10月1日、株式会社フィードフォースによる、データフィード広告をテーマとしたイベント「FeedTech2015」が開催されました。
Googleマーケティングテクノロジー事業を担当されている井橋氏によるセッションでは、Googleが提供するデータフィード広告を成功させるための具体的なテクニックが紹介されました。

登壇者

井橋 哲平グーグル株式会社マーケティングテクノロジー営業部
2006年~2011年の5年間SEM代理店の営業・プランナーとして勤務後、2011年にGoogleに入社。代理店営業として4年間勤務。 近年はサーチアカウントの最適化を中心にクライアント提案やイベント登壇等を行う。 2015年よりDoubleClickプラットフォームの営業担当として就労中。

アカウントマネジメント観点から考えるデータフィードマーケティングの必要性

データフィードマーケティングの必要性をお話しする前に、広告というマーケティング手法の前提からお話ししたいと思います。

マス広告の場合

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広告主柄のプロモーション自体の商品情報と、マス広告の場合ペルソナという仮想消費者を想定して、ユーザーセグメントをします。
そして、媒体選定(テレビなのかラジオ)でターゲティングを行い、広告クリエイティブでコミュニケーションを行う。これがマス広告の基本的な考え方です。
最終的にはペルソナの先にいるリアルな消費者を実際の購買接触ポイントに持って行くという流れになります。

検索連動広告の場合

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基本的な考え方はずれないのですが、大きな特徴が2つあります。
1つ目は広告主側に、Webサイトという、広告主側の意図・情報を反映した強力なリソースがあるということ。
2つ目は、サーチの場合、ユーザークエリという、ユーザーが能動的に打ち込んだインサイトが多分に含まれたデータを得られる

これがサーチ広告のポイントです。
それぞれのユーザーが、最も関連性の高いページに誘導できるように施策を行うのが、サーチマーケティングの基本的な考え方です。
ディスプレイも基本的には全く同じです。
ユーザーのセグメントの切り方が、ユーザークエリという強力なインサイトで無くなる代わりに、見てるページのプレイスメントだったり興味関心の属性だったり、リマーケティングの場合は広告主側で切ったセグメントがあります。
このように最適なターゲットにアプローチして、コミュニケーションした結果、それぞれのユーザーセグメントを最も関連性の高いページに誘導します。

非常に当たり前のことなんですが、このように整理して覚えておくと、お客様に提案するときにわかりやすくなって説明すると刺さりやすさも変わってくるので
ぜひ覚えて見てください。

では、Webサイトの観点から考えてみましょう。
トップページにはトップページ用のオリジナルコンテンツがあって、トップページに集客したいユーザー層が当然います。
これを広告主法に置き換えると、広告クリエイティブがあり、ターゲティング設定がある。

ページ側のコンテンツ・訴求・想定しているユーザーがあって、それを実現するための手法が、広告であり、ターゲティングという考え方です。

これがAdWordsの基本的な考え方になってます。
1つのWebページに対する広告とターゲティングを管理する単位を「広告グループ」としています。
簡単に言うと「1ページ=1グループ」という考え方が前提となっています。

1ページ1広告グループを原則としたとき、実際には課題が出てくる。

もう少し具体的に言うと、もしターゲティングがヒットした場合、1広告グループから、必ず1オークションが発生するようになっています。
ただ、同じページに対して、もし類似する広告グループが10個あるとしましょう。10このグループからオークションが発生したら、一番出やすいものを広告として露出するという仕組みになっちゃってます。
これでどうなるかというと、どの広告をだすか広告主側でコントロールできにくくなります。
どういうことかというと、インプレッション喰い合う状態(インプレッションシェア)が起きてしまう。

1ページ1広告グループを原則とすると、実際のキャンペーンマネジメントをする時課題が出てきます。
ECサイトの構造例で見てみましょう。
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TOPページから階層がさがるにつれてユーザーニーズは深くなり、顕在化していきます。一方でターゲットはどんどん減っていく。
これを、1ページ1広告グループを全部の商品ページで手動でやろうとするのには限界があります。不正確になるし非効率です。
ぶっちゃけかなりしんどいですよね。皆さんご経験あるかと思います。

