「旅するマーケター」西井敏恭が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。

第4回は、リスティング広告やFacebook広告などの運用型広告を手掛けるコンサルティング会社、アナグラム株式会社の代表取締役である阿部圭司氏にお話を伺いました。

前編では阿部氏が考える組織風土、文化の作り方や如何にマーケターを育てるかお話をお伺いしました。

今回の後編ではより運用型広告に関するお考えをお話頂きました。

リスティング広告の5タイプ理論とは?

西井:せっかくなので、リスティング広告の話も聞きたいんですが。

SEOの辻さんが、SEOのポートフォリオを発表していましたが、阿部さんのなかでああいうものはあるんですか?
GDNとかYDNとかを含めて、単純に検索とか、こういう決まりでこういうバランスで、これにちょっと力を入れようみたいな。

阿部:辻さんは小中大と言っていましたが、僕の場合は業種ですね。

(ここからホワイトボードを使っての解説)

阿部:コマースデザインの坂本悟史さんが提唱している、eコマースの4タイプ理論というものがあるんですが。

上に行けば行くほど指名買い、右に行けば行くほど衝動買いという分布図があって、eコマースにはこの4つしかないということなんです。

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引用:『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』坂本悟史、川村トモエ著、インプレスジャパン、2010年

まさにリスティング広告も同じ。モノを売ることと問い合わせを増やすことは一緒なんです。そのなかで、リスティング広告は5タイプあるというのが定説です。

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左上の指名買い中心というのは、有名ブランドタイプ。ロレックスやオメガなどですね。
そういうのは衝動買いしないじゃないですか。ロレックスが欲しくて欲しくて、何日も悩んで買いますよね。基本的に家電もそうですね。

左下がニッチタイプ。みなさんが絶対買わないものです。一生検索しないタイプの商品。
剣道防具がいい例ですね。

でも、剣道防具は売れるんです。みなさんは欲しいと思うことはあまりないと思うんですが、剣道部ってまだまだあるのに、、街の剣道防具屋さんはそれほど見ませんよね。みなさんネットで買っているんです。ニッチだけれども、固定ファンがいるものというのは結構あるものなんですよ。

右下がオリジナルタイプ。いわゆる化粧品や健康食品などの単品通販です。

右上は総合タイプです。5タイプ理論では、ここをAとBに分けます。

タイプAは、DIYのように商品点数がものすごく多いとか、家具とかです。家具は、ネットで一番売りにくい商材だと思っていて。

家具というキーワードの中に、いろいろな志向の人がいるんですよ。高級家具から安い家具から、アジアン家具。
一つのキーワードの中にさまざまな趣向の人が隠れていて非常に難しいジャンルの一つです。欲しいものすら明確じゃないということも多いんですよ。
タイプAはネットで売りにくいとされているものですね。

タイプBは、近江牛とかですね。通販はもちろん、それ意外で年間のイベントで売り切りたいもの。
母の日とか父の日とか、お中元、お歳暮などでパッケージ売りができるもの。頻繁にイベントがありますからね。

基本的にはこの5つしかない。
例えば、オリジナルタイプであれば、衝動買い中心なんです。そうなると、検索からの衝動買いはしにくくなるんです、当然ですよね。
だって衝動買いなんですから自分が欲しいものを自分でまだ認識していない状態だといえます。そんな状態では問題意識をキーワードとして検索エンジン投げることは難しい。

じゃあ、どうやって衝動買いをさせるのかということで、GDNやYDN(ここではリマーケティングを含まない)と呼ばれているコンテンツ向け広告ですね。
ここから誘導して衝動買いさせるという。これが正しいやり方です。

ただし、オリジナルタイプでも人気になれば有名ブランドに寄っていくので、有名ブランドタイプよりのオリジナルタイプになります。

お客さんの商材やフェーズによって、戦い方は全然違います。むしろ、有名ブランドタイプのような指名買い中心のものはコンテンツ向け広告は不向きです。徹底的に型番とか品番を網羅したほうが効果があります。今だったらショッピング広告とか。

商材によって全然違うんですよ。なのに、リスティング広告というくくりでやってしまうから、リスティング広告がうまくいかないとか、やりつくしたということになってしまう。でも、ほんとうはそうではなくて、商材とフェーズ、場合によっては立ち位置などによって正しいポートフォリオが違うという話なんです。