昨今、デジタルマーケティング領域において「CRM」という言葉をよく目にする、耳にする人も多いことでしょう。これから「CRMツール」の導入を検討している会社も少なくないかもしれません。

CRM」とは、「ITツール」のことを指す場合と、デジタルマーケティングにおける「考え方・戦略」を指す場合とがあります。この記事では、主に「考え方・戦略の側面にフォーカスして解説していきます。

CRM導入に前向きではあるが、「高い買い物なので失敗したくない」といった理由から、決断に踏み切れない、あるいは、上司を説得できていない人に向けて、CRMを今、導入する必要性を時代背景に鑑みて改めて理解していきましょう。

そして、導入後にうまく軌道に乗せるためのポイント、失敗に陥らないために押さえておくべきポイントについてもお伝えします。

目次

  1. なぜ、今CRM活動が重要なのか?
  2. 「CRM活動」導入のポイント
  3. こんなケースは失敗につながる!予め知っておこう
  4. CRMを「高い買い物」で終わらせないために

なぜ、今CRM活動が重要なのか?

CRM」とは「Customer Relationship Management」の略語です。直訳すると、「顧客との関係を管理する」といった意味合いになります。

中には、この「CRM活動」の専門部署を置いている企業も存在します。例えば大手EC事業者などで、「新規顧客獲得より、既存顧客のリピート購買を伸ばしたい」という目的を持って活動している例などが見られます。

なぜ昨今、「CRM活動」がそれほどまでに重要視されているのでしょうか?

新規顧客獲得に注力するより、「既存顧客囲い込み」が重要な時代である

例えば自社の直近の売上について、「売上の大部分を支えているのは、お客さんのうち何%の人たちですか?」と聞かれて、数値をパッと明言することはできるでしょうか。

上記のような問いに対する興味深い仮説があり、それは*「パレートの法則と呼ばれるものです。「パレートの法則」とは、「売上の80%を占める部分を、20%の顧客が支えている」*という考え方で、「80対20の法則」とも呼ばれています。

これはあくまで「仮説」であり、これまでの社会におけるビジネスの歴史などから導き出された経験則として考えてください。しかし、自社の「売上額」「顧客の購買行動」を細かく分析していった場合、大まかには当てはまるとも言えるものです。

こういった、「自社の売上に関する数値」「自社の顧客の購買行動」といったものを「見える化」して、日頃から分析を行い、企業としての次の打ち手を客観的なデータに基づいて判断することこそが「CRM活動」なのです。

もし本当に数値面で、「自社の売上の80%を、20%のコアなお客さんが支えてくれている」ということが明らかになったら、その「20%のコアなファン」に対して日頃からもっとおもてなしをしたり、サービスを手厚くするなど、繰り返し買ってもらうための施策に注力するべきです。

「1人のお客さんが、一企業の商品・サービスについて生涯を通して何回繰り返して購入するか」ということをマーケティング用語で*「LTV(Life Time Valuie=顧客生涯価値)」*と言います。

お客さんのLTVをどんどん上げて、自社の売上を支えてもらうためには、「20%のコアファン」を追いかけるほうが効率的だという見方もできます。残りの80%は「ファン度合いが浅い人」であり、こちらから頑張って追いかけても「すぐ離反するかもしれない、つまり、生涯を通して自社であまり買ってくれない人」だからです。

現代社会は「情報化社会」などと言われて久しいですが、特に近年はSNSやレビューサイトの影響で、一般消費者は溢れるほどの商品・サービス情報に日常的に触れています。

その観点からも、「すぐ他社に浮気する大多数の人」を追いかけるより、「自社の熱心なファンである少数の人」をさらに熱く育てること、つまり、「既存顧客の囲い込み」が重要性を増していると言えるのです。