この課題を解決するのがデータフィードのテクノロジーだと思っています。

・自動ターゲティング
・自動クリエイティブ

この2つを使いこなすことが、デジタルマーケティングで求められるポイントかと思います。
ここが、私が考えるアカウントマネジメントにおけるデータフィードの重要性です。

データフィードマーケティング成功の3つのポイント

自動ターゲティングと自動クリエイティブを使いこなすためのコツを3つまとめてきました。

1.データフィードが活用可能なプロダクトを知る
どのプロダクトがデータフィードが使えるか知っていないと話になりません。

2.1つのフィードで複数プロダクトを活用
なるべぃ1フィードソースでマルチプロダクトに配信できるような設定にしましょう。

3.ImpとCTRを最大化するためのデータ最適化
フィードデータをマーケティングリソースに転換する時のデータ最適化(DFO)をしましょう。
規模と効率化を最大化します。

ここまでが前提で、Googleの持っているデータフィードをソリューションの中で3つのプロダクトにフォーカスして話していきたいと思います。
フィードをどのように改善すればパフォーマンスが上がるのかを解説します。

1.PLA
2.ダブルクリックサーチが持っている自動在庫連動サーチキャンペーン
3.動的マーケティング

それぞれのプロダクトのアルゴリズムを理解していただいたうえで、どこを改善すればパフォーマンスがあがるのかというティップスをご紹介します。

PLAと自動在庫連動キャンペーンはいわゆる検索のプロダクトです。
動的リマーケティングはそのままリターゲティングなのでリテンションをとれる。

商品階層のユーザーをゲットしたい場合は、サーチでとらえて、動的リマーケティングでゲットするというのが綺麗な流れかなと思います。

PLAについて

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PLAは、データを入れておくだけで、検索結果に商品画像付きの広告を出せるプロダクトです。
また、通常のリスティングとは別の枠に出ます。
通所のテキスト広告とPLA両方出すことができます。

PLAの広告ランクってどうやって設定されるかというと、メインは3つです。

  • クエリとフィードの関連性
  • 推定クリック率
  • 上限入札単価

気づかれた方も多いと思うんですが、通常サーチの広告ランクとほとんど一緒です。
唯一違うのは、通常広告は「クエリと広告の関連性」に対し、PLAはフィードそのもののテキスト情報を見られるのが特徴です。
そして推定クリック率、これはどういうユーザーエンゲージをするのかで変わってきます。

最後の上限入札単価は運用次第の部分が大きいので、今回は上2つにフォーカスしてお話しします。

「クエリとフィードの関連性」を最適化するには

ざっくり言うと、Googleのエンジンがクエリとフィードデータを正しくマッチングできるようにするんです。
じゃあ何をすればいいのか。

みなさん、PLAで商品が表示されているのを見ると、結構近しい商品が綺麗に上がってくるなと思うんですね。
これ僕の仮説も混じってるんですが、多分Googleは、クエリに対して、このクエリはどういうプロダクトカテゴリが合うのかという情報をある程度持っているのではないかと。
ですので、プロダクトカテゴリを登録しておかないと、関連性が読み込みにくくなってしまう。
プロダクトカテゴリはできるだけ深い階層まで設定することを推奨します。

また、プロダクトタイプは、カテゴライズとうよりも、クエリとの文字列関連性を高めるために設定することを推奨します。
カラーとブランドは、単純にクエリの中に「ワンピース 白」とか「ナイキ スニーカー」というふうにカラーとブランドが入ってくることがあるので、ちゃんと入れておいたほうがいいですね。

ダイナミックリマーケティングにも共通してるんですが、クリックやインプ、CVの実績は、商品IDに基づいて蓄積されるんですよね。なので、商品IDが入っていないと過去の実績に基づきません。フィードにはIDが必ず必要なので登録しておいてください。

推定クリック率の最適化

こちらはシンプルに、ユーザーの目に触れる部分を最適化しましょうということです。

重要なのは以下の図にある4つです。

フィードデータで一番改善しがいがあるのがタイトルです。

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フィード最適化よるPlAパフォーマンス改善事例

アパレル通販A社の事例

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こちらはフィードの最適化がインプレッションにいかに大きな影響を与えるかを示した事例ですね。

