「新規ユーザーの獲得は順調に伸びているのに、売上が上がらないのは何故だろう……」

これは、アプリやWebサービスのマーケティング担当者が直面するよくある問題の1つです。この問題を解決するためには、**「リテンション」**と呼ばれる重要指標があります。

今回は、ユーザーの定着率を示すリテンションとは何かを解説し、リテンションを上げるために試してみたい5つのポイントをご紹介していきます。

継続的な売上の拡大にリテンションを高めることは必要不可欠です。何が問題で、どうしたらいいのかを考えてみましょう。
  

リテンションとは?

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画像引用元:Unsplash

リテンション(retention)は、デジタルサービス、特にWebサービスやアプリマーケティングにおいて使われる言葉で、ユーザーにアプリやサービスを継続的に使ってもらうための定着度のことを指します。

Webサービスやアプリのプロモーションでやってしまうよくある間違いの1つは、ユーザーの新規獲得やユーザー1人あたりの売上ばかりを追いかけてしまうことです。

ただし、リテンション対策が後回しになってしまうのは、財政担当サイドの言い分もあります。

「わざわざ獲得したユーザーに費用を回すのなら、新規獲得に回したほうが事業が成功するんじゃ……」
「新規獲得が上手くいっているから獲得したユーザーへのプロモーションは時期尚早では……」

もちろん新規獲得や単価向上は重要なことですが、継続的なキャッシュフローを生み出す源泉である既存ユーザーがアプリを開かなくなって、結局アンインストールしたりサービスを解約するようになってしまえば、キャッシュフローの先細りにつながってしまいます。
  

リテンションがなぜ重要なのか?

結局のところ、アプリがダウンロードされて新規ユーザーが新しいプロフィールを作成してユーザー登録を完了させても、*アクティブユーザー(AU、実際に利用しているユーザー)*がいなければ、高いダウンロード率を自慢したところで無意味であるということに気付かされます。

モバイルアプリにおいては、エンゲージメントリテンションアプリ成長を加速させるための主要な指標になります。

エンゲージメントは、アプリを立ち上げた後、どれくらいアプリ内で活発に活動するかを指標化したものでアプリのジャンルにもよりますが、モバイルアナリティクスサービスLocalyticsでは、1ヵ月に10回以上のセッションを立ち上げた割合を指標としています。

一方、リテンションは、最初のセッションから3ヵ月以内に戻ってきたユーザーの割合をベンチマークとしています。

これら2つの指標の平均をアプリの*「粘着度(stickiness)」*と定義し、可視化してみることにしましょう。コンバージョン率やマネタイズ率が結果的に高くなるのは「粘着度」が高いことを意味するので、アクティブ率やリピート率をいかに高くするかを考えることが重要です。

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上の図は、Localyticsが公表したアプリの「粘着度」を示したグラフです。2015年2月にはパワーユーザー(エンゲージメントが高いユーザー)は圧倒的に高くなっていますが、ローヤルユーザー(リテンションしているユーザー)が低くなってしまい、結果的な粘着度は微動にとどまっていることがわかります。

ユーザーエンゲージメントも非常に大切な指標ですが、総合的な観点から、リテンションを高めることと両輪で行うことが、結果として売上の向上に寄与します

また、現在はSimilarWebの傘下にあるモバイルアナリティクスのQuettraによれば、「Google Playにおける全てのアプリの平均継続率」において、平均継続率は翌日50%、3日後20%、30日後で10%となり、毎日獲得している新規ユーザは、3日後には約80%が休眠していることになることが明らかになっています。

アクティブユーザーを放っておいて休眠させてしまうのではなく、アプリ使用をやめようとしているユーザーには継続利用してもらい、休眠ユーザーには復帰してもらうアプローチをすることで、効率的・継続的にアプリを盛り上げ、売上を最大化することが可能になります。