様々なWebメディアやSNSの台頭により、ユーザーは多くのコンテンツを目にするようになりました。それと同時に目の肥えた読者は増え、コンテンツの品質の高さが求められるようになっています。コンテンツの質を高めるには、企画を読者にとって有益な形にして発信していく、「編集」が不可欠です。

しかし、Webメディアの運営に携わる仕事をしていても「編集」という作業にはなじみがない人も多いのではないでしょうか。オウンドメディアを立ち上げたばかりの企業には編集者がいないことも多いでしょう。

そこで、記事編集の仕事内容と編集する際の気をつけておきたいポイントを解説します。

編集の仕事

編集の仕事と聞くと、文章の誤字・脱字を修正する‘‘校正”を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。もちろん校正も編集の仕事のひとつですが、それだけではありません。
編集の仕事は主に4つに分類されます。

  • 読者にとって有益な企画を立てる(企画立て)
  • 新たな気づきや行動が起こせるような原稿作り(取材・執筆)
  • その記事を伝わりやすい形にして発信(編集・発信)
  • 作成したコンテンツが最適であるかどうか振り返り(分析)

以下で1つひとつ詳しく解説していきます。

1.読者にとって有益な企画を立てる(企画立て)

編集者はターゲットとなる読者の課題を解決するような企画を考えなければなりません。企画力を身につけるには、日々の疑問や気づきを大切にしましょう。企画の立て方は大きく分けて以下の4種類があります。

・困りごとから企画を立てる(解決型)
普段から自分が困っていること、周りの人が困っていることを探して見ましょう。そして困りごとを解決してくれる会社やツールをリサーチ、そして企画へとつなげていきます。悩みはそのまま企画に生まれ変わるのです。

・話題のニュースから課題を立てる(トレンドネタ)
テレビやインターネットで話題に上がっていること、友人や同僚との会話でよく上がる話題などのトレンドネタは、世間での関心度が高いため、他のWebメディアやSNSで拡散される可能性が高まります。

・他メディアの記事を見て企画を立てる(深堀型)
他メディアですでに紹介されていることを、深掘りしていく企画立ての方法です。トレンドネタと少し似ていますが、すでに話題になっていること(人・会社)を取り上げるので、ある程度のビューが期待できます。
しかし、他メディアと同じ内容の記事とならないよう注意しなくてはいけません。訴求ポイントを変えて書くことで新たな記事へと生まれ変わります。

・憧れの〇〇に話を聞く(人先行型)
「業界のドン」や「インフルエンサー」といった注目度の高い人にフォーカスして企画を考えます。影響力のある人へのインタビュー記事は、同じ業界で働く人や熱烈なファンにとっては貴重な情報ですので、こちらもある程度のビューが期待できます。

このときに大切なのが「この人に話を聞けるならば自社メディアの読者にとって有益な話は何だろう」と考える視点です。この視点がないと、ただ有名人に話を聞いただけになってしまいます。

2.新たな気づきや行動が起こせるような原稿作り(取材・執筆)

インタビューのアポイントメントからライターの手配、質問事項の作成など、取材のディレクションも編集者の役割のひとつです。ライターのレベルや特性を見極めてインタビュー先に応じて最適なスタッフを配置しましょう。

また取材は本番一発勝負でやり直しがききません。そこでいかに綿密な準備をするかがカギとなります。ライターに一任するのではなく、事前に入念な打ち合わせをして、質問事項や段取りの確認をしましょう。なぜこのインタビューをするのか、その意図と目的を共通意識として持つことが大切です。また、場合によっては編集者が執筆をすることもあります。執筆の際は、一番伝えたいことをできるだけわかりやすくシンプルに書くことを意識しましょう。

3.その記事を伝わりやすい形にして発信(編集・発信)

出来上がった原稿の仕上げを行います。文章の校正や事実確認、見出し・改行・画像等の挿入を行い、レイアウトを整えます。読者にとって伝わりやすく有益な記事にしていきましょう。

たとえば、以下の文章を読んでみてどう思うでしょうか。
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改行や画像が適切に挿入されておらず、非常に読みづらく感じるのではないでしょうか。

この文章を編集すると以下のようになります。

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見出しや改行、画像が挿入されたことで読みやすく、ストレスの少ない記事になります。

4.作成したコンテンツが最適かどうかの振り返り(分析)

編集者の仕事は「コンテンツを投稿したら終わり」ではありません。作成したコンテンツPV数や回遊率、チャネル流入経路、SNS反応などを分析して、伸びた要因、または伸び悩んだ要因を分析します。必要があれば記事のリライトも行いましょう。

このように編集の仕事は多岐にわたります。編集者とはいわばコンテンツ全体を仕切る現場監督のような役割を担っているのです。

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ライターとの違い

記事を執筆するライターとの違いは、求められるスキルにあります。

編集者はライター同様に企画力や、ライティング力に加えて、ライター以上に「読者の視点」と「メディアの理解」が必要です。編集者は出来上がった記事を最初に読む読者です。その記事は誰に何を伝え、読者は記事を読んだ後にどのようなアクションをとれるのか、読者の視点を持って記事を考えるスキルが必要です。

また、編集者はライターとは異なり、企画出しから記事入稿までの全工程にかかわります。そのためには、自社のメディアがどんな情報を提供できるのかを深く理解して、全体を俯瞰して見る力が求められていきます。

記事編集でチェックすべき3つの基本的なポイント

次に、原稿の編集作業において確認すべき3つのチェックポイントを紹介します。

1.構成

原稿が完成したら、はじめに、記事の内容がテーマに即していること、そして情報の信頼性を確認します。記事全体の論理展開が正しいかどうかもチェックしましょう。

その上で、必要によっては見出しの挿入や削除、順序の変更をして、見出しの文章と本文との相違をなくしていきます。

本文に入る前に必要なリード文では、誰に向けた記事なのかがわかるか確認し、必要であれば追記をしましょう。

全体を通して「読者の何かしらの課題を解決し、ネクストアクションに繋げられる内容になっているか」を確認し、必要があれば追記をしてみてください。

2.文章

記事の文章が正しい日本語で書かれているかをチェックします。

正しい日本語で文章を書くことは、いわば食事マナーを守るようなものです。食事の際、せっかくなら箸の持ち方や食べ方はきれいなほうがいいですよね。文章も同じで、正しい日本語を使うことで、読者にストレスを与えない、読みやすい記事になります。

3.レイアウト

Web編集の仕事は、読みやすい文章を仕上げるだけではありません。どのようにコンテンツを表示すればWebで閲覧した時により伝わりやすいのかを考え、適度に改行や、画像を入れていきましょう。スマートフォンやPCなどデバイスによっての見え方にも注意が必要です。

記事の内容を補足するような記事が他にあれば、その記事のリンクも記載しておくと良いでしょう。

編集力を身につけよう

編集力を身につける一番の近道は編集作業を繰り返すことと、さまざまなWebメディアやニュース記事を読むことです。未編集の文章を用意して、文章の校正やタイトル、見出し、改行をつけて、文章を「記事化」していく作業は大変ですが非常に力がつきます。

また、日ごろから様々なメディアを見ることでターゲットとなる読者や記事のタイプに合わせて、表現やレイアウトを学べるでしょう。

情報過多の現代において、ユーザーは常に情報の取捨選択に迫られています。ユーザーがストレスを感じずに有益な情報を得るには、編集によって洗練されたコンテンツが必要です。編集者は読者の視点をもって、シンプルでわかりやすく、有益なコンテンツを作成していきましょう。

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