マーケティングオートメーション」という言葉は知っていても、マーケティングオートメーションツールでできることを説明できるかと問われると、なかなか答えられない方も多いのではないでしょうか?

今回は、マーケティングオートメーションツールによって代替される業務と自動化されるメリット、そして導入後も人の力が必要になる業務について説明します。

目次

  1. マーケティングオートメーションできる業務
  2. マーケティングオートメーションでできないことは?
  3. まとめ

マーケティングオートメーションできる業務

マーケティングにおける業務の多くを搭載している機能によって自動化できるマーケティングオートメーションツール(MAツール)。搭載機能は、各ベンダーがリリースしているツールによって細かな違いがあります。

まずは、マーケティングオートメーションツールでできる代表的な業務と、ツールによって自動化されるメリットについて紹介します。

リードスコアリング

「リードスコアリング」とは、顧客ごとの「見込み度」を数値で可視化する取り組みです。マーケティング活動の対象とすべき顧客を見定めるため、活動の内容を決めるために役立てられます。また、営業がアプローチする顧客を決める基準としても利用されます。

「数値化せずとも感覚で見込み度はわかる」と思う方もいるかもしれません。しかし、スコアリングに頼らない主観による見込み度の判断は正確性に欠けます。また、そうした主観による判断は複数人で共有するデータとしては適していません。

スコアリングは可能な限り客観性のある見込み度を測るための取り組みです。「メールの開封」「サイトへの訪問」「商品の購入」など、顧客のアクションに点数を割り振り、加算することで行われます。

また、点数は加算するだけではなくアクションがない時価に応じて減点していくこともあります。展開サービスや商品、顧客のセグメントに応じて、加点・減点の条件は調整が必要です。

条件に基づくスコアリングは複雑な作業であり、人力でのスコアリングは現実的ではありません。

MAツールは、あらかじめ設定していた条件に応じて、スコアリングを自動的に行います。手間を気にせず条件を追加でき、算出結果が正確になります。

近年はAI(人工知能)にスコアリングを代替させるMAツールも登場しました。さらに精度が高いスコアリングができる技術として期待が集まっています。

ターゲティング

ターゲティングとは、標的市場にする顧客層を決めることです。

一口で「市場」と言っても、その規模は膨大です。商品・サービスの内容によっては、見込みのない顧客層にアプローチをかけても予算やリソースが無駄になってしまいます。

ターゲティングは、限られた予算やリソースの中で「成果を出しやすい層」を明確にしてアプローチするために行われる取り組みです。

ターゲティングそのものをマーケティングオートメーションが行ってくれるわけではありませんが、顧客データが蓄積されているため、グルーピングが自動化されます。
分類の条件も複数設定できるため、正確なグルーピングが可能です。

「誰に」アプローチするかを決めるターゲティングはシナリオ設計の最も重要です。顧客の層をマーケティングオートメーションで把握しておくことは大切なことでしょう。

リード管理

リード管理とは、顧客情報管理のことを指します。「リード」はマーケティングにおいて見込み顧客を意味する言葉です。

メールの開封履歴やWebサイトの閲覧、オフラインイベントへの参加など多くの情報を顧客情報として管理します。上述したスコアリングやターゲティングのための分類、リード管理された情報がベースです。この機能がマーケティングオートメーションの根幹と言えます。

顧客中心のビジネスでは、蓄積した顧客情報を分析しアプローチする方法を検討する必要があります。かつて顧客情報管理は台帳などアナログな方法で行われていましたが、そのようなやり方では膨大な数の顧客には対応できません。そうした状況はビジネスにITが取り入れられることで変わりつつあります。

顧客情報管理の取り組みを「CRM(Customer Relationship Management)」と呼びます。また、顧客情報管理システムを指してCRMと呼ぶこともあります。

マーケティングオートメーションはCRMに多くの機能を紐づけたものとも言えるでしょう。

Web解析

企業が設けるWebサイトは有益な情報を得る窓口としても機能します。Web解析とは、Webサイトで得られるユーザーの情報を分析し、マーケティングに役立てる取り組みです。

Webサイトユーザーがどのような行動をしたのかを解析すると、「ユーザーの興味・関心はどこにあるのか」や「どのくらい興味・関心があるのか」、また「何に興味がないのか」などが見えてくるでしょう。例えば、「どのページを」「どのくらい見たか(時間)」というデータからはユーザーが抱いている興味が明確にわかります。リンク元の把握などより細かい解析も可能です。

MAツールでは、Web解析で得られたユーザーの行動履歴をリード管理している情報と紐づけられます。この連携により、個々のユーザーに対してとるアクションを判断可能です。ユーザーの興味の段階によっては、即座にメールなどでアプローチすることもあります。

