中の人との交流も、外の人との交流も大事

西井:阿部さんは、経営者となって少し現場から離れる様になったと思うのですが、相変わらずリスティング広告の知識が豊富ですよね。普段、どうしているんですか?

阿部:自分で現場を持っているということもありますけど、一番思っているのは、周りがすごいということですね。
社内の人材がすごいんですよ。

僕はセミナーを多くやる関係で、おそらく日本中の運用型広告プレイヤーと一番会っている人間だと思います。
そのなかで、一番すごい人が社内にいます。Facebook広告にしてもうちにいます。

これ、どこの会社でも言うかもしれませんけどね。
僕はほんとうにそう思っているので、その人に聞くのが一番早い。

西井:自分が教えるというよりも。

阿部:教えてもらうほうが圧倒的に多いですね。僕は経営8割、現場2割という感じなので。

西井:僕も、リスティング広告とかGoogle周り、Yahoo!周りがわからなかったら、すぐ阿部さんに質問するんですけど、すぐ回答くるし、すごいなー、常にトップを追いかけているなとずっと思ってたんですけどね、こっそり。会社のコミュニケーションってなんかしているんですか?

阿部:ご飯はよく食べに行きます。外の人より中の人と行くことが多いですね。単純に楽しい。

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西井:最近ちょっと感じることがあって。オイシックスの奥谷さんと結構会うんですが、ご飯を食べに行って話をしたら、やっぱりすごいわけですよ。
ああいう話をしてくれる人が社内にいるのってすごく大事なことなんです。

僕は仲がいいからご飯を食べに行ったりするんですけど、意外に社内の人はご飯に行かないし。
同じ社内にいるのに講演聞きに行ったりするみたいなんですけど、講演の話なんて一部でしかなくて。直接のほうがいろいろな話が聞けますよね。

そういうのがすごくもったいないなということに気付いて。そのくらい社外よりも社内の知見は大事ですよね。

阿部:うちは社内に寄り過ぎちゃっているかもしれません。
すごい人が中にいるので盲信してしまう部分は多少なりあります。

ほんとうに、参考になる話が聞ける外の人がそんなに多くないんです。
なので、中にばかり寄り過ぎてよくないかなという思いはあります。特に若い社員には。

外で飲みに行って、そこでしか出ない話っていっぱいあるじゃないですか。友だちにも会ったほうがいいですし。

西井:外に出て外を見て、もっと自分が成長して、それを中に戻していくということも大事だなと思うんですよ。

木曜日の午後は「建設的な批判」の時間

阿部:コミュニケーションが全部うまくいっているかというと、いろいろ問題はあるんですけど。

その改善の一環でもあるんですが、木曜日の午後は、実務から切り離すということをやっていて。

ひとつのアカウントで3、4人のチームを組んで、分析をみんなでやるんです。
その結果を短時間でフィードバックしています。

西井:分析をするのは、担当している人ではなく、違う人間がやるということですよね。

阿部:はい。他の目線で分析してもらいます。

短時間で分析してフィードバックする必要があるので、そうなると単純に3つくらいしか言えないわけです。
その3つを動かしたらどのくらいインパクトがあるのか。それを選定して言う。これを2年くらい続けています。

初心者が陥るのは重箱の隅をつつくような分析ですかね。
ビジネスインパクトがない分析結果にはなんの意味もないということを学んだりできます。

うちは、ほかの広告代理店さんに比べると、一人あたりのアカウントは圧倒的に少ないと思うんです。
仕事が深くなるといういい面もあるんですが、知見がたまらないという悪い面もあるんです。
なので、強制的に文化に組み込みました。

社内であれば上司や隣の人のアカウントを覗くというのは簡単そうなんですが、実際に自発的に見る人って10人に1人です。
だから、強制的に人のアカウントを見る文化を創ろうというのが発端ですね。

自社のデメリットを、木曜日の午後で補っているという感じです。

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西井:それ、全然違う業界でも応用できそうですね。

阿部:いけると思います。

ただ、これがなかなか他の会社では難しいかなと思うのが、経営陣や意思決定者がプレイヤーの気持ちを汲みとっていないと不可能だ、という点なんです。
実際にその時間は就業時間中に実務から切り離して行うので、その時間働いたほうがいいよねってなりかねません。

西井:そこに対して、僕はプレイヤーなので、あまり疑問を持たなかったなー。でも、そういう考え方もありますよね。

阿部:実際に、木曜日の午後の施策が機能しだすまでに結構時間がかかったんですよ。

始めたころは、みんな重箱の隅をつついてしまって、ギスギスするんですよね。
お前に言われたくないよとか、今日やろうと思ってたとか(笑)。

でもそうじゃないよねっていう文化を作るのが一番大変で。
外の人に指摘されるより、社内で指摘されたほうがいいじゃないですか。

なので、「建設的な批判」という言葉を作ったんですけど。
第三者に指摘されるよりも仲間に言われたほうが絶対得なんですよね。だからこそ、中だから言える文化を創ろうと。

フォトグラファー:三浦一紀

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