日本は「頑張ることが尊い」と思っている

**西井:**難しい問題ですよね。柴田さんが1万人の会社の社長だったらどうしますか(笑)。

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**柴田:**答えたら、1万人の会社作れなくなっちゃうかもしれない(笑)。

アメリカだと、システムに作業を合わせるということをよくするんです。ABテストにOptimizely使おうとか決めたとすると、業務プロセス変わるじゃないですか。

でも、便利なんだから業務プロセスを変えろと。今まで使っていた社内システムいらないからっていうのを、日本だとやりづらい。カスタマイズしてくださいということになる。

**西井:**日本はだいたいカスタマイズ入りますよね。ほんとうは、アメリカで使っている業務用のシステムとかは、日本に入ってきた時点である程度最適化されているはずで、そこにフィットさせていけば一番効率的なはずなんです。

でも、そこにフィットさせずに、うちはこうだからとうことでカスタマイズしちゃう。だからアメリカから持ってきたシステムはあまりはまらないですよね。

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**柴田:**そうなんでしょうね。頑張ることが尊いって思っているんですよ。だから当然、こっちのシステムに合わせましょう、でもこういう機能がないですよって話になるじゃないですか。

そういう機能があるということは、多少の意味があってやっていたことなんでしょうけど、ある程度犠牲にしなければならない。

消費者のこういうケースは対応できなくなるということと、生産性を天秤にかけたとき、生産性のおもりがあまりにも軽いので、今までのやり方を優先するという風になっちゃうと思うんですよね。

でも、生産性というものはすごい重いものなので、その尺度が日本は違うんじゃないでしょうか。

**西井:**例えば、Amazonには問い合わせの電話番号がないんです。全部Webからの問い合わせになっていて。

だけど、問い合わせに関するレスはとても早くなっていて。つまり、切るところは切っているけれど、その代わりの部分の生産性が高いから、Amazonは不便だと言っている人はいないじゃないですか。

**柴田:**仕事をできるだけシステム化できるように省力化していって、空いた時間でもっと価値が高まるような活動をしようと思うのが正しいじゃないですか。

でも、そうじゃなくて、短期的な最適化をするために頑張ろうみたいな。頑張り方が違うんじゃないのかな。

西井: BtoBの営業をしている会社にしても、ほんとうはみんなWebを見ているわけです。いろいろな情報を仕入れるところで。

例えば、インバウンドマーケティングみたいな考え方があったり、SEOをちゃんとやってそこでリストを作って、ちゃんとマーケティングオートメーションを走らせて、ユーザーがほんとうに欲しくなったときだけ営業に言ったり、説明に行くとかでいいはずなんですよね。

だけど今、多分マーケターが全然いなくて、営業マンはいっぱいいる。マーケティング活動に力を注げばいいのに、今これだけリストがあるから頑張って営業行って来いと。

おそらく、そういうところで頑張って汗をかいてみたいなのが尊くなっていくみたいな、そんな感じなんですよね。マーケティング自体が、イノベイティブだったり、そういう活動をしなくてはいけないのに、時間が注げてなかったりするやりづらい環境にあるのかもしれないですね。

日本でイノベーションを起こせって言ったら、みんな徹夜で頑張るみたいな(笑)。