ネイティブ広告を導入するメリット

広告主は質の高いユーザーを「ブランドコンテンツ」に誘導できる

先にも紹介したとおり、ネイティブ広告は媒体にとって「形式」と「機能」が自然な形で掲載される広告枠のことを指します。そこで、広告主側が第1のメリットとして提供するのが「ブランドコンテンツ」への誘導です。

コンテンツマーケティングがブームとなって以降、企業が提供するブランドコンテンツは、SEOソーシャルメディアを利用して誘導するのが一般的でした。しかし、企業からしてみれば、SEOだと”待ち”の姿勢の手法だし、ビッグワードでもなければトラフィックを稼げないし、必ずしも検索結果で上位に表示されるわけではありません。一方ソーシャルメディアの場合、”バズる”コンテンツを作ったとしても、それがターゲットとする人々のトラフィックを集められてるかというと、むしろノイズが増える可能性がある。これでは自分たちがほしいターゲットにリーチできているのかわからなくなります。また、そこで苦戦する広告主も多くいます」(高広 氏)

広告主がブランドコンテンツに誘導したいのは、自社の商材にマッチしたユーザーです。検索結果ソーシャルメディアではユーザーに効率的にリーチすることができますが、必ずしも自社商材に関心を持つとは限りません。広告主はいつか訪れる見込み客を待つ必要がありました。

また、ネイティブ広告の場合はそれぞれのメディアのコンテンツを「読み」に来ているユーザーを、その態度のままにブランドコンテンツに誘導することができるので、ブランドコンテンツとのエンゲージメント(=読まれる分量や滞在時間など)が高くなります。コンテンツマーケティングを失敗させないためにも、ネイティブ広告は注目です。

ネイティブ広告として相性の良い媒体にブランドコンテンツを出稿することで、その媒体に関心の高いユーザーをブランドコンテンツに誘導できます」(高広 氏)

  

ネイティブ広告はユーザーに態度変容を起こすことができる

また、ネイティブ広告は、既存の広告と異なる側面を持っています。それが、ユーザーの購買意欲を高め、態度変容を起こすことができる点です。

既存のネット広告は、オーディエンス・ターゲティングによってすでに購買意欲の高そうなユーザーを対象にすることで効果を伸ばしてきました。一方で、将来的にはお客さんになってくれそうなのだけれども、まだ購買意欲まできてないユーザーへの態度変容を狙う使い方は今はあまりなされていません。しかし、ネイティブ広告は媒体上からコンテンツを読むというプロセスを挟むという特徴があります。これは博物館の展覧会や博覧会のパビリオンのイメージです。そういうところにいった来訪者がエントランスから入って、中の展示物を見て、そして見終わって出てきた時、なんらかの知識や気持ちの変化があることが期待されますよね。いわば、ネイティブ広告はそのエントランスに当たる部分で、飛び先のコンテンツは展示物、そして出口で起こった気持ちの変化が態度変容。そのような、ネイティブ広告コンテンツの関係が理想的な施策だと思います。だからネイティブ広告は、ユーザーの購買意欲を高めて態度変容が起きることを期待できるというわけです」(高広 氏)

このような考え方でネイティブ広告コンテンツを使えば、高広 氏は企業のマーケティングにおいて、ブランドへ理解、関心、購入意欲の醸成など広告主側のブランドリフトに貢献することが期待できるとも述べています。

広告主にとって非常に大きなメリットがあるため、媒体社にとってビジネスチャンスです。媒体社は質の高いユーザーを送客できる広告枠として販売できるためです。

とはいえ、広告枠への入札金額が媒体社側にもコントロールしやすいプログラマティック取引と比べ、アドネットワーク経由の広告出稿を受け入れてるだけでは、広告主側の入札金額に応じた広告しか掲載されないため、広告の質と媒体社の収益的にも課題があります。

しかし、日本ではアドネットワークに依存する媒体が多いのも現実なので、ここは大きく変えていかなければいけないところでしょう。もし媒体側が自らのサイトに相性が良い広告を掲載したいのであれば、媒体の読者にマッチする商品やサービスを持っている広告主に自らアプローチして広告販売を行うことも重要でしょう。