プロフィールに運用型広告をやっていたと書かないのがトレンド

西井:現在は、リスティング広告の現場にどれくらい入っているんですか?

阿部:実質的に僕が見ているのは2社ほどですね。それ以外はアドバイスをしたりすることはありますけど、基本的には僕が関与してません。

西井:僕も数社知っていますが、しっかり成果を出されてますよね。御社はほぼ100%リスティング広告なのですか?

阿部:運用型広告で100%ですね。主にリスティング広告とFacebook広告・Instagram広告、あとはTwitter広告やDSPなども取り扱ってます。

西井:運用型広告の人を育てるのって、すごく大変だと思うんですよね。実際みんな疲弊して辞めていきます。ほかに辞める理由ありますか?

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阿部:疲弊ですね(笑)。疲弊に次ぐ疲弊。

西井:辞めた人たちは違う業界に行きたがりますよね。

阿部:プロフィールに、運用型広告をやっていたと書かないのが流行りです(笑)。書いてしまうとオファーが来るので。「リスティング広告やってたよね?」って言われちゃうから。

西井:わかるわー(笑)。それってすごく変ですよね。

運用型広告はニーズが高いから、できる人欲しいんですよ。
でも、みんなプロフィールに書かないからわからない。

そういう人を見つけて、来てほしいとお願いしても、絶対嫌ですと言われる。
そんな状況で、アナグラムは運用型広告をやられていて、社員の評判もすこぶるよくて。

社員の方、みなさん帰るの早いですよね。

阿部:月初とかは忙しくなりますけど、基本的に他の広告代理店に比べて残業時間はかなり短いと思います。

そもそも、残業という概念がほとんどないんですよ。
案件を大量にさばく、みたいな概念もないですし、新規の案件が来た時に必ず問うのは「残業しないでも成果をだせるのか?」ということです。これはもう毎回ですね。

一気通貫型のシステムで密接にかかわらないと成果が出ない

西井:どうしたらマーケターを育てられるんですか?

阿部:育てたというよりは、彼ら、彼女らがほんとうにやりたいことを伸ばしているだけなんですよね。

大きい広告代理店さんが全部とは言わないですけど、今までのスタンダードな形は、いわゆる分業制でした。
それこそ運用はしているけれども、お客さんと会っていないとか、ポートフォリオの中のひとつだけ触っているとか、全体像が見えない中で動いていることが多いんです。

それは確かに広告代理店としての生産性はあるのかもしれないけれど、やっているほうに達成感がないんですよ。
何の仕事なのかわからずやっているという人が山ほどいます。

西井:分業はいろんな事業で取り入れられていますけれど、運用型広告の分業はどういう感じですか?

阿部:営業、運用、レポーティング、アカウント開設などですね。

アカウントの開設方法を知らないという人は、世の中にたくさんいます。大手になると、アカウント開設をするだけの人もいたりしますね。

西井:それは何の達成感もありませんね(笑)

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阿部:もうこうなってしまうとおもしろいとかおもしろくないとかじゃない。流れ作業のひとつなんですよね。

うちは、基本的に一気通貫。営業と運用をする者が一緒なので、全部自分の責任でやるんです。

クライアントの感情がダイレクトに来るので辛い部分も中にはありますが、感謝の気持ちもダイレクトに来るので、それで全部報われる。一番テンションが上がる時ですよね。

一番うれしくて辛いのは、売れすぎて在庫がないという状態ですね。在庫がないので広告を止めて欲しいと。それは辛いんですけど、やっぱりうれしいなと思います。

西井:大手の広告代理店などでは、ローテーションで次から次へと異動したりして、スキルがたまらないことが多いじゃないですか。
その反面、商品をもっと知らなければならないとか、矛盾している部分があるんです。

デジタルだけじゃないと思いますが、いろいろな業界でマーケティングをちゃんとやっていかないと、人が育ちませんよね。
御社では、リスティング広告とFacebook広告は同じ人がやるんですか? それとも担当を分けているんですか?

阿部:基本的には同じ人がやりますね。一応Facebook広告の責任者というのはいますので、フォローに入ったり、難易度の高いものに関してはFacebook広告チームが担当したりしてます。

西井:それで、リスティング広告の責任者もいると。その人たちは全体を見ているということですよね。そのなかで、営業、レポーティング、運用を一気通貫でやる。

それは、リスティング広告だとある程度一人でできる分量だからですか?

阿部:分量というよりは、そこは密接にかかわらないと成果が出ないんです。

要は、戦略と戦術を分けてしまうとダメで。思った人、考えた人が実行したほうがいいですし、早いです。
そもそも、戦略を立てる人はリテラシーがない場合があるんです。営業に特化した人になってしまうと、最新のテクノロジーやプロダクトを知らずに戦略を立ててしまう。

それは運用者にとっても不満ですけれど、その通りにやらないといけないという側面もあります。
とりあえずこのキーワードで検索連動型広告出しておいて!っていうやつですね。そういう案件は今でも山ほどあるので。

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西井:僕のところに、広告を出稿する会社から、どういう人を育てればいいかという相談が来るんです。どうやって育てればいいと思いますか?

阿部:いわゆるオールラウンダーにならないといけないと思うんですよね。
そのためには、いい広告代理店さんと付き合うことじゃないでしょうか。

うちの場合でも、相性がいい会社さんに支えてもらっているわけです。
逆に、うちとはあわないお客さんも山ほどいます。

僕らは、できるだけ戦略側から入らせていただきたいというのが本音で。
戦略も戦術も決まっていて、それを実行してくださいというのは苦手なんですよ。

そもそも20数名の会社ですから、人的リソースがないというのもありますが、考えなくていい仕事というのは僕らには不向きです。
考えさせてもらって対価いただいているので。

僕らにしかわからないデータというものがあって、それをクライアントさんにフィードバックする。
そのデータを元に彼らが次の案を持ってきてくれたりとか、僕らからも提案をしますし。
作業をするのではなく、伴走するという感じです。