ランディングページは、ユーザーがWebサイトにアクセスする際、最初に閲覧するページであり、自社との出会いの場とも言えます。「知りたい」や「購入したい」など様々な動機を持ち、Webサイトを閲覧するユーザーにとって、ランディングページがいかに機能的でありニーズを満たしてくれるかは重要なのです。ランディングページ最適化という意味を持つLPO(Landing Page Optimization)は、ランディングページの品質を高め、成果を向上させるための施策であり、Webマーケティングにおいて必須であると言っても過言ではありません。
今回はLPOの具体的な進め方にスポットをあて、そのプロセスをご紹介します。ページ改善を重ね、見込み客を顧客化できるLPOを実現しましょう。

LPOを行うことの重要性

Web集客を行う場合、Webサイトにユーザーを誘引した後、コンバージョンにつながらなければいけません。問い合わせ、購入、申し込みなどコンバージョンの定義はWebサイトにより異なりますが、ユーザーのモチベーションを高め、ゴールまで導かなければいけないのです。
ユーザーが最初に閲覧するランディングページは、ユーザーのモチベーションに大きく影響を与えるページであり、閲覧ニーズを十分に踏まえ、ストレスなく情報を理解できる必要があります。

しかしながら、Webサイトの入口は一つではないため、ユーザーによりランディングページは異なります。キッチン用品を販売するECサイトの場合、トップページから流入するユーザーが多いものの、「フライパン」を検索していたユーザーは、検索によりフライパンの販売ページを最初に閲覧するかもしれません。このように、Webサイトを閲覧するユーザーはそれぞれ異なる動機を持ってランディングページに到達します。コンバージョンに導くには、ページの閲覧動機を満たすために最適化したページを用意したいところです。そのために、LPOは欠かせない作業と言えるでしょう。

ところで、ランディングページは、2つのタイプを指す場合があるので簡単に説明しておきます。ランディングページはユーザーがWebサイトの中で最初に閲覧したページですが、この他に、キャンペーンのプロモーション用などを目的として制作した専用ページランディングページ(LP)と呼ぶのも一般的です。ランディングページというと、1ページで構成された専用ページをイメージする人も多いでしょう。最後にフォームが設置されており、ページを読み進めて、そのままコンバージョンに導く狙いのものも数多くあります。ランディングページへの集客はリスティング広告ディスプレイ広告を使うのが通常です。

LPOの進め方

では、LPOは具体的にどのようなプロセスで実行するのでしょうか。進め方を以下にご紹介しますので、自社のケースを想像しながら、確認してみてください。

目的を決める(何をCVしてもらうか、メルマガ登録、商品、資料など)

まずは何のためにLPOを行うのか、目的を明確にします。Webサイトのゴールは、多くの場合、ユーザーとのコンタクトです。商品の購入や問い合わせ、資料請求、メルマガの登録など様々なゴールをコンバージョンとして設定しています。自社のWebサイトが、ユーザーに何をしてもらうことをコンバージョンとしてカウントするのかを決定しましょう。

コンバージョンと一言でいえばシンプルに感じますが、メルマガの登録と高額商品のECサイトで商品を購入することはハードルの高さがまったく異なります。自社がユーザーに求めることがどれほどのハードルであるのかを認識しておくことは、LPOに取り組む上でも大切です。難易度を想定できれば、LPOにかかる労力や目指す成果の想定もしやすくなります。

もし、コンバージョンを設定していないブランディングサイトなどの場合は、直帰率の減少などコンバージョン以外の目標を設定するとよいでしょう。こういったケースも留意しておくと検討の際に便利です。

LPOに取り組むランディングページの目標をチームで共有しておきましょう。チームメンバーとゴールを共有することはLPOの成功につながる大切な要素です。

目標値を決める

次に具体的な目標値を決めましょう。コンバージョン率をはじめ、クリック率や直帰率など、具体的な数値を設定することで、感覚的ではない明確なイメージを持ってLPOに取り組むことができます。

例えば、売上金額やコンバージョン数を目標値とする際、現状の差異が大きく、あまり現実的に見えない場合があるかもしれません。そのような場合は、目標値を設定した根拠を明確にしておきましょう。目標値に根拠が無ければ、実現するための計画にも無理が生じてしまいます。根拠のある目標値であれば、LPOによるコンバージョン率の向上計画とともに、ランディングページにどれだけのユーザーを集める必要があるのかを検討できます。

ランディングページまでの集客は、どのような広告を使うべきか等、予算とともに検討できるのは、具体的な目標値からのブレークダウンによるものです。目標値に関してもチームとの共有を忘れてはいけません。数値を踏まえた上で、チームでLPOに取り組めると、難しい状況の打破にもつながりやすいからです。

データ解析をする

どのような改善を行うべきか検討するには、ランディングページの現状を正確に把握する必要があります。データ解析では、閲覧ユーザーの性別や年代などの属性のほか、アクセスした曜日や時間帯、流入経路、次に遷移したページ、クリック率、ページ滞在時間、直帰率、ページ表示速度などを確認します。

