メディアコマースへの考え方が変わった

**西井:**経験値はすごく大事ですよね。
国内のスタートアップでうまくいっていない会社を見てみると、戦略は素晴らしいし、投資家もそこにお金を集めたくなるけれどもやっぱりうまくいっていない。

ワンダーシェイクの場合は、受託でたくさんアプリを作ったりして、練習をしてから本番に臨んでいる。練習をして経験値を貯めておくということは大事だなと思いました。

ちなみに、ECの話をしたいんですが、メディアコマースはくると思いますか?

**鈴木:**くると思います。

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**西井:**僕は、十数年ECやっているので、スペックをものを見て買うっていう現代において、ECは勝者が決まっていて。
Amazonには勝てないんですよ、どう考えても。

価格競争になると、店舗側が儲からなくなって疲弊していく。一方Amazonは商品はすぐ届くし、サービスもかなり拡充されています。
すでにみんなアカウントを持っているから、結局Amazonの勝ちなんです。

じゃあ、そこに勝つものって何だろうというときに、検索じゃないところにちゃんとコンテンツがあったり、おもしろい商品があったりというのは、ずっと思っていたことなんです。
鈴木さんは、メディアとコマースを一緒にすることが、正しいかどうかはどうか考えていますか?

**鈴木:**可能性はありますが、取り組み方には何パターンかあるなと。

**西井:**なるほど。僕は記事にカートがあれば簡単にできちゃうかと思っちゃうんですけど。

**鈴木:**記事を読みにきてるユーザーさんがやはり過半数なので、そのユーザーさんの物を買いたいスイッチが入るか、あとはそのボリュームが出るかですよね。

**西井:**規模の問題ですね。

**鈴木:**そうですね。
どちらかというと商品情報をメディアで取り扱うのは流通額というよりは、コンテンツの幅を広げるという意味で価値があるなと感じています。

オウンドメディアはそんな簡単なものじゃない

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**西井:**EC事業者自体がメディアを作っていく方向をやっていかなくてはならないんですかね。やるとなると相当たいへんな仕事じゃないですか。
僕のクライアントさんからも「オウンドメディア作りたい」と相談されますが、そんな簡単なものじゃないよと。

それこそ、ちゃんと会社を作って、クラウドソーシングをちゃんと使って、管理画面もきちんと作って。そこまでやって始めてできるものなんですよね。

だったら、普通に広告出稿をちゃんとやったほうがいいんじゃないのかって(笑)。

一方で、今のECの流れではメディア化する方向性もあるので、ECの会社にとって次の一手はどうなのかなというのは、すごく悩ましい問題だと思っています。
そこでメディアが選択されているわけですよね。

本当のことを言えば僕はメディアをやるべきだと思ってるんです。ただ、中途半端にはできない。
こういうのは、御社に言ってメディアを作ってもらうということはできるんですかね?

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**鈴木:**そこはノーコメントですね笑。
ニーズがありそうなのは感じていますが、うちの注力領域ではないかなと。

**西井:**今後、そういう展開は考えてないのですか?

**鈴木:**優先順位的には当面は自分たちでメディアやコマースに近い領域で事業を作ることを優先してやりたいと思っています。

**西井:**化粧品などは、DAUで追いかけようがないから、そもそもアプリには合わないんです。毎回同じ化粧品のサイトは見ませんよね。

でも、メディアなら見に来てくれるわけです。今日のメイクはどうしようとか、スキンケアについて、ファッションについて。
そのメディアとしての特性のところと共存していくしかない。

かたやスペックで勝負しているところはAmazonに負けてしまう。やはり、簡単ではないけれどメディアを作っていくしかないのかなと思います。

御社はLocariで今まさにそれをやっているから、とてもおもしろいですよね。