見込み客との接点・関係づくりにおいて重要な役割を担うメールナーチャリング。 低コストかつ少人数体制で始められるため、マーケティング担当者から注目を集めています。

しかし、「これまで担当したことがない」「何から着手すべきかわからない」という方もいるのではないでしょうか。そこで、メールナーチャリングの基本的な考え方とともに、具体的な手法ステップナーチャリングコンテンツの例などを解説します。

目次

  1. リードナーチャリングとは
  2. メールによるナーチャリングとは
  3. メールナーチャリングの手法
  4. メールナーチャリングのステップ
  5. ナーチャリングの肝は「誰に」「何を送るか」
  6. ナーチャリングコンテンツの例
  7. メールによるナーチャリングで見込み客の関心を高めよう
リードナーチャリングスタートガイド

リードナーチャリングスタートガイド

リードナーチャリングを基本から解説。そのうえで、簡単に応用・実践できる3つのシナリオ事例を紹介します。

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングは見込み客の育成を意味し、見込み客への継続的なアプローチにより購買欲を高め、アポ・商談数の増大を目指すマーケティング手法のことです。

BtoBマーケティングでは、コンバージョンからすぐに購入を検討する見込み客は全体の10%程度といわれています。つまりコンバージョンに至っても、残りの90%の見込み客は検討段階に達していないのです。

こうした興味関心が低い見込み客に対していきなり営業しても、成約を獲得することは難しいでしょう。

そのため検討段階に達していない見込み客に対しリードナーチャリングを行い、自社サービスのマインドシェアを向上させることが重要になります。

その際、見込み顧の行動を可視化して適切なタイミングでアプローチすると、長期的な信頼関係を構築しやすくなるでしょう。

リードナーチャリングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。

関連記事:リードナーチャリングとは?代表的な6つの方法やプロセス・メリット・デメリットを解説

​​リードナーチャリングに向いている商品

リードナーチャリングに向いている商品.png

リードナーチャリングは複雑で分かりにくい、高額な商品に向いているといわれます。

こうした商品は購入までのプロセスが長期化しやすいため、継続的にアプローチをしなければ検討段階で候補から外されてしまうためです。

具体的には複数の人がサービスの検討に関与するBtoB商材や、ウェディング、自動車、マンションといった高額なBtoC商材などが挙げられます。

ただし、全ての商品・サービスにリードナーチャリングが適しているわけではないので、自社のサービスや商品との適合性を見極めることが大切です。

​​リードナーチャリングの主な手法

リードナーチャリングを実践する手法はさまざまです。主に利用されるものとして、次の5つが挙げられます。

  1. SNS
  2. セミナー
  3. オンライン接客
  4. メール
  5. ダイレクトメール

見込み客のフェーズによって最適なアプローチ方法は異なります。例えば以下のように、段階ごとに提供情報や手法を変えながら、見込み客との接点を持つとよいでしょう。

  • 初期段階:顧客の興味に関連するコンテンツSNSなどで発信
  • 購入検討段階:顧客にあわせたオファーを提供できるオンライン接客

なお、メールによるリードナーチャリングは少人数体制、かつ低コストで始められることから、取り組みやすい手法のひとつです。次項からは​​メールナーチャリングに焦点を当てて、その種類や具体的なステップを紹介します。

メールによるナーチャリングとは

メールナーチャリングは、メルマガサンクスメールなどを活用して見込み客の育成を目指すアプローチ方法です。

メールナーチャリングでは、大人数の見込み客と定期的に接点を持てるため、見込み客の興味関心を一定数高める効果が期待できます。

またメールナーチャリングにかかるコストは、メール配信サービスの利用料と担当者の人件費くらいなので、比較的低コストで取り組めるのメリットです。

さらにメール配信サービスを利用すれば、開封率やクリック率などのデータを簡単に取得できるため、PDCAをスピーディーに回すこともできます。

​​メールナーチャリングの役割

​​メールナーチャリングの主な役割は、企業や人が課題を感じた際に、自社を「第一想起」してもらうための接点・関係づくりをすることです。

以前のBtoBビジネスでは企業間で情報格差が存在しており、取引先の営業からさまざまな情報を得る企業が大半でした。そのため資料を渡すなどして、営業から働きかける形態が一般的でしたが、現在はインターネットの普及により、見込み客が能動的に情報を収集するようになっています。

このような状況下において競合に負けずに今後のアプローチにつなげには「○○といえば■■」というメッセージを伝え続け、いかに見込み顧に第一想起してもらうかが重要です。

そのため見込み客に有益な情報を提供し好意的な印象を形成する、定期的にメールを送って接触機会を増やす、などの対応を取る必要があります。

BtoBマーケティングに必要な戦略についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。

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BtoBマーケティングの思い込みを一刀両断!本当に必要な戦略とは