ここで忘れてはいけないのが、スマートフォン閲覧時のデータ解析です。ランディングページがレスポンシブ対応をしており、URLがPCとスマートフォンが同一であることが現在は多いでしょう。データ解析はPCで行いますし、日常的にPC画面ばかり閲覧している担当者が多くいます。もし、ランディングページでPRしている商品やサービスが一般消費者向けのものであれば、スマートフォンによるアクセスが多い可能性があります。スマートフォンからの閲覧が9割という場合もめずらしくありません。

もし、アクセス解析にGoogleアナリティクスを使用しているなら、閲覧デバイスでセグメントすることで、PCとスマートフォンによるユーザー動向の違いを簡単に把握することが可能です。セグメント機能は大変便利であり、デバイス以外にも新規ユーザーとリピーターや、特定の属性のユーザーに絞ったデータ分析も容易にできますので、多角的な分析をスムーズに行えます。

また、ヒートマップ解析ツールがあれば、より具体的なデータ解析が可能です。ヒートマップとは、ユーザーの行動を色でわかりやすく表示したものであり、ボタンのクリック状況や興味関心を示した場所、離脱ポイントなどを目で確認できます。

データ分析のコツは、数値を意識しつつも、ユーザーのモチベーションと行動を具体的にイメージすることです。常に「なぜ?」を考えながら、解析を実行しましょう。

データをもとに仮説立てを行う

データ解析結果を踏まえて、どのような改善が必要なのかを明確にします。たとえば、直帰率が高くページ滞在時間が短いのなら、そもそもユーザーの訪問動機とページの内容にギャップがあるのかもしれません。この場合は広告ランディングページの表現に乖離があるので表現を見直そうと考えるのも一つです。

また、ページの滞在時間は長いのに、コンバージョンまで至らない場合はユーザーが躊躇する要因がページのどこかに潜んでいる可能性があります。商品の説明がわかりにくかったり、信頼性に欠ける表現的な問題などを疑い、改善を検討するべきかもしれません。指標に影響を与えている可能性が高い部分がランディングページのどこにあるのかを予測し、仮説の検討を進めるとスムーズでしょう。

このように、データから現在のランディングページに生じている様々な課題の原因を考えることが大切です。ページを改善するにはどのような修正が必要なのかたくさんの仮説を立てましょう。仮説を考える上で、箇条書きにして列挙し、優先順位や必要な作業工数も明示しておくと便利です。レイアウトテキストはそのままでも、クリエイティブのテイストをまったく異なるものに変えてみるとなると制作作業に時間がかかってしまいます。常にスケジュールを作成し効率的に進めましょう。

仮説による改修箇所のうち、「コンバージョンボタンの色」「キャッチコピー」「アイコンの配置」「ページの重さ」などはテストしやすい項目でしょう。細かいところまで見逃さずに仮説を立てるのがポイントです。

検証

仮説を立てた改善点を実装しましょう。そのためには、クリエイティブの制作が必要です。キャッチコピーからバナーのデザインまで、制作スケジュールに基づいて進めましょう。また、仮説の検証にあたっては、A/Bテストが有効です。A/Bテストは、複数のパターンを同時並行で運用し成果を比較するものです。ランディングページにアクセスしたユーザーにランダムにAパターンとBパターンを表示することができます。それぞれのユーザーの動向を検証し、効果があったパターンを採用することでランディングページをブラッシュアップできます。キャッチコピーやボタンのデザインなどクリエイティブの比較に適しており、数値で明確な判断ができるのが特徴です。

このように改善が認められたものは採用し、改善がなかった部分は再検討という流れのもと進行すればLPOを着実に進められます。

A/Bテストには、LPOツールを利用すると便利です。テストパターンが増えていくと、改修作業だけではなく、検証作業はもちろん、結果の管理などが複雑になってしまう恐れがあります。LPOツールは、デザインテンプレートを使ったランディングページの作成からA/Bテストまで簡単に実行できます。レポート機能まで備えた優れたLPOツールが多数ありますので、チームによる運営にも利用しやすいです。作業工数の軽減や効率化のために導入を検討してみるのもおすすめです。

検証の結果、効果が落ちたらまた仮説立てて検証を行う

LPOは一度だけでは終わらせず、目標とする成果を出せるまで何度も取り組みましょう。成果が出たとしても、パフォーマンスが永続するわけではありません。ユーザーや外部環境など自社を取り巻く様々な要素が時間的な変化を続けているので、残念ながらパフォーマンスが思いのほか早く落ちてしまうこともあるでしょう。

こういった場合、最新のデータを踏まえて、再度、仮説を立てるところからはじめましょう。データがパフォーマンスをアップできたときと大きく異ならない場合も多いので、どこが問題点となっているのか見えにくいこともあります。新たな指標を導入しデータをチェックしてみたり、今まで考えていなかった視点でユーザーやランディングページを見つめ直す必要も生じます。