新しく商品を開発したり新規事業を展開したりする場合、競合している企業はどこなのか、自社の立ち位置はどこなのかなど、競合調査を行うことで差別化戦略を立てることができます。

しかし、競合している企業や商品・サービスを調べても、競合調査のやり方次第では目的からずれた調査結果を導き出してしまったり、分析結果からアクションプランまで繋げられない可能性があります。

そこで本記事では、競合調査のやり方やメリット・デメリット、具体的な調査項目や分析方法(フレームワーク)について詳しく解説します。

目次

  1. 競合調査とは
  2. 競合調査のメリット・デメリット
  3. 競合調査のやり方
  4. 競合調査で使用するフレームワーク
  5. 競合の強みと弱みを分析し差別化戦略を立てよう

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競合調査とは

競合調査とは、競合企業の事業や商品・サービスなどを把握し、自社の事業と比較して分析調査することです。ここでは競合調査と市場調査の違いや、競合調査を行う目的について紹介します。

市場調査との違い

市場調査は顧客のニーズや市場動向を探ることです。調査方法はインタビューや電話、インターネットアンケート調査が一般的です。調査で得られたデータは既存のサービスや商品の改善、新規商品などの開発に活用されます。

一方、競合調査は競合する企業のサービスや商品を調査して、様々な項目を自社のサービスや商品と比較することです。比較項目は売上や流通プロセス、来客数、ホームページの内容など調査目的によって異なります。

他社との差別化を図る目的がある

競合調査は競合の強みと弱み、特徴や戦略を把握した上で他社との差別化を図る目的があります。

つまり、競合調査では「競合を知ることで、自社を理解すること」が大切だということです。他社との差別化ポイントを意図的に作ることができれば、価格以外の部分で勝負でき、効率的なマーケティングが可能になります。

図_競合分析フレームワーク一覧.png

競合調査のメリット・デメリット

競合調査を行うと競合他社と比べて自社の足りない部分が明確になり、改善策を見つけられます。一方で競合調査を行う上で考慮しなければいけないデメリットも存在します。

ここでは、競合調査を行うメリット・デメリットについて紹介します。

競合調査のメリット

競合調査を行うメリットは以下の通りです。

  • 競合企業と比較することで自社の強みと弱みがわかる
  • 新しい競合企業を発見できる機会が創出される
  • 競合分析を行うことで差別化戦略を立てられる
  • 販売戦略・流通プロセス・価格の見直しなどができる
  • 今後競合になり得る企業の早期発見ができる
  • 業界の最新のトレンドを発見できる

競合調査は企業が成長し続けるために必要不可欠な要素です。調査結果をもとに様々な準備をしておけば、市場で優位に立てる可能性も高まるでしょう。

競合調査のデメリット

一方で、競合調査には以下のようなデメリットもあります。

  • 競合分析を行い戦略を実行するまで時間と費用が必要
  • 競合分析で導き出した戦略が明日通用しなくなる可能性もある

このように競合調査には時間と費用がかかってしまいます。また市場トレンドの変化によって、せっかく導き出した戦略がすぐに通用しなくなる可能性もあるでしょう。

しかし、このようなリスクはどの企業も平等にあるものです。ビジネスを成功させるための先行投資として、競合調査は積極的に行うべきでしょう。

競合調査のやり方

では具体的に競合調査をどのように進めていけばいいのか、下記で詳しく解説します。

競合調査の目的や調査項目を定める

初めに競合調査をなぜやるのか目的を明確にすることから始める必要があります。なぜなら、目的が定まっていないと、調査を行うこと自体が目的化してしまい、課題や改善策を発見できないからです。

また、具体的な調査項目を絞らず「コストがかかるから」という理由で網羅的に競合調査を行なってしまうと、薄いデータしか収集できず、膨大なコストと時間を無駄にしてしまうので気をつけましょう。

仮説を立てる

競合調査の目的と調査項目を明確にしたら、次に仮説を立てて検証する作業に移ります。マーケティング調査は費用を伴うものなので、いきなり調査に入るのではなく、まずは自社の課題に対して仮説を立てることが大切です。

ポイントは自社の強みと弱みをピックアップしながら、自社の課題に対しての仮説を立てることです。例えば、「自社は競合他社に比べて〇〇が不足しているので、自社サービスをリニューアルすれば〇〇の強みが発揮できるのではないか」というようなイメージです。

直近の社会情勢やトレンド、今後の業界の流れなどを考慮しながら、最適な仮説を立てることが大切です。

調査を実施して仮説を検証する

仮説を立てた後は、仮説に基づき競合調査を実施します。具体的には、ホームページや関連サイトをリサーチしたり、競合企業に直接訪問して営業をしたりといった方法が一般的です。

そして、調査項目ごとに自社と競合企業を比較することで、予め仮説を立てた差別化戦略が正しいのか検証します。

仮に仮説が間違っていた場合、再度仮説を立て直して検証を行いましょう。何度も新しく仮説を立てる過程を繰り返すことで、ますます分析精度が高まっていくので、懲りずに継続することが重要です。

