「Web接客ツール」は、訪問ユーザーそれぞれに対し、チャットなどを使って行動を喚起しコンバージョンにつなげられるため、導入を検討しているWeb担当者も多いのではないでしょうか。しかし、興味はあるものの今期は予算がないなどの理由で、できるだけコストをかけたくないという企業もあるでしょう。そこで今回は、数あるWeb接客ツールの中から無料で使えるサービスをピックアップし、その機能を比較しました。

Web接客ツールに興味を持っている方は、本格的な導入を検討する前段階として本記事を役立ててみてください。

ピックアップしたWeb接客ツールについて

今回ピックアップした無料で使えるWeb接客ツールは4種類です。自社が必要とする機能を搭載しているかイメージしながらご確認ください。

ecコンシェル

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出典:ecコンシェル

「ecコンシェル」は、AI搭載のWeb接客ツール。ユーザー1人ひとりにマッチしたクリエイティブを表示し、コンバージョンの増加を促進します。導入企業数は6,500社以上ある人気ツールであり、機能性とともに、高い操作性も魅力です。

ウィジェットを使った接客には、バナータイプ、モーダルタイプ、インラインタイプの3タイプを利用できます。ウィジェットの作成にはテンプレートを利用できるので、困ることはありません。なお、キャンペーンを実施する際、「誰に」「どこで」「いつ」「何を」といった接客条件を設定できます。

【無料プランについて】
プラン名:フリープラン
「ecコンシェル」のフリープランは、利用できるサイト数が1つで、接客配信数は月間100回などの制限があります。また、便利な機能である写真の切り抜きや背景の透過が簡単にできるオートクリエイティブやユーザーフローが使えません。それでも、コンバージョン獲得に力を発揮するキャンペーンは利用可能です。設定画面がわかりやすく、「誰に」「どこで」「いつ」「何を」を想定した戦略を簡単に実行できます。

Zoho SalesIQ

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出典:Zoho SalesIQ

Zoho SalesIQ」は、Webサイトに訪問したユーザーにリアルタイムで接客できるツールです。チャットシステムとともに見込み客の生成ツールとしての機能も有します。その一つに、CRMでの評価やWebサイト内の滞在時間など、様々な要素から優先順位をつけることができ、オンラインのユーザーを優先順位にあわせて円状に表示可能です。

そして、例えば「ユーザーにとってベストなタイミングでチャット画面が開く」など、設定した自動アクションが発動するようにできます。チャットを担当するスタッフを割り当てる際も、ユーザーの情報や質問内容などに基づいて最適な選択が可能。その他、オペレーター間のチャットや通知センター、掲示板機能など、社内体制をサポートする機能も利用できます。

【無料プランについて】
プラン名:無料プラン
無料で利用する場合、月間のチャット数の上限が100件ということや、チャット履歴の保存期間が30日という部分が厳しいところです。それでも、機能としては、Webチャットソフトウェアのカスタマイズ以外は、有料プランと同じように利用できる部分が多く、無料ながら機能的なパフォーマンスが魅力と言えるでしょう。

Zendesk Chat

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出典:Zendesk Chat

「Zendesk Chat」は、ホームページにチャットウィジェットを表示して、リアル店舗のようにユーザーに接客が可能なツール。ライブチャット機能により、ユーザーからの質問にすぐ回答できます。ライブチャットはメールや電話よりも高い満足度を獲得できている実績があります。パフォーマンスを可視化できるデータ分析機能を搭載し、自動的にデータを集計できるなど、改善検討のしやすさも魅力です。

【無料プランについて】
プラン名:Liteプラン
Liteプランは、チャットバッジのサイズや画像設定など、ホームページのデザインにマッチするようにカスタマイズできる機能は残念ながら使えません。チャットにおいてファイル送信ができないなど、チャットに関する制限が多い印象です。また、トリガー機能も使えません。14日間無料のTrialプランが終了すると、自動的にLiteプランになりますので、まずはTrialプランで試してみるとよいでしょう。

Freshdesk

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出典:Freshdesk

「Freshdesk」は、顧客サポートツールとしてのカラーが強いものの、無料プランの中にWeb接客として利用できる機能があるため、本記事ではピックアップしました。「Freshdesk」の得意分野はヘルプデスクの機能として、顧客からの問い合わせをチケット化し一箇所に集約および管理できるところです。それとともに、Webサイトやモバイルのプラットフォームにおいて、顧客とチャットにより接客することができます。顧客が問い合わせ方法をチャットから別のツールに変更しても引き続き同じ問い合わせ案件として継続対応できるなど、顧客満足度の向上が期待できるサポート力を実装できるのです。

【無料プランについて】
プラン名:Sprout
残念ながら、無料プランではユーザーとのチャット機能が使えません。それでも、ユーザーが自ら疑問を解決できるナレッジベース機能や、ソーシャルメディアをヘルプデスクから管理できる機能があります。ソーシャルメディアのWeb接客は、ユーザーがSNS上でサポートを必要とする投稿をした際に、ヘルプデスクとページを統合しておくことで対応を可能にするものです。