自動在庫連動サーチキャンペーン

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まず、Googleマーチャンドセンター(GMC)とダブルクリックサーチ(DS)をアカウントで接続詞ます。
そうすると、GMCのデータがDSに入っていきます。
DSに取り込まれたフィードの任意の属性の文字列を使って、この文字列をキーワードに、この文字列を広告テキストのここに埋め込むという
クリエイションができます。そして在庫の有り無しでオンオフの設定ができます。

例:
DS側で、キーワードを「ブランド属性 カテゴリレベル4」と設定したとします。
リンクにパラメータを付けると、DSの中でキーワードと文字列が生成されます。
Google Tシャツ」とか「Google デジタル一眼レフ」という風に生成され、パラメータがついたURLが設定されます。
非常にシンプルでわかりやすいです。
キーワードにも例えば「購入」を入れたいとか、自社ブランド名を入れたいとか、個性的なテキストを追記することもできます。
あくまで自動生成のルールを設定するものなので。
そして、在庫がなくなった場合に自動停止させることができます。

広告テキストの生成イメージですが、

・ブランド
・タイトル属性
・リンク属性
・プライス属性

があるとします。

この機能の良いのが、関数が有効に使えるところですね。
例えば、同じ広告グループに存在するフィードの中で一番安いデータを引っ張ってくることができますし、逆に一番高いものも引っ張れます。
タイトルが長過ぎる場合も関数を使って省略できたり、Excelのような感覚で使えます。

AdWordsとYahoo!スポンサードサーチ共にプッシュすることができます。
もし、今フィードデータをお客様からもらって、ExcelやWordで在庫状況と照らしあわせて、キーワードを追加する、または停止するという運用をされている代理店様がいらしたらかなり有効なソリューションになると思います。

また、実はEC業種意外にも使えたりします。

動的リマーケティング

まずは、どうやってダイナミッククリエイティブが生成されるのかについてお話しします。
ダイナミックリマーケティングに関して言うと、一番外してはいけないのは商品IDです。
ダイナミックリマーケティングにおいては、商品IDが入ってないと出ません。

例:
ユーザーAが商品ID1を踏んだというデータが残ります。
商品ID1は、同じセッション内で商品ID2とよく一緒に見られるというデータがGoogleのサーバ内に蓄積されています。
また、一番パフォーマンスが高い商品IDのデータも判別されています。ここまでが商品属性の話です。
現在閲覧しているコンテンツとのマッチングを見て、ゴリゴリとレコメンドエンジンが解析した結果、一番パフォーマンスの高い商品画像が表に上がってくる。
一番強いシグナルが、「閲覧」シグナルですね。このように、商品IDに紐付いた実績で、一番パフォーマンスの良い広告を配信するのが
ダイナミックリマーケティングの仕組みです。

動的リマーケティングはPLAのように、ターゲティングにいろんなパラメータは使いません。
なぜならユーザーリストしか見てないからです。「リマーケティング」なので、クリエイティブをいかに最適化させるかが重要です。

動的リマーケティング導入によるパフォーマンス改善の事例

免許合宿事業社

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成約数も上昇したのですが、一番変化が出たのはCTRですね。
CTRが大幅に変化して、結果的に高いパフォーマンスが出たという。
いかにクリエイティブの最適化が大事かということです。

データフィード広告成功のカギは

  • マッチングとクリエイティブを意識したフィードの最適化を行うこと
  • 1フィード=マルチプロダクトのフィード設計

この2つがデータフィード広告成功のかなり大きな要因となります。
これを行うと、購入モチベーションが顕在化しているユーザーに対する、ターゲティングとクリエイティブの精度と運用効率が飛躍的に改善できます。
ここまで最適化した場合、ネクストステップとして、自動入札を検討してください。
大量の商品を入札運用しようとすると、物理的に厳しい物があります。
なので現実的に、最適な自動入札の導入を検討した方がいいでしょう。

まとめ

データフィード広告は複雑で運用が難しいイメージがありますが、実際はしっかり使いこなせばあらゆる作業を簡略化できるうえ、広告パフォーマンスも飛躍的に向上させることができると井橋氏は語られています。
今回の講演では、成果の出るデータフィード広告運用のコツについてかなり詳細に解説されているため、自分で運用するにしろ、代理店に委託するにせよ、井橋氏のお話を読み込み、チェックシートの内容も確認するようにしてみましょう。

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