その*「囲い込むべき対象者」をまずは洗い出してリストアップすること*が、CRM活動の第一の基本となります。

多様なニーズへの対応が必要な時代である

前述した仮説「パレートの法則」に沿って考えると、*「20%のコアファン=自社と積極的に接点を持ちたい人」「80%の低関与顧客=自社と積極的に接点を持とうとは思っていない人」*とも言えます。

現代の消費者ニーズは、多様化・細分化してきています。全員のお客さんに対して、一様に同じアプローチをかけることが正解とは言えませんし、効率的な顧客育成活動だとも言えません。

具体的に言えば、例えば以下のようなアプローチの仕方が考えられます。

20%のコアファンに対して

イベントやセミナー、工場見学招待など、他の消費者とは一線を画すようなVIPなおもてなしをして、自社に対する関与度・ファン度をますます熱くしていく

80%の低関与顧客に対して

メルマガやLINE、SNSなど、顧客の日常に自然に溶け込む形で、煩わしいと思われない程度を見定めて情報発信していき、接点を維持していく「CRM活動」を自社に導入することで、このように顧客を明確にセグメント化し、各顧客に対して細分化された最適なアプローチを行っていくことも可能になるのです。

客観的データに基づいた「打ち手」を繰り出すことに寄与

これまで述べてきたように、「CRM活動」では顧客一人一人の購買行動を可視化し、スコアリングし、明確にセグメント化することが可能になります。

それによって、「データ」という客観的な指標に基づいた「次の打ち手」を繰り出すことができるようになるのです。つまり、日々の営業活動が効率的になるという、プラスの効果が期待できます。

CRM活動」が自社内でうまく軌道に乗れば、たとえ営業部門に人手が少ない会社であっても、効率的な営業活動をアシストしてくれるものとなるのです。

「CRM活動」導入のポイント

それでは、「CRM活動」を自社に導入する際に、うまく軌道に乗せるためには具体的にどんなポイントを押さえておけば良いのでしょうか?

目標を定める

まずは、「目標」を定めましょう。そもそも、どんなゴールのために「CRM活動」を導入するのか?を明確に描く必要がある、ということです。

CRM活動」の仕組みを導入してどうなったら成功なのか、定量的な目標を定めましょう。そうすれば自ずと、ゴールに向かう過程で何を可視化すべきかが見えてきます。

<例>

  • 継続率を●%向上させる
  • 離脱率を●%下げる
  • 顧客単価(クロスセル・アップセル)を●%上げる
    など

何となくの目標やスローガンのようなものではなく、必ず数値に落とし込み、それを社内の関係部署で共有し合うことが重要です。

顧客情報をどんなチャネルから収集・蓄積していくのか具体的なプランを立てる

CRM活動」を展開する上で、まずは顧客情報データベースを構築しなければ意味がありません。そのためには、日々、どんなチャネルから顧客情報を収集・蓄積していくのか、実現可能なプランを立てましょう。

<例>

  • 営業部門が獲得してきた名刺情報から顧客情報を集める
  • イベント、ウェビナー、展示会開催などにより顧客情報を集める
  • ホワイトペーパーダウンロードにより、顧客情報を集める
  • LINE公式アカウントの開設、運用で顧客情報を集める
  • メールマガジンの運用、購読登録で顧客情報を集める
  • 自社Webサイト上でアンケートコンテンツを展開し、回答者情報を集める
  • 会員登録できる基盤(コミュニティサイトなど)を自社で構築し、会員情報を集める

顧客基盤を築いた先で、どんな指標を可視化したいのか決めておく

CRM活動」では、顧客の氏名、年齢、住所だけでなく、購入・利用の履歴や問い合わせの内容などのデータを収集し、管理を行います。

このようなデータを収集・蓄積して顧客基盤を築いたその先では、どんな指標を可視化して、営業活動の判断材料としたいのかを明確に決めましょう。

<例>

  • 1人あたりの購買回数を可視化したい
  • 1人あたりの顧客単価を可視化したい
  • 顧客維持率(顧客を維持し、離脱を防止すること)を可視化したい
    など