機能を比較する

今回ピックアップした無料のWeb接客は、接客機能のタイプが異なるものもあり、一概に比べにくいところですが、導入検討の視点から機能を比較しました。

ユーザーインターフェースに優れた「ecコンシェル」と「Zoho SalesIQ」

「ecコンシェル」のユーザーインターフェースの分かりやすさは抜群です。先述した通り、「誰に」「どこで」「いつ」「何を」といったキャンペーンの条件設定が明快に分かりやすく、システムに不慣れな人でも操作に困ることはないでしょう。項目表示の仕方やすっきりしたレイアウトに分かりやすさを感じるでしょう。

また、「Zoho SalesIQ」もシンプルなユーザーインターフェースが見やすく、デザイン性の高いビジュアルでユーザーの優先順位を表示するなど、視覚的に認識しやすくなる配慮が感じられます。

キャンペーン機能が即戦力となる「ecコンシェル」

今回ピックアップした4つのシステムは、Webサイトタグを設置するだけでスムーズな導入が可能です。導入だけならそれほど違いはありませんが、このようなITツールの場合、最初のうちは設定に時間がかかってしまう場合があります。

「ecコンシェル」の場合は、オフィシャルサイトにキャンペーンの設定例が豊富にあります。Web接客ツールの利用が初めてでも、自社の目的と同様の設定例を真似すれば、すぐにスタートできるでしょう。「ecコンシェル」の大きな魅力であるキャンペーン機能が使いやすい状態に準備されているのはとてもありがたいことです。

チャット機能を使うなら無料プランの機能制限で選択

チャットによる接客に強みがある「ecコンシェル」と「Zoho SalesIQ」、「Zendesk Chat」は、それぞれ無料プランであるために機能が制限されています。そのため、自社にとって必要とする機能が無料プランで利用できるかが選択の要素になるでしょう。

例えば、「Zendesk Chat」の無料版はトリガーが使えません。条件を設定し自動的なWeb接客が必須条件であるなら選択しにくいところです。使いやすいモバイルアプリが必要なら「Zoho SalesIQ」も魅力的です。使いやすいキャンペーン機能に強みがある「ecコンシェル」は、機能的にはハイレベルではあるものの、ウィジェットをサイト訪問者に表示した回数である接客配信数が月間100回という制限は、サイトによっては厳しい場合があるでしょう。無料プランの仕様をよく理解して選択しなければいけません。

ECサイトに向いている「ecコンシェル」と「Freshdesk」

ECサイト向けに開発されている「ecコンシェル」は、コンバージョンの獲得に長けており、キャンペーンの設定の自由度が高く戦略的に活用できます。コンバージョンアップの実績を多数持っており、成功事例も数多くあることは大きな強みでしょう。ECサイトのWeb接客なら、まず導入候補に入れたいツールです。

また、「Freshdesk」はヘルプデスクとしての機能が特に長けていることもあり、規模の大きめなECサイトで問い合わせが多い場合に戦力となりそうです。無料プランでも、ナレッジベースやソーシャルサポートの利用が可能なので、ユーザーをサポートできます。

モバイルアプリを重視した選択がしやすい

モバイルアプリがあれば、ユーザー対応に場所や時間を問わずに対応しやすくなります。「Freshdesk」、「Zoho SalesIQ」、「Zendesk Chat」には、Androidとiosの両方のアプリが用意されています。「Zoho SalesIQ」のアプリは、ユーザーがサイトに訪問すると通知され、チャットや通話が可能になります。社内にいるときのように自由度の高い顧客対応が可能です。

将来、有料プランを選ぶときに無料プランの経験が活きる

無料Web接客ツールの導入は、選択肢が少ないことや機能制限が生じることなどにより選びにくいのは事実ですが、Web接客ツールを初めて使う人にとって有意義な経験になるでしょう。まずは試してみるという考えは、後に正しい選択をする上でも大切です。

お試しプランを用意しているツールは多いものの、期間限定であるため、今回ピックアップしたツールのように期間制限なく無料のツールとしっかり付き合ってみるのもよいでしょう。ただし、無料プランはチャットの履歴保持に期間制限があるため、気をつけなければいけません。

最終的には、存分に機能を活かせる有料プランを使うことになるかもしれませんが、自社に必要な機能を明確にするためにも、まずは無料ツールを活用してみてはいかがでしょうか。

無料で使える「BIツール」を比較

無料で使えるBIツールは?機能を比較してみた

無料で使えるBIツールは?機能を比較してみた

企業が持っているさまざまなデータを統合し、手軽に高度な分析ができるBIツールは、意思決定を迅速にできる強い味方です。使用してみたいと考えていながらも、コスト負担が気になる企業も多いでしょう。実はBIツールには無料で使えるものが存在するのです。BIツールがどのようなものなのか、まずは無料サービスから試してはいかがでしょうか。記事では、無料で使えるBIツールをピックアップし、機能を比較してみました。