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メールナーチャリングの手法

メールナーチャリングの手法には、主に上記6つがあります。以下でそれぞれの詳細を確認していきましょう。

​​1. メルマガ

メルマガは、獲得したリードやメルマガ登録者に対して、定期的に情報を発信する手法です。

定期購読型のメールで、大人数のリードに対して一斉にメールを配信します。見込み客にとって有益な情報を発信することで、自社や商品・サービスに対する好意度を高めることができます。

ただ、一斉配信であるがゆえに汎用的な内容になりやすく、配信頻度が多いと配信停止されやすいのが特徴です。
配信頻度に注意しながら、メルマガ以外の手法とあわせて活用することが大切です。

2. セグメントメール

セグメントメールは、見込み客を条件ごとに分類して、それぞれのグループにあわせた情報を発信する手法です。

例えば、サービス紹介サイトを複数回訪問しているグループに対して、メールで期間限定商品を紹介したり、クーポンを送付したりします。

行動履歴や属性、流入経路などの条件を考慮しながらグループ化し、特定のコンテンツを配信するため、反応を得られやすいのが特徴です。

セグメントの例.png

​​3. ステップメール

ステップメールは、見込み客のステータスに応じて、段階的に情報を発信する手法です。見込み客の関心度にあわせたコンテンツを届けます。

例えば初期段階は有益な情報を発信し、最終段階で割引キャンペーンを紹介するなど、段階に分けて配信する情報を変えます。

このようにステップメールでは、適切なタイミング・回数でアプローチすることで、見込み客の興味関心を少しずつ引き上げることができます。

商談化や資料請求などのアクションにつながるように、段階的にシナリオ設計することが重要です。

段階的なステップメールの例.png

​​4. サンクスメール

サンクスメールは、会員登録などのタイミングで自動返信されるお礼メールを活用した手法です。
見込み客は会員登録後などにそのアクションが完了したかを確認することが多いため、他のメールと比較するとサンクスメールの開封率は高いのが特徴です。

他社事例を紹介するページURLを掲載したり、商品・サービスのメリットを紹介したりして、見込み客の興味関心を高めましょう。

サンクスメールの例.png

​​5. シナリオメール

シナリオメールは、見込み客のメールに対するアクションに合わせて、情報を自動発信する手法です。ステップメールとの違いは、見込み客のアクションに応じてシナリオを展開していく点といえるでしょう。

<例>
・1通目を開封したリードには:1通目に関連するコンテンツを配信する
・1通目を開封しなかったリードには:新たな切り口からコンテンツを提供する

このようにシナリオを複数用意しておくことで、見込み客に対して効率的にアプローチすることができます。

シナリオメールの例.png

​​6. トリガーメール

トリガーメールは、見込み客がサイト訪問した際に、メールを自動発信する手法です。
見込み客の検討確度が高まった段階でメールを送ることで、次のアクションを誘発しやすくなります。

例えば、商品ページを閲覧したものの購入には至らなかったリードに対し、閲覧した商品の値下げ情報などをメールで送付します。
その結果商品購入はもちろん、仮に商品購入に至らなかった場合でもより商品の印象を強められる可能性があります。

トリガーメールの例.png

メールナーチャリングのステップ

メールナーチャリングは、以下のステップで実践していきます。

  1. リストを集約・整理する
  2. コンテンツの棚卸しをする
  3. 配信計画を立てる
  4. 効果検証する

それぞれのプロセスについて詳細を確認していきましょう。

1. リストを集約・整理する

まず、リストを集約・整理することから始めましょう。

Excelなどで管理している見込み客のリストをメール配信ツールにまとめます。続いて、配信に必要なデータ(役職などの属性情報)を整理します。

データを整理しておくことで、セグメントメールなどで必要な条件分けが行いやすくなります。運用の効率化を図るためにフリーテキストではなく、管理しやすい項目に変換するのがポイントです。

2. コンテンツの棚卸しをする

コンテンツの棚卸しとは、自社が持っているコンテンツを把握することです。どのようなコンテンツがあるかを把握できていないと、見込み客にあわせて最適なコンテンツを選ぶことができません。

課題やニーズ、ターゲットの属性などを踏まえて管理することで、スムーズにコンテンツ選びを進めることができます。

一目でコンテンツの種類がわかるように、スプレッドシートなどで管理するとよいでしょう。

メールナーチャリングのステップ1-2.png

3. 配信計画を立てる

続いて、配信計画を立てていきましょう。配信計画では、「いつ」「誰に」「何を送るか」を決めます。その際、CV数などの目標もあわせて設定することが大切です。

特にメールナーチャリングでは「誰に」「何を送るか」が肝心であるため、次の見出しで詳しく解説します。

分析期間などを踏まえずに無計画に実施してしまうと、改善につなげづらくなります。翌月の配信スケジュールを毎月20日までに設定するなど、日程をあらかじめ決めておくことで、配信計画を習慣化させることができるでしょう。

