こんにちは。株式会社マルケトのアカウント・エグゼクティブの弘中 丈巳です。

今回は、"未来にむけて、社会人が今学んでおくべきこと"をコンセプトに、明日の仕事に生きる最先端分野の講座を毎日開講しているSchooで先日行ったオンライン授業「エンゲージメントを深めるインサイドセールスの構築」の内容について紹介します。

この授業では、株式会社HDEのInside Sales & Digital Marketingマネージャーの水谷 博明様をお招きし、同社のインサイドセールスについてお聞きしました。

また、弊社マーケティング本部インサイドセールス部マネージャーの星子 彩美が、マルケトのインサイドセールスの取り組みについても説明しました。

ひと口にインサイドセールスと言っても、その形は会社によって違います。2つの会社の事例を参考にしながら、自社のインサイドセールスの形を模索していただければ幸いです。

インサイドセールスとは?

まずインサイドセールスについて簡単に説明します。インサイドセールスとは、マーケティングとセールスの橋渡し役です。

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画像引用元:マルケト提供

インサイドセールスは、マーケティングに近い“インバウンド型”と、セールスに近い“アウトバウンド型”の2種類に分けることができます。

インバウンド型”のインサイドセールスは、自社の製品やサービスに興味のある顧客に正しい情報を伝え、理解を深めていただく役割を担います。マルケトのインサイドセールスは“インバウンド型”です。

一方、“アウトバウンド型”のインサイドセールスは、顧客に自社の製品・サービスに関する提案を積極的に行い、興味を持っていただくのが役割です。HDE様のインサイドセールスは“アウトバウンド型”です。

インサイドセールス構築に必要な3要素

HDE様は、3年ほど前にインサイドセールス部門を設置しています。その部門トップである水谷様は、「インサイドセールスの構築には、ミッション、役割、成功に導くファクターの3要素が必要」だと言います。

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画像引用元:マルケト提供

インサイドセールス部門を立ち上げた際にミッションとして掲げたのは「気合と根性、人依存体制からの脱却。デジタルネイティブでクリエイティビティなSalesmanを量産する」というものでした。

同社のセールスはアウトバウンドコールが主体ですが、データやシステムを活用しながら効率よく営業活動を進められる人材が少ないことが大きな課題でした。

そこで、上記のミッションに基づいて、インサイドセールス部門に「新規およびナーチャリングのためのアウトバウンドコール」と「人材をフィールドセールスにステップアップさせるための教育」という役割を与えました。

データとシステムを活用し、創造力を発揮しながら効率よくアウトバウンドコールができる人材を育成し、その経験を生かしながら顧客との直接交渉でも能力を発揮できる人材をフィールドセールス部門に送り出す――。同社 インサイドセールス部門は、そんな“教育機関”としての役割も担うことになったのです。

成功に導く6つのファクター

水谷様が「インサイドセールス構築に必要な3要素」のひとつとして挙げた「成功に導くファクター」は、下の図に示した6つのファクターで構成されます。

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画像引用元:マルケト提供

以下、HDE様とマルケトの事例に沿って、6つのファクターの重要性について見ていきましょう。

インサイドセールス事例

事例に入る前に、マルケトのインサイドセールス部門のミッションと役割についても簡単に説明しておきます。

弊社は、「より多くの企業が、顧客との継続的な関係性を構築し、売上をアップできるように、マーケター、営業担当者のマーケティング活動を支援すること」を会社のミッションとしています。

これを受けて、弊社のインサイドセールス部門は、「優良見込顧客をターゲティングし、タイミングを逃さず質の高い会話をして、顧客に最高の『学習・検討体験』を提供して、継続的な関係性を構築し、1社でも多くの見込客の成功を支援すること」をミッションに掲げました。

また、「フィールドセールスへ、検討確度が高いリードを送客し、新規ビジネスによる売上向上に向けて、商談作成支援を行う」ことを役割としています。

では、6つのファクターのそれぞれについて、HDE様とマルケトの事例を見ていきましょう。まずは、KGI/KPIです。

1.KGI/KPI

先ほども述べたように、インサイドセールスはマーケティングとセールスの重要な橋渡し役です。この3者が緊密に連携しなければ、マーケティングやインサイドセールスによる活動は、なかなか売上に結び付きません。

HDE様では、以前は部門ごとにばらばらのKGI/KPIを設定しており、それが部門間の連携を妨げる大きな要因のひとつになっていました。

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画像引用元:マルケト提供

マーケティングはインサイドセールスにリードさえ渡せばいい、インサイドセールスはアポさえ取ればいいという自分たちだけのKGIにこだわり、部門間に“KGIの壁”が出来ていたのです。

そこで同社は、「受注貢献件数」を部門共通のKGIとして設定しました。その結果、3部門の足並みが非常によく揃うようになったと言います。

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画像引用元:マルケト提供

また同社は、マーケティングやインサイドセールスによる活動がアポの取得や受注には結びつかなくても、有益な情報を取得できた場合は評価することにしました。これによって「情報は資産だ」という社員の認識が深まり、データを活用しながら業務を進める動きに弾みがついたようです。

一方、マルケトは、「新規商談作成数」をインサイドセールスのKGIとしています。

その前段のKPIにはアプローチ件数やリードへのコンタクト件数、フィールドセールスの初回訪問数などがありますが、ただやみくもにアポを取るのではなく、「いかに新規商談作成に結び付けるか?」というKGI(最終ゴール)を念頭に置きながら業務を進めています。

