ビジネスの本質を重視する

楽天のシステムは、お世辞にも最新テクノロジーの集まりとは言えません。もちろん、個々には素晴らしい技術はたくさんありますが、とくにデザインやユーザー体験という点では、評価されているとは言いがたいものです。

楽天TOPの変遷

楽天のトップページも、いまどきのグリッドデザインでHTML5でバリバリのスタイリッシュなものではありません。しかし、長い間変わっていないことからも、それが彼らにとっては本質でないことが伺えます。

かごボタンは健在

コンバージョンに大きく貢献するであろう「かごに入れる」ボタンのデフォルトも、じつは当時から全く変わっていません。

無論、内部事情を聞いたわけではありませんし、カートボタンの変更は影響が大きいのでおいそれと変えられない、ということもあるでしょう、ですのであくまで推測ですが、ビジネスをスケールさせる、という点からはこれらのことは小さなことなのかもしれません。どの企業でもリソースは限られているはずです。

学び4 スケールさせるにはどこにリソースを割くのかが重要。

前のめりな姿勢

楽天は、少々やりすぎてしまい物議を醸すこともあります。

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第2回 なぜ,楽天の商品ページはものすごく縦に長いのか?:グングン売上がアップする!ネットショップ構築のポイント|gihyo.jp … 技術評論社

これらのことに巻き込まれる人はたまりませんが、それでも今日のWebマーケティングに大きな影響を及ぼしていることは疑いのない事実です。

縦長いページ

とくにネットユーザーからは、異様に縦に長いページが評価されなかったこともありました。しかし、振り返ってみますと、現在のランディングページにも通じる、ユーザーをその気にさせるという手法を先行していたともいえます。

たくさん届くメルマガ

メルマガは現在ではどのショップでも使っている手法です。その頻度はともかくとして、読ませるメルマガ、解除されないメルマガ、クリックしてもらうタイトル付けなど、多くのノウハウや可能性を示してくれたはずです。

対応の早さ

設定がしづらい端末を発売したとして、糾弾された楽天kobo。ショップに2重価格を推奨したとして批判を浴びたセール。そのこと自体は歓迎すべきことではありませんが、その後の対応はいたって真摯(しんし)なものです。強気な発言をすることもありますが、結果として現場のサービスは向上していることがほとんどです。

楽天koboについては、現在蔵書点数も20万点をこえ、最新の専用端末Kobo Aura H2Oは、「予約開始わずか1時間で予約分が売り切れ」という盛況ぶりです。また地方に移動図書館を展開し社会的活動にも積極的です。

参考リンク楽天Koboのマーケティング戦略 ── JEPAセミナーレポート:見て歩く者 by 鷹野凌
参考リンク【楽天株式会社】│楽天いどうとしょかん

二重表示についても、意見を通報できるようなシステムや窓口の設置、消費者庁よりも厳しいガイドライン策定、その監視をする体制を作り、現在では模倣ブランド品の補償まで対応するほどです。

参考リンク楽天市場が「不当表示」から学んだこと - CNET Japan
参考リンク楽天株式会社: 情報セキュリティの取り組み < 楽天グループの取り組み
参考リンク【楽天市場】ブランド模倣品補償

振り回されている関係者もいるかもしれませんが、世界と戦うためにはこれくらいの前のめりな姿勢が必要なのかもしれません。もちろん、不祥事自体は喜ばしいことではありませんが、その積極性とその後の対応は認められても良いのかとは思います。

縦に長いページメルマガの効果を大きく示したことは、記憶にとめておいても良いかと思います。

学び5 前のめりに挑め、ただトラブルは真摯に取り組め。