「自分ならできる、と思ってるのは傲慢」時代を先読むシリアルアントレプレナーの思考法とは 起業家・柴田陽氏【前編】
大学卒業とともにマッキンゼーに入社
柴田:当時、最年少IPOが26歳でした。僕らは20歳だったので、6年あればなんでもできるだろうみたいな気持ちがあったんです。
事業はなんでもよくて、その記録を塗り替えようというのが当面のゴールでした。ようやくピボットして、積み重なって、利益で10億円くらいになる事業はなんだろうって考えた結果が、そういう経験になりました。
振り返れば、市場選択は大事なんだなと思いますね。真面目にはやっていましたが、僕らみたいな素人が参入して、割とちゃんと伸びた。
それは何がよかったのかなと後になって考えてみると、たまたま伸びているマーケットに適切なタイミングで参入したというのが鍵だったのかなと。今やろうとしても無理ですよ。今、学生に「お前、Webマーケのコンサルやれ」って言っても絶対無理なんで。
ただ、10年前はそれが可能だったんです。
**西井:**もっと言うと、個人情報保護法のコンサルティングもそうですよね。まさに、そこしかないというタイミングでやって。その後SEOですからね。
その会社にはどれくらいいたんですか?
**柴田:**卒業するまでなので、約2年間ですね。社長と一緒にやっていたんですが、僕はやめることにして、社長はそのまま残っています。
**西井:**そして、卒業後に就職をするんですよね。
**柴田:**マッキンゼーに入社します。学生時代に起業をして楽しかったんですけど、このままではろくな会社員にならないんじゃないかと思ったんです。
割とうまくいっているという思いもありつつ、一方でこれは何かがおかしいと思っていたんです。自分の実力じゃなくて、ほかの要因でこうなっているんじゃないかというのがあって。
20代前半のときって、自分の実力がどれくらいかというのをちゃんと確かめたいみたいな感情があるじゃないですか。まさにそれだと思うんです。
なので、年齢があまり関係なさそうで、自分がどれだけできるのかというのを試せる会社がいいなと思って、マッキンゼーを選びました。
**西井:**力試しの意味もあって、就職をしたんですね。
**柴田:**マッキンゼーには3年お世話になりました。楽しかったのは楽しかったんですけど、スタートアップのほうがダイレクトじゃないですか。手触り感があるなと思ったんですよね。
大きい会社の経営陣は間接的な人たちなのに、その人たちにさらにコンサルティングという間接的なサービスを提供しているというのは、とても間接的な職業だなと思って。
スタートアップって、リスティングの画面でチューニングをして、「やべえー上がった上がった」ってなるじゃないですか(笑)。
コンサル業務にはそれはないんで。結果は分析できるんですが、もうちょっと手触り感がある仕事がやりたいなと思っていたのがひとつですね。
あとは、やっぱり当時スマートフォンが少しずつ普及し始めていたので、大企業のスピード感だと満たされないニーズがたくさんでてきました。そういうものをクイックにやることで、解決できる課題がたくさんあるんじゃないかと思いました。
そのふたつの理由があったので、また自分でやろうと思ったんです。
入社したときは、パートナーになろうと思っていたんです。当時のアイコンその1は、ホリエモンや藤田さんなんですけど、アイコンその2は日産の経営を再建したカルロス・ゴーンだったんで、そういうプロ経営者みたいなものにも憧れていました。
**西井:**そうなると、マッキンゼーはいいですよね。
**柴田:**そう思ったんです。でも3年やって、もうちょっとダイレクトなほうにと思って、スタートアップのほうに気持ちが傾いたんですね。
**西井:**それが2010年。そこからまだ6年しか経っていないんですね。
**柴田:**6年「も」経った感じですよ(笑)。
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- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
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- SEO(Search Engine Optimization)とは、GoogleやYahoo!などのサーチエンジン(検索エンジン)で、特定キーワードで検索が実行されたとき、ホームページが表示される順位を上げるためのさまざまな施策のことです。
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