気になった企業に直接話を聞きに行く

**西井:**新規開拓と海外事業は全然違うと思いますが、マーケティングをする上で普段の勉強法とか注意していること、これからやらなければいけない課題みたいなことをお聞きしたいです。

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**鵜飼:**SEO広告予算の配分といった、ある程度の型は全世界共通になってくると思います。その部分はきちんと押さえて勉強しなければいけないと思っています。

僕自身は、海外にいることが多いので、向こうで面白いなと思うサービスを見つけて、そこに話を聞きに行くということをやっていますね。

例えば、香港で面白い広告を見かけたり、面白そうなサービスを見かけたら、その広告やサービスを出しているメーカーや企業に行って話を聞きにいったりしています。

**西井:**化粧品会社のいい広告を見たら、その化粧品会社に行くと。

**鵜飼:**なんであのようなクリエイティブにしたんですか? とか、そういうことを担当者に聞いて勉強したり。結構、人の話を聞くことが多いですね。

特に中国は広告もすごいんですが、ビジネスモデルもめちゃくちゃ面白いことをやっている企業がほんとに多くて。

中国は日本よりIT系サービスに関しては進んでいますね。日本のベンチャーの起業家に話を聞くより、中国のベンチャーの起業家に話を聞いたほうが断然面白いんですよ。

若手マーケターの1週間とは?

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**西井:**お二人は、どちらのほうが仕事時間が長いんですか? 例えば、1週間の仕事している時間とか。

**鵜飼:**白石じゃないですかね。僕は移動時間が長いので。

**白石:**僕は、意図的に早く帰るようにしています。オフィスにいることを仕事とするのであれば、時間は比較的短い気がしています。

早く帰って、気になっている分野の本を読んだり外に出てサービスを体験したり、そういう時間の使い方を意識して行っています。

**西井:**他の人に見習ってほしいなと思っているのが、二人ともずっと仕事のことを考えていますよね。そして、それがネガティブではない。すごくポジティブに仕事をしていますよね。

僕も、海外に旅行している間も、オンオフという感じでもなく、どちらも楽しくやっているというところが正直あるので。

いいサービスを意識的に体験する

**白石:**僕の勉強方法は、本を読むとかはもちろんですが、流行っているものを徹底的に試すということをやっています。

あと、鵜飼は自分が気になったものについて話を聞きに行くということでしたが、僕は自分がなぜ反応したんだろうということをよく分析します。

なぜ僕はこのサービスに反応したのか、その問いについて仮説立ててみて、もしその仮設が合ってる場合、それをOisixに展開するとしたらどんな打ち手になるだろうということを日々考えています。

**西井:**そういうストックをちゃんと貯めておくということはすごく大事だと思います。

**白石:**就職してある一定の時間が経過すると、オフィスにいるだけでは、なかなかアイデアの引き出しが増やせないと思うんです。

よく聞く話の一つに、新しいアイデアとは既存のアイデアの組み合わせであるというのがあります。
組み合わせることができる自分の経験やアイデアの数を増やすためにも、基本的にいつも同じような風景の社内から出て、様々な体験を重ねることでアイデアの源泉となる経験を増やそうと自分に意識づけています。

**西井:**ゲームもそうですよね。なんでこのゲームにハマったんだろうみたいな。おもしろいゲームでも1回しかやらなかったりとか。

少し考えるだけでもビジネスのヒントになることもあります。

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**白石:**僕、10月から新しいミッションでUXのほうもやることになったんです。それは、今まではプロモーションだったんですよね。

Oisixというサービスを、気になっている人や、Oisixを知らないけれどもそういうニーズを持っている人に広めて使ってもらうかというところを、徹底的にWebの世界でやっていました。

今後は、商品自体もどうやって良くしていくかということも兼務していきます。なので、自分が売っているものをもっと良くして、世の中のお客様のニーズに合わせてサービスを作っていく。

それに応じてプロモーションの仕方を変えていくということをやることになります。

そういうこともあり、最近はいいレストランやいい旅館、いいサービスなど、“いい”と言われているものを徹底的に試して、自分の中に蓄えていかなければいけないと思っています。

自分がそういう体験を知らないと人に提供できないし、美味しいものを知らなければ伝えることもできませんから。

**西井:**意識せずにやっていたことでも、意識してやってみるだけで全然感覚が変わったりしますよね。

**白石:**サービス提供側というか、何かを作る人は、お客様と同じ経験、知識レベルではダメだと思います。

お客様よりも半歩、一歩先の体験を知っておく必要がある。だから、Oisixのよさをいくら知っていても意味がない。

そうではなくて、Oisixよりも優れている部分をもったサービスをたくさん経験して、自社に活かしていくことをしていかないと、飽きられてしまうというか、使う理由がなくなっていくよねと思っています。

**西井:**いいサービス、悪いサービス。おいしいもの、まずいもの。

どちらのこともちゃんとわかっていれば、どんなものをお客様が欲しがっているのか、必要としているのかというのがすごくわかりやすくなるし、その基準をたくさん持っていれば持っているほど、マーケティングの幅の広さに繋がっていきますよね。

**白石:**小さなお子さんをお持ちのお母さんたちは自分の子供にいろいろ習い事をさせたいというじゃないですか。幅広く様々なことを知って教養を身につけるために。

大人になってもそのような経験が必要なのは多分一緒で、お母さん的なことを言ってくれる人がいない分、ついつい同じことをやり続けがちなので、まだ自分が知らないことをどんどん知りに行くということは重要なのかなと思っています。

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フォトグラファー:三浦一紀