社内での「CRM活動」運用ルールを決めておく

そして、導入前に社内での合意形成も必須です。昨今、リモート勤務体制が中心になっている会社も多いことと思いますが、リモート勤務であっても部門間を超えて連携体制を取ることが本当に実現可能か、よく検討しましょう。

CRM活動」を始めるにあたり、また、そのためのITツールを導入するにあたり、社内で責任の所在が宙ぶらりんになったり、ツールそのものが「宝の持ち腐れ」となってしまわないよう、予め部門内での責任者、部門間での連携についてルールを明確に決めておく、ということです。

<例>

1.システム管理部門責任者:

SE、インフラ担当者など。
ツールを滞りなく使えるよう、システム面でのメンテナンスサポートを行う人。特に「クラウド型CRMツール」ではなく、「オンプレミス型CRMツール」を導入する場合には、社内でのシステム・サーバーメンテナンスや日々のサポート体制が必須。

2.顧客情報管理責任者:

営業事務の人など。
収集した顧客情報をいかに正確に管理するか、責任を持つ人。

3.CRM活動の推進責任者:

営業部門など。
「何のために自社内でCRM活動をしているのか」「CRM活動のゴールは何なのか」について社内に連携を呼びかけ、推進をする人。

1〜3の連携が常にスムーズに行われるような体制づくりが重要です。もし「CRM活動」のフローが行き詰まってしまったら、どこに原因があるのか迅速に発見・解決できるようにしておきましょう。

こんなケースは失敗につながる!予め知っておこう

最も陥りやすい罠は、CRMツールを自社で導入したから、これでうまくいく、成果が出る」と思い込んでしまうことです。

「ツールありき」と誤解している

先述したように、「目標」「顧客情報の絶え間ない収集・蓄積」「可視化したい項目の明確化」「社内の運用体制」がいずれも入念に整っていなければ、たとえCRMツールを導入したとしてもうまく軌道に乗りません。

ツールはあくまで「手段」であり、「目的」ではないと理解しましょう。

顧客情報の収集・記録が不十分である

CRM活動」を展開する上では、顧客情報を絶え間なく収集・蓄積して顧客データベースを築くことが欠かせません。しかし、集めた情報が不完全なものでは意味をなしません。

例えば、顧客の氏名、年齢、住所、購買・問い合わせ履歴などのうち、自社で何らかの指標を掲げる上で必要なデータが足りていなければ、次の打ち手のための分析ができなくなってしまいます。

不完全なデータをいくら集めても営業活動に使い物にならず、高額な資金を投入して購入したCRMツールの良さも発揮できずじまいになってしまうでしょう。やがては、社内で不満が溜まっていくことにつながります。

そのような状況に陥らないためには、やはり*「CRM活動を展開する目的は何か?」「何を可視化したいのか?」を明確に描き、それに最適化された形で顧客情報を集める*ところからスタートさせる必要があるのです。

社内体制が不完全である

例えば「顧客データを責任を持って入力・整備・運用する責任者がいない」「CRM活動そのものの推進者がいない」など、社内体制が不完全なまま、見切り発車でスタートしてしまうことは絶対に避けるべきです。

責任の所在が不透明になると、社内の部門間で責任の押し付けあいにつながります。すると、CRM活動そのものに社内で理解が得られない、あるいは、最終的なゴールが浸透せず、いつしかCRM活動そのものが行き詰まってしまうのです。

CRMを「高い買い物」で終わらせないために

自社に「CRM活動」を導入するためには、社内での合意形成・体制構築の労力もかかりますし、CRMツールそのものの導入・運用コストもかかります。

それは、長期的に見ても決して少ないとは言い難いコストになります。「単なる徒労」「単なる高い買い物」となってしまわないよう、まずは事前の計画策定にしっかりと時間をかけることをおすすめします。

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