pairsが成功した3つの要因とは?

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赤坂:プロダクトの差別化なんて、当初はあまりありませんでしたからね。最近、何がよかったのかということを考えていて。大きく分けて3つあります。

一つ目が、そもそもマッチングサービス事業のセンターピンを理解していたこと。人と人が出会うサービスは、人がコンテンツ。我々は箱しか提供していません。

コンテンツとしての価値を作るには、まずユーザー数が圧倒的に必要です。イコール、広告宣伝、プロモーションが一番重要ということを理解していたことです。
そこでFacebookマーケティングに力を入れて、800万人のプラットフォームを作っていったわけです。

次が、お客様のニーズ把握です。化粧品会社ならきれいになりたい。フリマアプリなら自分の出品したものを高く売って、欲しいものを安く買いたい。pairsは「人と人が出会えること」なんです。

100万人登録されているうちの1万人のすごく高スペック層がモテるのは、リアルの社会でも当然のこと。ネット上でもそういう人しかモテなければ、結局トップ1%のマッチングで終わり、ここの中での課金に頼るしかない。

となると、このモテる層を2%、3%、5%にしていくことで売上を上げていくしかない。要は、ピラミッドのトップをいかに下げられるかが課題だと思ったんです。

当時、競合サイトのトップページを見てみたら、表示されるのはイケメンとかわいい子ばかりだったんですよね。これは新規のお客様が、トップページを見てイケてるね、かわいいねといって「いいね!」をして、「いいね!」が足りなくなったら課金してもらおうという発想だったんだと思います。

僕らは逆で、イケメンと美女に「いいね!」が集中した結果、結局「いいね!」を返してもらえる総数が減るためマッチング数が減るというのは問題だと。トップページにそういう人たちがいることによって、「いいね!」の分散が行われないので、1%に集中してしまい、ピラミッドのトップを下げられないんです。だから、「マッチングサービスのセンターピンはどうあるべきなんだ?」という定義をずっと考えていてPDCAを回し続けました。

その結果、他社のサービスとの比較テストを行ったら、1ヶ月間に1人当たりがもらったいいね!数が7倍多かったんです。そして、「pairsはいいね!が返ってくる」というアフィリエイト記事が増えていくんです。これが結構大きかったなと思います。

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西井:それはおもしろいですね。

赤坂:もうひとつがマクロなことなんですけど、サービスとメディアの相性ですね。pairsとFacebookがすごく相性がよかった。

先ほどのLINEの話で、スタンプで囲い込んだユーザーがファンになるかという問題。うちはそこがハマった。なぜなら、pairsはまず文化がない。

ネット上で健全に人と出会うということは初めてのことなので、リーチが必要でした。要は、深度よりも幅が必要だったということ。そして、カジュアルゲームや占いアプリで遊ぶお客様と、pairsで出会いを求める人は一緒だと思っていました。

もっと言えば、出会いは万人が求めていると思っていたんですね。これが、化粧品なら同じようなマーケティングはできなかったと思います。

僕らは、カジュアルゲームや占いアプリで獲得したお客様を、pairsという本体に繋ぐブリッジをちゃんと作っていたので、成功したのだと思います。