競合調査の調査項目

競合調査では調査項目ごとに調査方法を変える必要があります。ここでは、具体的な調査項目について見ていきましょう。

【1】ビジネスモデル

競合他社のビジネスモデルを調査する場合は、以下の項目を重点的に調査しましょう。

  • 事業規模
  • 経営方針
  • 商品展開
  • 顧客層
  • 販売・サービス経路
  • マーケティング戦略
  • 集客方法

自社とビジネスモデルの近い企業をリストアップして調査することをおすすめします。

【2】商品・サービス

競合他社の商品・サービスを調査し品質の向上を図る場合は、以下の項目を調査しましょう。

  • 価格帯
  • 商品の種類
  • 接客対応
  • アフターサービス

自社と比べてどんな強みがあるのかを把握し、自社に足りない部分を見つけましょう。

【3】HP・ECサイト

自社のホームページやECサイトなど、サイトの改善を行う場合は以下の項目を調査しましょう。

  • オリジナルのコンテンツ
  • サイトと連携しているSNS
  • 購入のしやすさ
  • 問い合わせのしやすさ
  • ターゲットユーザーの属性
  • 軸となるコンテンツの種類
  • サイトの更新頻度
  • YouTubeを使用しているか否か
  • 画像や動画の使用回数
  • バナー広告の有無

利益を出している企業の多くは、サイトが作り込まれています。そのため、ネットでの集客に力を入れる際は、まずは競合他社の良いところを真似することから始めてみましょう。

ただし、丸パクリは禁物です。自社の強みを上手に取り入れながら、オリジナルコンテンツとしてサイトの改善を行いましょう。

【4】販売戦略

競合他社の販売戦略を調査し、自社の販売戦略の立案や見直しをする場合は、以下の項目を調査しましょう。

  • 販売方法
  • 販売実績
  • 業界シェア

【5】商流

競合他社の商品やサービスの仕入れ先や顧客へのサポート体制などを調査し、自社の改善を図る際は以下の項目を調査しましょう。

  • 業務委託契約先
  • 受注・発注方法
  • トラブル発生時の規定
  • 改修が必要になった場合の分担

なお、商流がはっきりテンプレート化している企業は利益率が高い傾向があります。

【6】人事戦略

競合他社の人材採用の仕方や定着率を調査し、自社の人事制度を見直す際は以下の項目を調査しましょう。

  • 従業員の割合
  • 雇用形態ごとの利用状況
  • 給与体系
  • 人生体制

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競合調査で使用するフレームワーク

競合調査をする場合は、調査する項目設定や各手順において活用できるフレームワークがあります。ここでは、効率よく競合調査を行う方法について紹介します。

自社の強みや立ち位置を見つける分析方法

まずは競合他社に比べ、「自社はどんな強みや弱みがあるのか」「業界の立ち位置はどこなのか」などを明確にするための分析をしてみましょう。

● バリューチェーン分析

図_バリューチェーン分析.png

バリューチェーン分析とは、一つの事業を細かく分けることで事業の強みや弱み、付加価値を創出しているプロセスを分析するフレームワークです。

細分化した活動ごとに細かく一つずつ比較することで、競合よりも優位に立てる戦略を導き出せます。主にブランディング向上施策や中長期的な事業戦略の際に有効的に働きます。

● SWOT分析

図_SWOT分析.png

SWOTは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとった言葉です。これら全ての項目を分析できます。

自社の内的要因と外的要因、競合他社の内的要因と外的要因、それぞれに分けて分析できるため、競合と自社の違いを明確にすることが可能です。

競合を探し戦略策定を行う分析方法

自社と似たような競合他社を探すには、業界構造や商品分析のフレームワークを利用して調査してみましょう。

→ SWOT分析についての記事

SWOT分析のテンプレート

SWOT分析のテンプレート【パワーポイント形式】

● ファイブフォース分析

図_5フォース分析の例.png

ファイブフォース分析は、名前の通り5つの競争要因から事業構造を分析し、自社の強みと弱みを明確にする際に使用されるフレームワークです。

この5つの競争要因は、競合代替商品新規参入者購入者の交渉力販売者の交渉力が挙げられます。競合と比較した際の商品戦略策定に役立ちます。

→ ファイブフォース分析についても書かれている記事

ファイブフォース分析のテンプレート

ファイブフォース分析のテンプレート【パワーポイント形式】

● 4C分析

図_4C分析の例.png

4C分析とは、商品やサービス、施策がユーザーにきちんと価値を与えているのかを分析するためのフレームワークです。

4Cは名前の通り、Customer Value(顧客価値)、Customer Cost(時間・金銭的・心理的負担)、Convenience(利便性)、Communication(企業・顧客間のコミュニケーション)の意味を持ちます。

4C分析を行うことで、顧客から自社商品やサービスが「なぜ選ばれているのか?」「なぜ他社商品よりも自社が選ばれるのか?」「どんな魅力があるのか?」など客観的に分析することができたり、訴求ポイントを洗い出すことも可能です。

→ 4C分析についての記事

4C分析のテンプレート

4C分析のテンプレート【パワーポイント形式】

● 3C分析

図_3C分析の例.png

3C分析は、顧客との良好な関係構築を目的としたフレームワークです。この3Cは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Compan)という意味があり、3つの視点から分析を行います。

他社と顧客ニーズを分析し、自社の訴求ポイントはどこなのか明確にするためのマーケティング戦略の一つです。この3C分析は、他のフレームワークと組み合わせることでより効果を発揮できます。

→ 3C分析についての記事

3C分析のテンプレート

3C分析のテンプレート【パワーポイント形式】

競合の強みと弱みを分析し差別化戦略を立てよう

競合調査はリサーチをして終了ではなく、分析結果に基づいて改善策を立て、アクションプランまで落とし込むことができて初めて完了となります。

また、調査目的を明確にしてからプランを立てることも大切です。調査自体が目的化してしまうことのないよう、注意しましょう。

なお、競合調査は非常に手間と時間のかかる作業です。社内リソースに不安がある場合は、自動で競合調査を行ってくれるツールなども積極的に活用していきましょう。

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