訪問件数やページごとの閲覧時間の確認、アクセス元の把握などは、従来のアクセス解析ソフトでも可能でした。しかし、蓄積している顧客情報と連携できるのはマーケティングオートメーションツールならではのメリットです。

さらに、メールなどその後のコンテンツ配信もマーケティングオートメーションで完結できます。

メール配信

マーケティング活動では、メールを利用した施策も頻繁に実施されています。メール配信の主な目的は、Webサイトへの誘導です。

メールからWebサイトへの誘導が成功すると、以下のような成果が考えられます。

商品・サービスの販売促進
資料請求数の増加
アカウント登録の促進

こうした成果を、「コンバージョン」と位置付けている企業は多いのではないでしょうか。

MAツールでは、あらかじめ用意していたメールコンテンツを顧客のアクションに応じて配信可能です。配信するメールの内容は、顧客の行動によって分岐します。
また、配信のタイミングも顧客によってカスタマイズ可能です。

メールの内容が直近の興味を反映したものになっていると、コンバージョンする確率が高まります。また、配信元に対する印象も良くなるでしょう。

One to Oneマーケティングの実現に、メール配信は欠かせない取り組みです。

フォーム作成・分析

多くのWebサイトには、問合せや申し込みのためのフォームが設けられています。
MAツールの中には、このフォームを作成できる機能を搭載しているものもあります。

MAツールを利用すれば、テキスト部分を入力するだけでフォームを簡単に作成可能です。様々なフォームに合わせてテンプレートが用意されています。
CSSで編集してカスタマイズすることもできるので、特殊なフォームも作成できます。

フォームの入力者に対しては、自動的にフォローアップのメールを送る設定も可能です。都度の入力者の情報を確認し、メールを作成する必要はありません。

MAツールならではと言えるのが、フォーム入力者の情報をそのままリード情報として取り込める点です。取り込みが完了した時点から、Webでの行動解析ができるようになります。

MAツールは主にリードの見込み度育成(リードナーチャリング)を得意としていますが、フォームはリードの生成(リードジェネレーション)の窓口となります。

キャンペーン管理

キャンペーンとは、商品・サービスに関して行われる一連の活動のこと。マーケティングにおいては、見込みのあるターゲットに対して情報発信していく活動を指します。既存顧客の売上拡大だけではなく、新規顧客の獲得を目的として行われることもあります。

キャンペーンの内容はターゲットや商品・サービスによって異なりますが、「顧客の行動変化を促すこと」が主眼です。「誰に」「いつ」「なにを」「どうやって」といった要素を設計します。

企業は商品・サービスに応じて、複数のキャンペーンを同時進行させることになります。現在は、オフラインのキャンペーンだけではなくオンラインキャンペーンも一般的です。チャネルの細分化やインターネットデバイスの増加も、キャンペーンの管理を複雑にしています。

MAツールは、そうした複数のキャンペーンを管理するツールとしても利用可能です。ツールによっては、複数チャネルでのキャンペーンにも対応しています。

A/Bテスト

A/Bテストは、AとBの2つの施策を用意し、どちらが良い成果を得られるか検証する方法です。より良い施策を明確にしやすい手法のため、多くの企業が採用しています。日本での採用例も少なくありません。

A/Bテストは、まず仮説を立てることから始まります。
メール配信であれば、「件名が開封率に影響する」などが代表的な仮説の例です。その後、件名を変えた2つのメールを同時に配信し、開封率の違いを検証します。

仮説さえ立てれば、MAツールでA/Bテストを実施するのは容易です。一部のMAツールは、A/Bテストに特化した機能を実装しています。

マーケティングオートメーションでできないことは?

多数の業務を代替できるマーケティングオートメーションツール(MAツール)。とはいえ、マーケティングオートメーションでできないことももちろん存在します。

マーケティングオートメーションツール導入の失敗の多くは、「できること」の誤解、もしくは情報収集不足により起きています。

導入に失敗しないため、MAツールを導入する前の基本的な心構えや、MAツールで「できること」「できないこと」を知っておきましょう。

マーケティングオートメーションは魔法のツールではない

MAツールを導入する企業に多い誤解が、「導入すればマーケティングの成果があがる」というものです。MAツールはあくまで一部の業務の自動化や代替ができるものであり、導入するだけで成果が出るような魔法のツールではありません。

