Web担当者としてホームページの運営を行っていると、上層部からホームページの成果報告を求められることがあるはずです。

そのような時に役立つのがGoogleアナリティクスに代表されるアクセス解析ツールです。
アクセス解析を行えば、ホームページの現状が見えてくるだけではなく問題点も明確となります。
今回は、ホームページの現状を社内向けにわかりやすく報告するための、Googleアナリティクスを用いたレポート作成のステップを解説します。

ホームページ担当になって間もない方や、どのような内容を報告したらいいのかわからないという方はぜひ参考にしてみましょう。

レポートの種類

レポートには目的別に性質の違う2種類のパターンがあります。
それぞれの意味を押さえて、自分に求められている報告はどちらが近いのかを考えてみましょう。

1.モニタリングレポート

モニタリングレポートは、ホームページの監視を目的にしたレポートです。
ホームページの定期検診のようなもので、目的は3つにわけられます。

・急激な数値の増減を素早く発見する
・目標の進捗を見て、予測を修正する
・行った施策の初期評価

このようにホームページで何か大きな変化が起きていないか、現在どのようなアクセスを得ているかを把握する目的で用います。

モニタリングレポートは1回計測して終わりではなく、定期的にレポートを作成して変化を追っていくことが必要です。

2.ビジネスレポート

ビジネスレポートは、ビジネスやホームページの目標を達成することを目的にしたレポートです。

例えば「1年間に100万円貯金する」という目標を立てた場合、「1ヵ月の水道代1,000円分節約する」「1ヵ月の外食費用は10,000円まで」などの中間目標を立て、それらの進捗を確認します。

このように「いつまでに何がどのようになっているのか」を押さえた中間目標をKPIといい、目標達成までの戦略を立てるのに役に立ちます。

参考:
KPIとKGIの違いは?目標達成に欠かせない2大項目について徹底解説|ferret

ビジネスレポートはKPIに対してどこまで達成したのかを計測してまとめたものを指し、下記のような目的に利用できます。

・目標と実績のギャップの把握
・次のマーケティング施策の決定
・目標及びKPIの見直し

先ほどの例でいえば、貯金を初めて3ヵ月目に水道代の節約が月500円分にとどまっている場合、残りの9ヵ月で節約できなかった3ヵ月分の1,500円をほかで補うしかありません。
そのためには、1,500円分を食費から削ったり、目標貯金額の下方修正を行ったり、対策を講じるでしょう。

このように、ビジネスレポートはホームページの成果を測り、成果を生み出し続けるための体制を作るのに重要なレポートです。

レポート作成4つのステップ

1.報告する頻度と相手を決める

レポート作成の際、まず報告を行う頻度や相手を決定します。もしすでに社内で報告を行う場があるなら、改めて詳しくヒアリングを行い、どのような内容が求められているかを明確にしましょう。

広告や制作費の費用対効果を見たいのか、ホームページを見ているユーザー層を明らかにしたいのか、報告を行う人の立場によって求められているものは違います。
「いざ会議で報告してみたら、参加者から全く違う数値の報告ばかり求められた」という事態にならないように気をつけましょう。

2.盛り込む項目を決める

求められている内容に合わせて、レポートに盛り込む項目を決定します。
それぞれの項目の数値について「その項目を見る目的」「取得方法」「目標値」などを事前にリストにしておくと、レポートをスムーズに作成できます。

3.レポートの見せ方(フォーマット)を決める

レポートの内容が決まったら、表現方法を決めます。
同じ項目を含んでいても、並べ方や分類方法によって与える印象は変わります。

例えば、ユーザーの動きに合わせてページごとのアクセス数を表現したり、前年比・前々年比の数値を並べたり、見せ方は様々です。

4.レポートを作成する

レポートの内容が決定したら、あとは作成を行うだけです。
Googleアナリティクスの数字をコピーして、Excelでレポートを作成する方法では手間がかかるという方には、アクセス解析ツールを利用して自動のレポート作成を行うといいでしょう。

Googleアナリティクスでは、もともと様々な形式のレポートを用意していますが、自分でカスタマイズした内容を作成することもできます。

カスタマイズしたレポートの作成方法はこちらの記事で紹介しています。

また、Googleアナリティクスで作成しなくても、他にもレポートを作成できるツールがあります。このようなツールを活用して、作業の効率化を図りましょう。

参考:
サクッと自動!Googleアナリティクスで面倒なレポート作成をしてくれるサービス・カスタムレポートまとめ11本+α|ferret

レポートでおさえておきたい9の項目

Googleアナリティクスを使ってレポートを作成する際に押さえておきたい基本的な9つの項目を紹介します。
レポートに入れるべき項目は、各ホームページの目的や報告の対象者によって変わるので、基本的な項目を参考にしながら必要なものを洗い出していきましょう。

