ステージシナリオ

ステージシナリオとは、コミュケーション深度が浅いステージから深いステージへとカスタマージャーニーを促すためのシナリオです。同社では、商談における受注率アップという最終成果を得るためには、どのステージで、どのような顧客体験を提供すべきなのかを考えながら、全体最適化されたステージシナリオを設計しています。

ステージシナリオの具体例として中澤様が示したのが下の図です。これは「Stage-0」のお客様を「Stage-1」に進ませるためのシナリオです。ここでは、お客様からの”反応=リアクション”をもらうことがゴールとなります。

Botによる「ご挨拶とサービス説明」のチャット送信に始まり、双方向コミュニケーションのきっかけづくりとなる「このクルマはいかがですか?」といった問い掛け、その返信に対する回答やさらなる問い掛けといった対話を、事前に用意されたシナリオに基づいてやり取りしています。

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シチュエーションやタイミングに応じて、Botによる自動送信、チャット担当者による手動送信、自動提案メールなどの送信手法を巧みに使いわけているのも特徴です。

中澤様はシナリオ設計に必要な要素として、下の図に示した7つを挙げています。

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7つの要素のうち、特に重要なのは「何をしてもらうために」シナリオを作るのかという目的を明確にすることだと中澤様は言います。目的が明確でなければ成果を定量化できず、PDCAも回せなくなるからです。

また、同社はステージシナリオを改善するためのPDCAを回すに当たって、ステージごとのKPI(遷移率)を上げるだけではなく、それによって最終ゴールであるKGI(受注率)がどれだけ上がるのかに着目していると言います。

部分的なKPIだけが向上しても、それによってKGIが上がるとは限らないからです。実際にステージシナリオを設計する同社のUX担当者は、個別のKPIだけではなく、その総和であるKGIがどれだけ上がるのかを見ながらシナリオを改善しているそうです。
  

会話シナリオ

会話シナリオとは、文字どおり、チャットによる具体的な会話内容のシナリオです。

同社の「クルマコネクト」によるチャットにおいては、あらかじめ、お客様のステージや発話内容に応じた会話スクリプトと会話ルールが用意されており、チャット担当者は、それらの厳格なシナリオに基づいてお客様にチャットを返信しています。チャット担当者による対話の自由度を、あえて抑えているというのもポイントになります。

自由度を抑えることによって、チャットのような人的サービスでもWebサイトのABテストのように、シナリオのPDCAを回すことが可能になるからだと中澤様は説明します。その理由は全てを人的にしてしまうと担当者ごとに会話内容が変わり、担当者のコミュニケーション能力に依存してしまうためです。

1人のチャット担当者だけが100点満点の対話をするのではなく、全員が70点の対話をできるようになることも、会話シナリオのルールを細かく設定することのメリットだと言います。