結局は、MAツールをどう役立てるかは導入先のマーケティング次第です。MAツールはマーケティング業務を効率化し、営業へと渡す見込み顧客を増加させます。ただし、実際に顧客とコンタクトするのは営業サイドです。営業との間に十分な連携や理解がなければ、成果には繋がりません。

リソース不足やリテラシーの問題など、そもそもMAツールを導入する準備が整っていないケースもあります。機能が多く複雑なだけに、使いこなせずに手放してしまう企業も多いようです。

MAツールでは自動化されない業務がある

MAツールの導入に失敗しないために、導入後も人間がやらなければならない業務を把握しておきましょう。

今後はこうした業務もAIによって自動化される可能性がありますが、まだまだ人の力が必要です。

目標・目的設定

マーケティングで達成したい目標や目的が明確であるほど、MAツールの導入効果が高まります。

達成したい目標の設定や、目的は人が設定するものです。MAツール導入の前に、目標や目的を今一度確認してみましょう。

時には、目標・目的が途中で変わることもあるでしょう。その場合は、都度MAツールを活用できるかできないかを検討します。

MAツールの機能からではなく、組織の目標・目的意識からツールの活用法を模索することは、ツールを使いこなすうえで非常に重要です。

シナリオ設計

MAツールは「どの顧客にアプローチすべきか」「どのタイミングでのアプローチがベストか」「どんな内容を届けるべきか」といったアプローチの指標までは教えてくれません。ツールでできるのは、条件に応じた顧客の分類と、条件に応じた自動的なコンテンツの配信のみ。アプローチの対象やタイミング、内容については決める必要があります。

「誰に」「いつ」「なにを」「どうなって」とアクションの筋書きを決めておく取り組みは、マーケティングにおいて「シナリオ設計」と呼ばれています。シナリオ設計をあらかじめしておかなければ、アクションに最適なタイミングを逃してしまうかもしれません。

AIによってシナリオ設計を自動化する動きもありますが、現在のところは基本的に人間が担っています。

分析からの仮設立て

A/Bテストに代表されるように、マーケティングでは仮説が必要な場面がしばしば訪れます。先ほど説明したシナリオも、「この顧客はこのタイミングでこの内容に興味を持つのではないか」という仮説に基づくものです。

MAツールのリード情報からは顧客の傾向が細かに見えてきますが、仮設そのものをツールが立ててくれるわけではありません。データの羅列から「気づき」を得るには、人の力が必要となります。

仮説には必ず検証が伴います。仮説を立てられずに悩んでいるマーケティング担当の方も多いようですが、「説明のために仮定的に決めたこと」という「仮説」の意味から考えると、正しいことは必ずしも重要ではありません。

仮説と分析の繰り返しで、顧客行動の分析力が向上していきます。

コンテンツの制作・見直し

マーケティングにおいて最もクリエイティブな仕事と言えるのが、コンテンツの制作かもしれません。

コンテンツの代表例が配信するメールの内容です。配信自体は自動化できますが、あらかじめコンテンツを複数用意しておく必要があります。

顧客に響くコンテンツの制作は、難しい作業です。期待しているコンバージョンが得られなければ、見直しをする必要も生じてきます。配信を自動化できても、必要なコンテンツの多さに苦しめられる担当者も多いようです。

コンテンツ制作が間に合わないと、MAツールの成果を十分に得られません。導入前に、コンテンツ制作のリソースが十分かどうかも確認しておきましょう。

MAツール機能をすべてを使う必要はない

マーケティングオートメーションツール(MAツール)には多数の機能が搭載されています。持て余している機能の多さから「ツールを使いこなせていないのでは?」と感じる担当者の方も多いようです。

使っていない機能が多いと無駄に感じるかもしれませんが、必ずしもMAツールの導入が無駄とは言い切れません。

そもそも、機能をすべて使い切ることは重要ではありません。「機能を使いたい」という動機から業務に取り入れていると、「ツールに使われてしまう」恐れがあります。業務の課題から使える機能を選んだ場合、使わない機能があるのは自然なことです。

MAツールを導入している企業の中には、一部の機能しか利用していないけれども成果をあげている企業もあります。

重要なのは自社のマーケティング業務にMAツールを生かしていることです。使っている機能の数が少なかったとしても心配する必要はありません。

ただし、MAツールのランニングコストに対して使っている機能があまりにも少ない場合は検討する必要があります。必要な機能がわかっているなら、最小限の機能を搭載したコストの低いツールを導入する方が良いでしょう。

まとめ

マーケティングオートメーションツールは多くの業務を代替し、担当者の負担を軽減します。しかし、マーケティングのすべてを担うわけではありません。

導入の際はマーケティングオートメーションツールでできることとできないことを把握しておきましょう。