「旅するマーケター」西井敏恭が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。

第5回は、お店に行くだけでスマホポイントが貯まる日本初のO2Oサービス「スマポ」、バーコード価格比較アプリ「ショッピッ」などを立ち上げたアントレプレナー、柴田陽氏にお話を伺いました。

前編では柴田氏が今までに作り上げてきたサービスと市場の見極め方を伺いました。

今回の後編では、渡米を通じて感じた日本社会に対する考えをお話し頂きます。

5年後に来るトレンドは何か考えている

西井:今気になっていることはありますか?

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柴田:アメリカに行って思ったことがありまして。僕が今までやってきたスタートアップは、1、2年後に流行ったらいいなっていうタイムスパンでやっていたんです。

それは、トレンドがそれくらいで来るだろうなっていうのから逆算して、今やっておけば1、2年後にブレイクするだろうと。

これはいいんですけど、これをやると、日本では一番になれるかもしれないですけど、世界で一番になるというのは難しいというのが僕の仮説です。

なぜなら、2年後ブレイクしました、日本で一番になりましたというとき、周りを見ると、中国ではこの会社が一番です、韓国ではこの会社が一番ですという感じで、国ごとに旗が立った状態になっている。

そこを攻めて取りに行くにしても、削り取るという作業になるので、難しいですよね。

西井:5年経ったりすると、逆に海外のほうが入ってきてなくなっちゃう可能性がありますよね。

柴田:難しいですよね。できれば先回りをしたい。

アメリカに行って思ったのは、2年のスパンでやっているスタートアップも当然たくさんあるんですけど、もうちょっと長いスパンでやっているスタートアップもあるなと。

例えば5年後にしか来ないであろうトレンドの準備をしているとか、もしくは火星に人を送るみたいに、20年後でしょうみたいなことに向けて準備をしているとかですね。

お金がたくさんあるというものそうだし、人がもっと自由な発想を持っていて、同調圧力が低い。

例えば、「僕は昆虫食のスタートアップやってます」って言っている人がいるわけですよ。

日本で僕が今ここで、僕は次に昆虫食やりますって言ったら、気が狂ったと思われるわけですよ(笑)。

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西井:一人知り合いでいますよ(笑)。でも、昆虫食も人口爆発が来れば。

柴田:来るかもしれないじゃないですか。10年後とかに。来たときにやっても遅いわけですね。

そういう多様性みたいなものがあって。そういうものでもチームに人が集まるし、お金もなんとかやっていけるくらいは集まる。

西井:なんで日本だとできないんですかね。

柴田:日本は、同調圧力が強いというのがすごく大きいというのはありますね。

例えば、今ならAIとか、フィンテックとか、ヘルステックとか。良くも悪くも熱しやすく冷めやすいというか、トレンドの焼畑農業みたいなことをやっていく文化性というか国民性なんですよね。

西井:それはなんなんでしょうね。

柴田:そういう社会なんだと思うんです。同調圧力が強いので、稟議でこれはフィンテックの新規事業って書くといいんじゃないかってなって、よくわからないけど稟議が通るという。

それに乗っかるというのはひとつの戦略としては正しいので、それはいいんです。しかし、それをやっていると短期的なサイクルになるので、5年後10年後に一番になるサービスを仕込むというのは、なかなかやりづらくなるんじゃないかなと思います。

今来ているトレンドじゃなくて、5年先くらいに来るトレンド。それでも近いのかもしれないんですけど、とりあえず5年後くらいというのをひとつのスパンにして、なんかトレンドはないかなと思って考えています。

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西井:それはアメリカに行って気がついたことなんですよね。

柴田:アメリカに行って初めてそう思ったんですよ。

それまでは、日本にいるとこれをやったらこれくらいには行くだろうけど、それで世界を取れる感じはしないなという、閉塞感みたいなのがあったので、単に知識が不足しているだけなんじゃないかと思って、アメリカに行っていろいろなスタートアップの話を聞いていたんです。

日本で知られてないサービスが向こうでとても流行っているという話はまったくなくて、あまり変わらないなというのが正直な印象です。しかし、何年後に向けて仕込んでいるかというところに焦点を当てると、それは結構ばらついていて。

日本だと結構手前に集まっているけれど、アメリカだと手前にもたくさんあるけれど、その先の部分にも結構たくさんいるというのは思いました。