営業をしっかりやることが強いマーケターになるための近道

**西井:**ちょっと二人のことを掘り下げていきたいのですが、まず白石さんから、これまでやってきたことで上手くいったこととか、上手くいかなかったことというのはありますか?

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**白石:**上手くいったことは、リアルプロモーションですね。それを経験しているから、どこのチャネルを持っても結果が出せていると思います。

今では店舗もやっていますが、もともとWebサービスの会社じゃないですか。そうなると、お客様に会う機会というのがリアルのサービスに比べるとそんなに多くありません。

私がインターンで入った当時、チームメンバーで定期的にお客様に会っていた人はあまり多くありませんでした。

僕は、Web広告への投資がほとんどだった時に唯一、TSUTAYAさんの店舗前にブースを作って野菜を並べて、通りすがりの人に声をかけて、「Oisixを知っていますか?Oisixどうですか?」というリアルプロモーションの立ち上げをやっていて。そこで毎日100人くらいの人に声をかけていました。

そこで、こういう悩みを持っている人はOisixのことを気になってくれるんだとか、Oisixのこういう部分は他社さんよりも支持してもらえているんだとか、こういう言い方をしたら小さなお子さんがいらっしゃる方は好意的な反応を示してくれるんだとか、そういうことがわかったんです。

リアルプロモーションの前にWeb広告を運用していたとき、こういうお客さんがOisixを始めるんだよという風になんとなく教わったお客さまイメージを基にコピーを書いたりしていたのですが、それでは全然結果が出なかった。

そのような中、実際にお客さんに会ってリアルな声やニーズを知ることができたことで、今どんな広告をやってもある程度結果が出せるようになっているベースになっています。

マーケターに憧れる学生は多いと思います。
逆に言えば、営業はやりたくないと思っている人が多い気がしています。

外資系企業で、マーケター採用と営業採用があれば、みんなマーケターに行きたいんです。しかし、狭き門なので営業を受けておくかというのが割と多いんですよ。

僕も学生時代はマーケ部門に行きたいと思っていたんですけど、日本の企業だと営業をちゃんとやってから人事やマーケティングに行くことが多いと思います。

その過程がしゃらくさいなって思ってたんですけど、実はそれには意味があって、営業をしっかりやることで一段も二段も強いマーケターになれるんじゃないかなと思ったんです。

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**西井:**リスティング広告の代理店に出稿をすると、そのものを知らないことって結構ありますよね。

例えば、野菜ジュースを売るという場合に、関連するキーワードをもらって、キーワード系ツールを調べて、ペルソナをとりあえず作ってという。「ペルソナは40代男性で」って、40代男性ってなんだよみたいな(笑)。

実際、白石さんが入社した時と今では、月間の新規獲得率は2倍くらいになっていますよね。

そこのベースが上がったというのは、新規獲得の手段が増えたことよりも、それぞれの効果がアップしているという側面が強いと思います。

それは、白石さんが実際にお客様と向き合って営業をしてきた経験があるからだと思うんです。今後、Oisixに入ってくる人は、それを絶対通過したほうがいいですよね。

**白石:**そうです。特にうちのチームは年齢や経歴は関係なく、今でもそうしています。

まずはリアルからやっていく。こういう悩みを抱えている人たちにはこういうOisixのよさを伝えると、気になってもらえるということを単純にWeb化するだけというか。

もちろん、細かいラフの書き方とかUIとかはありますけど、コミュニケーションの部分は変わらないので。

**西井:**季節によっても反応する野菜も違いますしね。

単純に、この野菜が美味しいみたいな言い方をすればいいのかというと、そういうわけでもなかったりしますし。

その辺は、たしかに店頭で1回やるだけでぜんぜん違うかもしれませんね。お客さんのイメージがしっかりつかめる。

今も、お客様に直接インタビューをするようにしているんですか?

**白石:**うちのチームでは毎週インタビューを実施しています。チームの誰かが行くようにして、議事録をチームで共有していますね。

**西井:**どういう話を聞くんですか?

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**白石:**会いに行くのは、既存のお客様、もしくはお試しセットを購入してくれたけれど、定期コースに入っていただけなかったお客様のどちらかです。

まずはOisixをなんで知ってくださったんですか?とか、何が本入会やトライアルのきっかけだったんですか?ということを聞きます。

それにより、どこに広告を出すと効果があるのかがわかるんです。

あとは、最初にどういう商品を購入してもらえるとより定期的に使いたくなってもらえるかという観点で、トライアルでどの商品が美味しかったのか、毎週買っている商品はあるかということを聞いたりします。

我々は、食材の定期宅配サービスなので、いかに定期コースに本入会してもらえるかということを考えなければなりません。

もう一度食べたいと思ってもらえる商品はどんなものなのかということをすごく考えますね。

**西井:**僕も自分の会社で、化粧品や健康食品を扱う会社のコンサルをやりますが、トライアルだけで買ってもらっても意味がないということになかなか気づかない企業が多いんです。

実際、トライアルも大事ですが、そのあとのコミュニケーションの方法も大事。

トライアルをしてもらった後のコミュニケーションの方法も、お客様のことを理解していないと、形だけでフォローメールしましょうとか、他社がやっているのを真似してやりましょうとか。そのままやっても上手くはいきませんよね。

**白石:**Oisixでも単に美味しい野菜を買ってみたい、食べてみたいというニーズの人は本入会にならなかったりします。なので、毎週のお客様ヒアリングをもとに、最初のトライアルから本入会までのコミュニケーションは日々試行錯誤しながら改善を続けています。

そういった経験もあって、日本の多くの企業がマーケティングをやる前に、営業をやる意味をすごく痛感しました。お客様を知ることが何よりもまず重要で、それを最も経験できる営業は本当に必要なプロセスだと感じています。