2017年“イケてるマーケター”は増えたのか?

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飯髙:
以前、西井さんと「マーケティングジャーニー」という企画で対談を行いました。その時、「イケてるマーケターを増やしたい」という想いがありましたが、西井さんの肌感覚でなにか変化はありましたか?

西井 氏:
僕が「マーケティングジャーニー」で対談した方々は、皆継続して活躍されてらっしゃいますね。でも、新たにイケてるマーケターが増えたかと言われれば……理想的な状態にはほど遠いですよね。

飯髙:
そうですよね。マーケターの有効求人倍率も凄いことになっていますよね。「マーケターがいない問題」みたいな……(苦笑)

マーケティングって新卒の時、ある種の憧れがあるじゃないですか。新商品開発のイメージなど。でも、いざ入社すると泥臭い仕事を任されたりします。そういう問題もあるかもしれませんね。

西井 氏:
泥臭い仕事は多いですね。でも、マーケターのスキルが可視化できないことも問題かなと思っています。

若手に限らず、マーケターが優秀かどうかというのは見えづらいんです。僕が20代のころのWeb業界であれば、SEOリスティング広告を運用できれば良かった時代でした。しかし、今はFacebook広告を運用したり、DMPも理解していないといけない。加えてデータ分析も必要です。

やらなければならないことが多様化してきているため、上司も全てを理解できません。若手自身もどこから入ってきたら良いのかがわからない。

僕の時代であれば、「SEOが今アツい」と聞いたら1年間死ぬ気で頑張る。すると、業界でトップクラスのプロフェッショナルになれたんですよね。

今は「デジタルマーケティングが出来ますよ」と言っても、具体的に何が出来るのか漠然としてしまう。スキルを可視化できないことは大きな問題だなと思います。

情報が多様化する時代に変化した「マーケター」の定義

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飯髙:
そもそも、マーケターって、一般的に「売れる仕組みを作る人」などと定義されると思います。僕はメディアの人間なので、その視点からお話をすると、プラットフォームの多様化やデバイスの変化が起きている中で、ユーザーにいかに買いたい・使いたいっていう体験を提供するかってことが大事と思っています。仕組みもそうですけど、“ユーザーにとって”という部分がすごく重要だと感じています。

西井 氏:
そうですね。「マーケティング」を日本語で説明すると何か。という話でいえば、「買いたい気持ち作り」という言葉を、オイシックスドット大地株式会社の代表である高島から教わりました。

じゃあ、ユーザーが「買いたくなる」ためにはどうしたらいいのか。それを考えられるのが広義の意味としてのマーケターだと思います。すると、社員全員がマーケターでなければなりません。「マーケティング」という言葉が特別じゃなくなるのかもしれないなと思っています。

飯髙:
そうですね。経営とか人材採用や育成もすべてマーケティングと言えますね。

西井 氏:
学生の頃、数学や国語が必須教科だったように、お客様と接点を持つ全ての領域の人にマーケティングは必要です。

でも、企業では、「広告宣伝」や「商品開発」をやっている人が「マーケティング部」に所属している場合が多いんですよね。そのどちらかを「マーケターの仕事だ」と言う人もいますが、実際に行うお客様とのコミュニケーションってそこだけではありませんからね。