1.セッション数

セッション数」とは「ホームページに訪問した回数」を指します。
ホームページに訪問してから、ほかのホームページに移動するなどの離脱行為を行うまでを1セッションとして計測します。

ホームページにどれだけの人が集まっているのかを見るための基本的な数値と言えるでしょう。

2.PV(ページビュー)数

PV数」とは、ホームページ内でページが表示された回数を指します。
例えば、ホームページ来訪者が「商品紹介ページ」を見た後に「会社概要ページ」、そして「問い合わせページ」へとページ遷移した際、PV数は3となります。

情報発信を行うメディアのホームページなどは、PV数の伸びを見ることで、ユーザーに対して魅力的な内容を発信できているかを知ることができます。

3.ユーザー数

「ユーザー数」とは、特定の期間の中でホームページを訪問した人の数を指します。
例えば、1ヶ月以内に同じユーザーがホームページに2回セッションした時、ユーザー数のカウントは1となります。

この期間はGoogleアナリティクスで指定することができます。

4.新規ユーザー率/リピーター率

ユーザーのうち指定した期間内に初めてホームページを訪問した人の割合を「新規ユーザー率」といい、指定した期間内に2回以上訪問した人の割合を「リピーター率」といいます。

ネットショップのような顧客の定着を狙いたいホームページなどは、大切にしたい指標です。

5.滞在時間

ページごとの平均滞在時間や訪問時の平均滞在時間など、滞在時間の計測もホームページの評価の一つの指標となります。

商品ののコンセプトや背景を深く読んで欲しいブランド紹介ホームページなどでは、滞在時間を見ることでユーザーに興味を持って読まれたかを把握することができるでしょう。

6.離脱率

離脱率とは、あるページにあるセッションのうち、そのまま別のサイトなどに離脱してしまった割合を指します。

例えば、見積もりのページ離脱率が高い場合、見積もりのページがわかりづらかったり、価格に納得がいかなかったりなどの理由が考えられます。

参考:
曖昧になっていませんか?直帰率と離脱率の違いを徹底解説|ferret

7.CV(コンバーション)数/CVR(コンバーション率)

コンバーションとはホームページが狙う成果を指し、コンバーション数とはその回数、コンバーション率とはセッション数に対するコンバーション数の割合を意味しています。

ホームページによって設定しているコンバーションは異なり、ネットショップであれば「商品の売り上げページへの到達」サービスの紹介ページであれば「問い合わせの完了」などが挙げられます。

8.主要動線の遷移率

遷移率とは、あるページから別のページへ移動した割合を指します。
ネットショップなどのホームページでは、ユーザーに辿って欲しい理想のルートを設計し、そのルートのとおりにユーザーが動いているかどうかを見ることで、各ページごとの問題点を洗い出せます。

採用向けホームページのように、自社のホームページからリクナビやマイナビなどの別のホームページへと移動することが望ましい場合、移動した先の成果を測ることも大切です。

移動先のページセッション数や採用のエントリー数を合わせて測るようにしましょう。

9.SNSごとのシェア数

キャンペーンサイトや情報発信を行うメディアなどのホームページでは、SNSでの広がりも意識したい数値です。

FacebookやTwitter、インスタグラムでの反応を知る意味でも把握しておくようにしましょう。

参考書籍:
『達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座』(小川卓+野口竜司/翔泳社)

まとめ

ホームページの成果の指標は、ホームページの目的によって異なります。自分の担当しているホームページがどのような目的を持って運営されているページなのかを把握した上で、それに合わせて以下の4つのステップを踏んでいきましょう。

・報告する頻度と報告を誰に行うかを決める
・まとめる項目を決める
・レポートの見せ方(フォーマット)を決める
・レポートを作成する

PVCVRなど、最初は聞きなれない単語も多いかもしれませんが、ホームページがきちんと成果につながっているかを測るための大切な指標なので、しっかり覚えていきましょう。

社内の納得する具体的な数字を出せるようになれば、予算の獲得や運営人員の確保にもつながります。レポートの作成作業の手間は惜しまず、丁寧に検証を行っていきましょう。

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こんにちは。株式会社WACULの鐙谷 直貴と申します。今回は、Googleアナリティクスから得られる膨大な情報の中でも、まさに“ここだけ見ておけば大丈夫”というような見るべきポイントを厳選してご紹介。記事の前半では、Googleアナリティクスを使った確認手順を解説するので実際に操作しながら、Googleアナリティクスの使い方に慣れていきましょう。

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