ここまで完了したら、実践するメールナーチャリングの手法に沿ってメールを作成し配信します。

4. 効果検証する

メール配信後は効果検証を行うことが重要です。開封数/率クリック数/率コンバージョン数/率などを確認します。

反響の大きかったメールとそうでないメールを比較するなどの効果検証を重ねることで、より効果的なメールナーチャリングが行えます。
長期的にメールナーチャリングに取り組む場合、案件化率などの数値もあわせて確認するとよいでしょう。

メールナーチャリングのステップ3-4.png

メールマーケティングの効果検証で役立つKPIの設定方法を知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:メールマーケティングで設定すべきKPIとは?設定方法や改善ポイントも解説

ナーチャリングの肝は「誰に」「何を送るか」

メールナーチャリングでポイントになるのは、「誰に」「何を送るか」です。見込み客の中でも検討度合いには差があり、求める情報も変わってきます。

例えば、課題認識した段階のリードに対していきなり商品情報を送っても、その必要性や魅力は伝わりづらいでしょう。そのためこの場合は、リードにとって有益なお役立ち情報やノウハウなどを送って関心度を高める必要があります。

このようにメールナーチャリングでは、検討度合いにあわせて適切なコンテンツを届けるためのコミュニケーション設計を綿密に行いましょう。

どんな情報を届けるか

検討度合い ①潜在層 ②準顕在層
状態 まだ課題に気づいていない 課題を認識している
必要なコンテンツ 課題を認識させるコンテンツ 課題解決に役立つコンテンツ

メールで配信する情報は、見込み客の検討度合いによって変えることが大切です。見込み客の検討度合いは、①潜在層②準顕在層に分類できます。

潜在層はまだ課題に気づいていない見込み客のため、現状のやり方に課題があることを示唆するコンテンツを提供しましょう。

一方、既に課題を認識している準顕在層に対しては、課題解決に役立つ商品やサービスがあることを訴求するコンテンツを発信します。

関連記事:すぐにできる!商談数を増やすナーチャリングコンテンツの作り方

すぐにできる!商談数を増やすナーチャリングコンテンツの作り方

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ナーチャリングコンテンツの例

ここでは、BtoBのメールナーチャリングで送ることの多い、代表的なコンテンツを紹介します。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、自社の商品・サービスに関連するお役立ち情報を提供する資料です。

見込み客の検討度合いに応じて内容を変えたり、タイミングを見極めて送信したりすることで、関係強化が期待できます。

潜在層に対しては、業界トレンドやノウハウ、情報提供など見込み客にとって有益なホワイトペーパーを用意しましょう。

準顕在層向けのホワイトペーパーは、解決方法として自社サービスを紹介するタイプのものがよいでしょう。

関連記事:ホワイトペーパーの作り方とは?作成の流れや成果を上げるコツを紹介

導入事例

導入事例は、既に自社商品・サービスを導入している顧客の「導入の決め手」や「活用している様子」を紹介するコンテンツです。導入後を具体的にイメージしやすくなり、導入の決め手になることの多い資料です。

ターゲットに近い「業界、業種、規模感(社員数)」や「課題感」の導入事例を紹介することで、よりイメージしてもらいやすくなります。

関連記事:マーケティングに効果的!導入事例の作り方を解説!

セミナー

セミナーは、課題解決に役立つ情報を提供したり、自社商品・サービスを紹介したりするもので、オンライン・オフライン問わず広く実施されています。

特に少人数で行うクロージング型のセミナーは、検討度合いを高めて商談化につなげるコンテンツとして有効です。

ワークショップ形式にしたり、サービスのデモンストレーションを行って顧客ごとに活用方法例を紹介したりするなど、具体的なコンテンツを用意するとよいでしょう。

セミナーは共催セミナーや潜在層向けの情報提供セミナーに参加した見込み客に対して、次のアクションを誘発するのに向いています。

関連記事:ウェビナー開催後はフォローアップが重要!商談を増やす具体策を解説

メールによるナーチャリングで見込み客の関心を高めよう

リードナーチャリングにはさまざまな手法がありますが、メールナーチャリングはコストを抑えて少人数で始められるため、多くのBtoB企業で活用されています。

ただ、メールナーチャリングの中でもあらゆるアプローチ方法があるため、見込み客の属性や検討度合い、行動履歴などに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

メールナーチャリングを効率的に実施したいという方は、メール配信サービスの導入を検討するとよいでしょう。

リードナーチャリングスタートガイド

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