うのではなく、蛇口を捻って必要な分だけ汲んで利用するといった例えがわかりやすいでしょう。
  

Cloud型サービスの種類

Cloudには「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3つの種類があります。クラウドコンピューティングという大枠は一緒ですが、それぞれには大きな違いがあります。
  

SaaS(サース)

SaaS(サース)とは、Software as a Servieの略です。Cloud型のサービスで一般的に1番馴染みがあるのが、このSaaSになります。これまで個々のPCごとにインストールして利用されていたソフトウェアをクラウド上に公開することで、インターネット経由で提供/利用する形態のことを指します。

ソフトウェア自体がクラウド上にあり、インターネット経由でアクセスが可能なため、PCやスマートフォン、タブレットなどを別のデバイスを跨いでも同じものを利用することが可能です。

具体的なサービスとしては、Gmailなどのメールサービスや、iCloudなどのファイルストレージサービス、複数人でのカレンダーの共有サービスなどがこのSaaSに含まれます。ご自身のスマートフォンの中にも数多くのSaaSが入っているのではないでしょうか。
  

PaaS(パース)

PaaS(パース)とはPlatform as a Serviceの略です。アプリケーションソフトが稼働するのに必要なハードウェア、OSなどを含むプラットフォームインターネット経由で提供されているサービスのことです。

このプラットフォームを利用して、アプリケーション開発を行ったり、実際に公開することが可能で、PaaSの具体的なサービスとしては、Microsoft AzureやGoogle App Engine、Herokuなどがあります。
  

IaaS(イアース)

IaaS(イアース)とは、Infrastructure as a Service の略です。

ハードウェアの部分を仮想化しITインフラをインターネット経由で利用できます。従来であれば自社で運用していたサーバーシステムを、必要な時に必要な分だけサーバーなどをオンデマンドで利用できるサービスになっています。

具体的なサービスとしては、EC2(AWS)やGoogle Compute Engineなどがあります。
  

まとめ

一口に「クラウド」「クラウドサービス」といっても、先述のとおり様々なサービスが存在し、それぞれの特徴も異なります。特に「Crowd」と「Cloud」だけでも大幅な違いがあり、それぞれ別の概念として理解しておく必要があります。

それぞれの特徴を正しく認識して、普段の業務から使いこなせるようにしておきましょう。