1月28日、株式会社はてな主催の「はてなオウンドメディアマーケティングセミナー」が開催されました。
今回で5回目の開催となる「はてなオウンドメディアマーケティングセミナー」は、オウンドメディア運営にまつわる様々な課題についての講演を行っています。
今回は「良いコンテンツをユーザーに届けるためには」をテーマに、コンテンツの流通手段として注目されているキュレーションアプリ、ネイティブ広告、SNSに焦点をあて、それぞれの分野に明るい3名を招いての講演が行なわれました。

登壇者紹介

川崎裕一氏(スマートニュース株式会社 執行役員 広告事業開発担当)

1999年慶応義塾大学経済学部卒業。同年日本シスコシステムズ(現シスコシステムズ合同会社)入社。ネットイヤーグループを経て、2004年8月にはてな入社。同年12月、取締役副社長に就任。2010年2月、kamadoを設立し、代表取締役に就任。2012年12月、ミクシィがkamadoを買収したことに伴い、2013年1月にミクシィ入社。執行役員クロスファンクション室 室長を経て、2013年6月取締役。2014年8月から現職。

大久保亮太(株式会社はてな ビジネス開発本部 事業開発部長)

大学卒業後広告代理店を経て2011年にはてなへ入社。事業開発部と営業部を兼務し、はてなの広告全般とアドテクノロジーを活用した事業開拓を行う。 

涌井瑞希氏(ヤフー株式会社 メディアカンパニー ニュース事業本部編集部)

2013年度に新卒でヤフーに入社。Yahoo!ニュースのトップページに掲載されている「トピックス」の編集を行う。Yahoo!ニュースが持つFacebook、Twitterアカウントの運用を担当している。

※プロフィールはイベントページから抜粋

1.キュレーションアプリ「SmartNews」を活用したオウンドメディア集客事例(スマートニュース川崎氏)

キュレーションアプリ「SmartNews」を提供するスマートニュース株式会社の川崎氏による講演です。

検索以外の流入経路の成長

スマートフォンにおいてネット利用の可処分時間はブラウザよりもアプリが優位となっている状況のなか、「コンテンツマーケティングをやるのであれば、ブラウザだけだけでなくYahoo!やSmartNewsなどのニュースアプリにどう載るのか意識せざるをえない時代」になりつつあります。

一方で、アプリ自体の競争が激化しています。
スマホユーザーが一月に利用するアプリの数は、平均で27個。そのうち、10回以上使用するアプリはわずか9個です。
その9個の枠をめぐって激しい競争が起きています。

日本国内ではニュースアプリがよく使われる傾向にありますが同じニュースアプリでも使われ方が異なります。

【ニュースアプリの利用傾向】
セッション回数が多い(何度も見る)→LINEニュース、Yahoo!ニュース

1セッションあたりの利用時間が長い(じっくり読む)→Antenna、NewsPicks

どちらも多い→SmartNews

SmartNewsの仕組み・考え方

ニュースアプリである「SmartNews」は、ユーザーが良質な情報を見つけられる機会を提供することを目的としています。
編集部は設置せず、配信するニュースは全てアルゴリズムによって選定されています。

川崎氏は、SmartNewsを集客に利用する場合、コンテンツ制作時に以下の3点に気をつけるよう促しています。

・利用時間の長いSmartNewsは1つ1つの記事がじっくり読まれる傾向にある。ある程度の文章や画像を備えた読み応えのあるコンテンツを目指すこと

コンテンツと並行して自社ソーシャルメディアを育成し、コンテンツ更新の際にタイミングを合わせて配信する

・レスポンシブデザイン、ソーシャルボタンは適切な位置に配置し、オウンドメディア自体のファンをあらゆるかたちで蓄積すること

オウンドメディア活用事例としては、熊本に本社のある、光で目覚める目覚まし時計を作る会社が取り上げられました。
あるオンラインメディアが目覚まし時計を記事内で紹介し、SmartNewsに配信されるとその記事だけで1日で200万円以上の売り上げを記録しました。
全国放送の民放地上波番組で取り上げられた時よりも直接的な反響があったようです。

2.オウンドメディアを成功に導くはてなブックマークにおけるネイティブ広告の考え方

-(株)はてな 大久保亮太-
株式会社はてなの広告部門を担当されている大久保氏による「はてなブックマークのネイティブ広告」についての講演です。

日本最大のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」は、ツール・メディア・コミュニティの3つの側面を持ちます。

はてなブックマークであがりやすいのは?

