動画マーケティングというと、BtoC企業による動画広告やプロモーション・キャンペーンのイメージが強いかもしれませんが、オンライン動画がこれだけ日常生活や企業活動に浸透している今、BtoB企業においても動画活用の重要性は年々高まっています。

今回は、BtoB企業が動画を積極的に活用すべき理由とともに、幅広い活用シーンをご紹介します。

BtoB企業で動画が有効な3つの理由

1. 高い情報伝達力で商品価値をわかりやすく訴求

動画には、情報伝達力が高いという強みがあります。複雑な内容であっても、動きを伴う図解、音声、言葉による説明等が組み合わさることによって、物事をわかりやすく伝達することができます。

BtoB企業では、ソフトウェアのような無形商材や、流通やコンサルティング等のサービス、複雑な精密機械など、簡単な説明だけではその価値が伝わりにくい商材が多いため、理解促進を図る上で動画は有効な手段となります。

2. 情報収集段階において動画を視聴する担当者が増加

BtoBにおける購買プロセスは基本的に情報収集からスタートします。そしてそのファーストコンタクトの場として、主にGoogleやYahoo!といった検索エンジンが挙げられます。そのため、高いSEO効果があると言われる「動画」が優位に働く可能性があるのです。

また、特にデジタルを使いこなすミレニアル世代(20〜35歳程度)の購買担当者たちは、日常的にYouTube等の動画を検索・視聴する習慣がついている人も多いため、業務上のリサーチでも動画を積極的に視聴する傾向にあります。

2015年のGoogle本国の調査では、70%の購買担当者が、リサーチから購入決定までのプロセスにおいて動画を視聴したことがあると回答。またリサーチ過程においてBtoB関連の動画を30分以上視聴している購買担当者が約半数、1時間以上視聴した人も20%いました。

このデータは3年前のものであるため、現在であればその数値は大幅に増えていると推測されます。

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参考:
The Changing Face of B2B Marketing

テキストや写真だけよりも記憶に残りやすいという特徴を持つ動画をリサーチ段階で視聴してもらうことができれば、その後の検討段階でも選択肢として購買担当者の頭に残りやすいという効果も期待できるでしょう。

3. BtoBならではの意思決定(決裁)プロセスもスムーズに

BtoCでは消費者個人の意思によって購入の意思決定が行われますが、BtoBでは現場担当者だけの判断で購買に至るケースは少なく、上長や経営陣の承認を得るというプロセスを経るのが一般的です。

場合によっては、決裁者の承認を得るために、担当者が様々な情報を集めて整理し、プレゼンを行うケースもあるでしょう。その際に有効なのが、動画です。担当者が商品情報を説明する代わりに、動画がその価値を魅力的に決裁者にプレゼンしてくれるからです。

商材に関する動画を用意しておくことによって、担当者の負担が大幅に軽減されるため、競合商材よりも優位なポジションに立てる可能性があります。

BtoB企業における6つの動画活用シーン

続いては、BtoB企業においてどのように動画を活用でき、どのような効果を見込めるのかを具体的に解説していきます。

1.ウェブサイト/LP(ランディングページ)

商材の情報ハブとなるホームページやLPに動画を掲載し、興味喚起・理解促進を図ることで、滞在時間やCV率の向上を期待できます。

適している動画コンテンツとしては、商品・サービス紹介動画、お客様の声を紹介する動画、使い方を説明するHowTo動画等が挙げられます。

また、YouTubeに動画をアップしておけば、YouTube検索経由での新規接触、ページ流入の可能性も高まります。

ただし、企業によってはYouTube動画を視聴できないよう制限をかけている場合もあるため、BtoBサービスのホームページやLPに掲載する際は、動画ファイルを直接置くか、Vimeo動画を埋め込むことをオススメします。

2.展示会

BtoB企業において重要なマーケティング施策のひとつである展示会では、ブース内外で動画を使用する企業が増えています。

例えば、商品・サービス紹介動画をブース内外で流しておけば、営業マンによる説明ができなくても来場者は商品に関して必要十分な情報を得ることができます。そして、動画を通して商品をしっかりと理解し、関心が高まった来場者にアプローチすれば、その後の営業トークやアポ獲得もスムーズにいく可能性が高まります。

あるいは、ブースに人を呼び込むことを目的に、強いインパクトの動画や、続きを見たくなるような動画をブースの表側で放映し、来場者の関心を引くという使い方もあります。

下の動画は、商品メリットを直接紹介するのではなく、「話を聞いてみたい」と思わせるフックにしてブースへの誘導を図った事例です(LOCUS制作実績)。

3.商談

営業トークは属人的になりがちですが、企業紹介動画や商品紹介動画を用意し、商談時に見てもらうことで、企業や商品に関する情報伝達の均質化が図られ、伝えるべき情報の抜け漏れも防げます。

加えて、営業担当者は、動画視聴後のお客様との対話に専念できるため、より有意義な商談が実現するでしょう。

参考:
動画は有力な「営業ツール」になる!営業担当者を強力にサポートする動画活用を徹底解説

4.ウェビナー(セミナー動画)

リード(見込み客)獲得施策としてセミナーを実施しているBtoB企業は多くなっています。セミナーを含めリアルイベントの場合、会場費や移動、準備作業など様々なコストが発生します。

また、会場の席数には限りがあるため、獲得リード数に上限があります。そこでセミナーオンライン動画化し、申し込みした人に配信するウェビナーというスタイルが広がってきています。

ウェビナーであれば、どこからでも参加でき、視聴人数にも制限がありません。そして、ライブ配信している時は、コメント機能を介して視聴者とコミュニケーションをとることが可能です。ウェビナー動画を自社サイト等に掲載しておけば、後から視聴することもできるため、営業活動や優良顧客育成等に活用することもできます。

5.メール/パーソナライズド動画

展示会やウェビナー等で獲得したリードへのフォローには、メールマーケティングが有効です。

メール内に、商品・サービス紹介動画やお客様の声動画、導入事例を紹介する動画等を埋め込むことでより関心が高まり、クリック(サイト遷移)率や直帰率、CVR等の改善を期待できます。

参考:CRM領域で「動画メール」の価値を最大化させる方法――ポイントは“ファネル”と“自動再生”

さらに最近はパーソナライズド動画という選択肢もあります。リード情報に応じて、相手の名前を動画内に入れたり、リードが関心を持っている商材の情報を組み入れたパーソナライズド動画をメールで配信することで、エンゲージメントの向上を図ることができます。

6.広告

企業や商品の認知度を高めたり、ブランドイメージの浸透を図るために、動画広告を配信することもできます。YouTubeや各種SNSは低予算から出稿可能です。

さらに最近は、オフィスターゲティングが可能なDSP(広告配信プラットフォーム)も登場しています。ターゲットが限定された商材や企業の広告であれば、特定の企業や業種に絞って動画広告を配信することで、より効率的にアプローチでき、高いROIが期待できます。

下の動画は、飲食店向けレジアプリの価値をドラマ仕立てで表現した動画広告です。(LOCUS制作実績)

まとめ

比較的高額で信用性も問われるBtoB商材は、BtoC商品と比較して、よりその機能や価値を正確かつ魅力的に訴求することが求められます。

また視聴者側は、すでにその分野の専門知識を有している可能性も高く、その期待に答える有意義な情報を提供するという視点も必要です。これらの点でも、「動画」というコミュニケーションスタイルはBtoB企業にとって有効な手段であると言えます。

ビジネスの発展に向けて、動画を活用してみてはいかがでしょうか。