オンライン花屋「青山花壇」、バーコードでの価格比較サービスから「Spotlight」へ

**西井:**そして2010年に会社を作ったわけですが。それは一人で?

**柴田:**一人です。

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**西井:**会社の作り方がすごくおもしろいなと思っていて。一番最初は先輩に誘われて。次の会社は一人で立ち上げて。

**柴田:**先にこういうサービスがいいんじゃないかというアイデアがあって、それをやるために仲間を集めるという順番のことが多いので、最初は一人ですね。

**西井:**その時点でなんかすごいですよね(笑)。会社設立後のジョインしてくれた人たちは、知り合いが多かったりするんですか?

**柴田:**そうですね。Spotlightでは、こういうサービスをやったらいいんじゃないかといろいろ営業を回って、作ったら参加してくれるという人が何人かいるということがわかったので、それからファウンダーCTOみたいな人がいないかなと探し回っていたら、同じような仕組みを検討したことがあるという技術者がいると紹介されて。

それで始まりましたね。

**西井:**Spotlightは2011年5月末に立ち上げたけど、その前の2010年にも会社を作っていますよね?

**柴田:**2010年は、オンライン花屋の青山花壇という会社と、バーコードで価格比較をするショッピッという会社です。

**西井:**それは別々な会社だったんですか?

**柴田:**はい。

**西井:**青山花壇は現在はどうなっていますか?

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**柴田:**リアルな花屋さんがオーナーになっています。

**西井:**ショッピッのほうも2011年に売却したんですよね。

**柴田:**両方とも1年くらいですね。

**西井:**その2社を経て、2011年にSpotlightを立ち上げるんですね。

Spotlight自体は楽天さんに売却されて。

**柴田:**売却されたのが2013年10月です。早いですよね。

**西井:**そして2015年に、柴田さんはアメリカに渡ります(笑)

**柴田:**2015年の6月のSpotlightを辞めて、7月からアメリカに行って、4月までいました。

ショッピッで生まれた課題をSpotlightで解消

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**西井:**ざっとこれまでの経歴を伺ったんですが、すごくないですか(笑)。なんだろう、この頭のよさ。

おもしろいなと思うのが、青山花壇、ショッピッ、Spotlightも全部ほかのところが買いたいって行ってくれるようなサービスをバンバン作ってきたじゃないですか。

そもそもどういうところからヒントを得て、こういう事業を作ったんでしょうか。まずは青山花壇なんですけど。

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**柴田:**これはBtoBサービスで、ユーザーは秘書の方です。

企業が花を贈るときって、今までは秘書の方が街の花屋さんに頼んでいたわけじゃないですか。
そうすると、やりとりは電話やFAXになるし、受ける側もお花屋さんで花を切っている人が受けるということになります。

お祝いの花の宛名も誤字脱字があっちゃいけないとか、諸々あるわけですよ。だから、発注や受注の作業というのが花屋さんにフィットしていないのではという仮説が僕のなかにあって、いろいろヒアリングをしていくと、どうもそうらしいということがわかりました。

贈答用の花は、自分で買うわけではないからわからないわけですよ。3万円の胡蝶蘭贈っておいてとか、上司に指示されて秘書の方が発注するわけなので、発注のしやすさみたいなことが大事なんじゃないかと思って、そこにフォーカスした事業をやろうと思ったのがきっかけですね。

**西井:**特にこれまで、花屋さんに関係があったわけじゃないですよね。

なのにそこからいきなりそういう企画が出てくるのはなんでなんだろうと思ったんですけど。

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**柴田:**なんでしょうね。いろいろな人に話を聞いて、おもしろそうだなと思ったというのがきっかけですね。

Spotlightが、話としてはきれいだなと思うんですが。その前にやっていたショッピッというサービスは、店頭でバーコードをスキャンして価格比較をするというものなんです。

ユーザーさんは店頭でショッピッを使うわけです。2010年くらいですと、お店側が嫌がるわけです。

店頭で価格を比較して、Amazonのほうが安いとか言ってるわけですから。
ご多分に漏れず、いろんな会社に呼び出されました(笑)。

**西井:**そんなものを作るなと(笑)。

**柴田:**でも、ユーザーさんがやっていることなので、やめさせることはなかなかできないんですけど。

そこで、建設的な議論にするために、どういう風になったらお店側としてはうれしいのかヒアリングしたんです。そうしたら、スマートフォンで集客して買ってくれるんだったらうれしいですという意見が集まって。

それじゃあ、今お店側はどんなマーケティングをしているのかという話をしていくと、当時先進的な小売のマーケティング担当者さんがTwitterアカウントを作ってフォロワーを増やすとか、Facebookページを作っていますという感じで。

でも、いくら「いいね!」 がついたからといって、お店の売り上げが上がっているのかというと、担当者としては実感がない。

やるんだったら、もっとダイレクトな感じがしないとお店側がサービスにお金を払うのは難しいと言われて。
お客さんを連れてきてくれるんだったらお金を払いますということだったんです。

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じゃあ、そういうサービスを作ったらやってくれますかという話をしたら、やりますという会社が結構あって。

それじゃあ、5社手を上げてくれたらやろうと思ったんです。早々と3社ほど乗ってくれたので、それじゃあ作ろうということになったんです。

**西井:**ショッピッとSpotlightだと、全然違うサービスに見えていたけど、もともとはつながってるんですね。

**柴田:**話としてはつながっています(笑)。

**西井:**怪しいな(笑)。

**柴田:**ショッピッの売却が内々に決まって、ディールが終わるまでに3ヶ月ぐらいあるじゃないですか。

その間、次は何をしようかと考えていて、そのときに小売さんのそういう強いニーズがあったんです。
実はそういうトレンドは出始めていたんですよね。位置情報を使ったFoursquareや、来店を誘引するようなロケーションアプリとか。

それを、必ず来ているということが証明できて、かつ成果報酬になっている。そういうものを作ったら使っていただけますかという提案資料を持っていったんです。