はてなブックマークで人気が出た記事は他のSNSでも拡散されやすい傾向にあり、バズのきっかけをつかむことができます。大久保氏は、はてなブックマークで人気を得るためには「コンテンツタイトル」が重要だとしたうえで、更に以下の様な共通点があると述べています。

・適度な情報量

・虚偽や誇張がなく信頼性が高い

・独自性がある

はてなブックマークユーザーにはWeb関係者が多く、プログラミング系のツールやノウハウなど、一旦残しておいてあとで見たいものが好まれる傾向にあるようです。

タイトルと記事の整合性を守ってがっかり感をなくすこと、逆に一言言いたくなるような記事もブックマークがつきやすいようです。

3.ヤフーニュース編集部が行うネットで読まれるためのFacebook運用

-ヤフー(株) 涌井瑞希氏-

Yahoo!ニュース編集部でFacebook運用も担当されている涌井氏による講演です。

Yahoo!ニュースのFacebookページでは、ただ自社媒体をPRするだけでなく面白い読み物の更新を目指しており、KPIもそれに沿った設定がされています。

Facebookページ運用におけるKPI
・ファン数とリーチ。
流入数はそこまで見ていない。
・ファン数が伸びればリーチも伸びる。

Facebookページには6時~24時の間で32回投稿していますが、あまりに投稿が多すぎるとネガティブフィードバック(いいね!解除、通報、ブロックなど)が起きてしまいます。
色々テストした結果、Yahoo!ニュースの場合は32回ぐらいがちょうど良い結果になったようです。

リーチをのばすためには?

Facebookでリーチを伸ばすためには、以下の3つのいずれかを伸ばさなければいけません。

・いいね
・コメント
シェア

伸ばしやすいのはいいね>コメント>シェアの順です。

投稿の形式も重要

涌井氏は、「大前提として画像があること、画像が大きいことは必須の要素」と延べ、画像設定と掲載するテキストの長さについても言及しています。

画像について
600×315pixelを守る
画像をアップロードする際はあえて縦構図も有効

テキストについて
テキストの長さも大事。その説明で伝わっているかが大事
短くできるものは短くしたほうがいい。でも説明しきることが大事。
(長いテキストの方が受け入れられる場合もある。)

動画について

Facebookでは動画の投稿も可能ですが、どのような動画を投稿すればいいのか、そもそも動画には効果があるのか考えあぐねている企業様は多いのではないでしょうか。
Yahoo!ニュース編集部ではFacebook上での動画の効果を検証するためにABテストを実施したようです。

ABテスト内容
動画をアップロードしたものと通常の画像付きの記事の2パターンを同時配信。
20回ほど実施。

結論
動画だからといって拡散しない。
映像そのものに魅力がないと難しい。
絵に変化が無いインタビュー動画は弱い。

動画は訴求力が高いコンテンツとして注目されているものの、動画だから全て良いわけではないようです。あくまで、コンテンツの表現手段として動画が最適だと判断した場合に利用するものだということが実験結果から読み取れます。

まとめ

異なるプラットフォームを展開する3名からコンテンツの流通についての持論が展開されましたが各社に共通していたのは、ユーザーにとって良いコンテンツを作るべきであり、ユーザー属性に合わせてプラットフォームやアウトプット方法も最適化しなければいけないという前提です。

例えば、SmartNewsとはてなブックマークはキュレーションサービスという同じ枠組みに位置づけることができますが、SmartNewsはアルゴリズムによりニュースを精査し、はてなはユーザーのブックマーク数を掲載基準としており、コミュニティとしての要素も併せ持っています。
このように、プラットフォーム2つを比べても特徴に違いがあり、メインユーザーも異なるのは明らかです。

自社ユーザーとプラットフォームをしっかり理解してマッチングできなければ、コンテンツの流通がうまくいく可能性は低いでしょう。

まずは自社ユーザーの興味関心を把握し、最適なコンテンツ作りを突き詰めたうえでプラットフォームを選定してみましょう。

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