「旅するマーケター」西井敏恭が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。

第5回は、野菜宅配サービスを運営するOisixでEC事業本部PR室およびユーザー・エクスペリエンス(UX)室の室長を務める白石夏輝氏(写真左)と、Oisix Hong Kong Co., Ltd.取締役を務める鵜飼晃弘氏(写真中央)にお話を伺いました。

前編ではOisixが重視するマーケターとしての観点についてお話ししていただきました。
後編では各々が実感した自身の原体験を伺いました。

お客様の声をダイレクトに聞くことが重要

西井:お二人はそれぞれ新入社員の時から様々な経験をされていますが、その中で自分が変わったターニングポイントはありますか?

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白石:先ほどお話した「リアルプロモーションを通してお客様を知れた」ということですね。

僕がインターンで入社した時、社内で一番尊重されるべき意見は何かという話を上司としました。

その時に、要は経験や役職ではなくて、お客様を知っている人の意見が一番尊重されるべきという話があったんです。当時、チームの中でお客様の声を聞くということ実践している人が少なかった。

リアルの場でたくさんのお客様に会っていた僕に「お客様はどう言ってるの?」「どういう訴求が反応がいいの?」って先輩の社員の方たちが聞いてきてくれるようになったんです。

チームの中で、お客様の声を吸い上げる役というか、お客様の変化を察知してチームに伝達していくという役を担っていました。

西井: 一般的な会社では上司の声が一番という(笑)。
Oisixはお客様の声というのが、社内的な文化としてできてきている感じがします。

社長がこう言ってるから、社長の意見を取ろうというのはあまりないですよね。

白石:そうですね。仮に何か言われたとしても自分の会ったお客様の意見がそうでなかったら、そこは一旦無視して自分が信じている施策を実行してみます(笑)。

西井:正しい文化だよね。お客様に会いに行って聞いていることだから嘘ではないし。

白石:会話の中で、なんでその施策をするのかという問いに、僕はこう思うからではなくて、お客様がこう思っているからというように、主語が「お客様」になっているということは結構重要です。

西井:海外でもお客様の声が重要だとは思いますけど、難しいですよね。

鵜飼:僕の場合は、香港にいる時は直接お客様のところに行って話せるんですけど、以前日本にずっといた時は、電話インタビューをしていました。

聞きたいことをリストで書き出して、スタッフに渡して、それを通訳してもらうみたいな感じだと、深掘りができないんですよね。
なんでこれ買わないんですか?って聞いても、美味しくないから、みたいな(笑)。

質問事項を洗い出して、上手く引き出してもらうために、インタビュアーの人に綿密なインタビューシートを作って渡すということをひたすらやりましたね。

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西井:言葉は結構大変だと思うんですよ。

全然話が違うかもしれないけれど、言葉が通じない人と恋愛をするのって、すごく大変なことだと思うんです。

同じ言語を話す者同士ですらすごくもめるし、微妙なニュアンスで怒られたり、逆に微妙なニュアンスで褒められたりするわけですよ。それが全然通用しないというのは、すごく大変ですよ。

僕は、CRMは恋愛みたいなもの」とよく言うんです。
例えばLINEで大量のリストを獲得して、一斉メールで「今日の夜、ヒマ?」とかやっても、リストが刈り取られてどんどんコンバージョンがなくなっていって低くなる。

だけど、一人ひとりに合わせてコミュニケーションをやっていくと、コンバージョンしやすい。
ということを考えると、相手のことを知る意味で言葉の壁はすごく重要だなと。

鵜飼:ほんとは僕がしゃべれるようにならなきゃいけないんですけど。

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西井:今の言語習得レベルはどれくらいですか?

鵜飼:スラングをちょっとしゃべれるくらいですね(笑)。

白石:なんでそこからいく(笑)。

西井:スラングから(笑)。今後は他の国にも行くんですよね。

鵜飼:となると、言語がまた異なるんですよ。僕も含めた海外事業部全体で、日本のスタッフがおざなりにしちゃってる部分でもあります。

ほんとうは自分の言葉でコミュニケーションをしなければとは思っています。

西井:今は、現地スタッフとのやりとりは日本語ですか?

鵜飼:日本語か英語ですね。

白石:現地のスタッフとのやりとりも大変だし、海外でも大変そうな気がします。

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鵜飼:スタッフに関しても、海外は大変ですね。向こうはジョブホッピングが盛んで、日本より離職率が高いんです。

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なので、採用も人事も経理も法務も、全部見なければいけない。法務関係の書類も英語なので、日本側のスタッフとのコミュニケーションのためには、それを全部日本語に訳したりしなければならず、ほんとにしんどいですね。

西井:逆に、若いうちから上から下まで全部できるということは、すごくチャンスでもありますよね。売ることに関してもそうですよね。

どんな商品が売れるかということは、自分が一番よくわかってなければならない。
国内ならばほかの部署に売れ筋を知っている人がいれば聞きに行って情報を仕入れればいいけど、そこも違う可能性がありますよね。

鵜飼:我々も、ベースとして週1回上司とミーティングをさせていただいて、知見自体はいただいていたんですけど、その中でも日本でやっていることをそのままやるのではなくて、ローカライズしてどう上手にやっていくかということをやらないとダメだよという話になっています。

西井:海外と国内をもっと連携すると、今後さらによくなるかもしれませんね。