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画像引用元:マルケト提供

2.仕組み

水谷様は「6つのファクターの中で最も重要なのは仕組み」だと指摘します。

なぜなら、同じデータを共有・活用できる仕組みこそが、部門間をつなぎ、足並みを揃えるための力になるからです。

そこでHDE様は、マーケティング、インサイドセールス、セールスの3部門に共通する情報プラットフォームとして、SalesforceのCRMを採用しました。

このCRMには、「一般的な企業情報」「マーケティングデータ」「セールス活動データ」の3つが入力され、すべての情報を3部門が共有できる仕組みになっています。

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画像引用元:マルケト提供

一般的な企業情報は、従業員数や業種、本社所在地といった企業の基礎情報で、調査会社から購入したものを定期的にアップデートしています。

マーケティングデータは、マーケティング部門がMarketoを使って収集したクリックやメールの開封、問い合わせ、サイト来訪などのデータです。

セールス活動データとは、セールス担当者が顧客から直接得た情報です。

顧客が現在導入しておられるグループウェアシステム、システム更新時期、ISMSやPマークの取得状況といったコンディションのほか、最終活動日、最終訪問日、最終商談確度などの活動状況を入力します。

3つのデータの中でも、特に重要なのはこのセールス活動データだと水谷様は言います。

なぜなら、セールス担当が顧客といつ接触し、どんな話をしたのかということは、インサイドセールス担当がその顧客にアポを取る際の話の切り出し方や興味の引き出し方に大きく影響するからです。

しかし、セールス担当は忙しいので、なかなか情報を入力してもらえず、「セールス活動データの構築には非常に苦労しました」と水谷様は振り返ります。

そこで、なるべくシンプルなユーザーインターフェースを採用したり、商談後すぐに入力できるようモバイルアプリを開発したりと、セールス担当が手間を感じずに入力できるようにする仕組みを採り入れました。その結果、2年ほど経ってようやくデータ構築が実現したと言います。

一方、マルケトでは、下の図のように8つの顧客ファネルを設定し、PR・マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの全チームが、同じ顧客ファネルを確認しながら受注数の向上を目指す仕組みを採り入れています。

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画像引用元:マルケト提供

すべての顧客ファネル情報は、SalesforceのCRMによって共有されています。

例えばリード情報は、担当者名や役職といった基本プロフィールだけでなく、リンクドインから入手したいままでのキャリアやスキル、人脈。Marketoで収集したリードソースやWebアクティビティ、メール開封などの情報がすべて統合されています。

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画像引用元:マルケト提供

これらの情報によって、3つのチームが三位一体で動けるようになるだけでなく、顧客の視点に立った、より適切なアプローチが可能となるのです。

3.採用

インサイドセールスは新しい業務領域なので、どのような人材を採用するのかということも非常に重要なファクターです。

先ほども述べたようにHDE様はインサイドセールス部門を人材の“教育機関”と位置付けており、この部門を設置したことで「採用の幅が広がった」と水谷様は言います。

IT未経験者やBtoB未経験者、外国人など、かつては即戦力になりにくいとの理由で見送っていた人材も採用できるようになり、「人材不足の時代でも社員を確保しやすくなった」と水谷様は実感しています。

マルケトでは、インサイドセールスに限らず、採用の基準として「相手への気配りが出来ること」「相手の考えていることを想像できること」を特に重視しています。顧客の視点に立って提案できる力こそが、セールスを成功に導くと考えているからです。

4.教育

HDE様は、インサイドセールス部門をフィールドセールスに人材を送り出すための“教育機関”と位置付けています。

そこで、配属から1カ月後には「テレアポができるようになる」、3カ月後には「新規アポ獲得ができるようになる」、6カ月後には「商談化件数を増やす」、1年後には「受注件数を増やす」というゴールを設け、テストやプレゼンによって評価判定をしています。

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画像引用元:マルケト提供

マルケトでは、人材がインサイドセールスに配属されてからの1カ月間、下の図のようなオンボーディングプログラムを実施します。その後は、OJT指導を受けながら実践でスキルを磨いていきます。

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画像引用元:マルケト提供

5.環境

人材に能力を最大限に発揮してもらうには、働きやすい環境や、作業に集中しやすい環境を整えることも大切です。

HDE様は、テレワークを推進するため、全社的に固定電話を廃止し、スマートフォンやPCなど、好きなデバイスで好きな場所から固定回線番号でコールできるIPフォンを導入しました。

また、周囲の音を遮断して顧客と通話ができる単一指向性ヘッドセットを各メンバーに貸与するなど、通話に集中できる環境に配慮しています。

マルケトでは、オペレーションの生産効率向上を意識した環境づくりを行っています。

スタッフのデスク上にはPCのほかに2つのモニターを設置。一方のモニターにはCRM画面を、もう一方には顧客のWebサイトを表示し、手元のPCでメモを取りながら、次から次へと顧客にアプローチできるように工夫を凝らしています。

顧客へのアプローチは原則として電話またはメールで行いますが、資料を用いた紹介や提案が必要なシーンではWeb会議システムも活用しています。

6.モチベート

業務のパフォーマンスを上げるには、人材のモチベーションを高めることも重要です。

HDE様では、下の図のように、インサイドセールス担当が「いい仕事」をすると、フィールドセールス担当から賞賛するバッジが贈られる仕組みを採り入れています。

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画像引用元:マルケト提供

マルケトでは、本部長・マネージャーが各メンバーと1on1の面談を実施し、課題や日々感じていること、今後のキャリアに対する希望などを聞き、必要に応じてフィードバックしています。

以上、6つのファクターを整備していくことが、インサイドセールス構築には欠かせないポイントです。

まとめ

今回は、HDE様とマルケトの事例を紹介しました。

インサイドセールスの形は会社の数だけ存在します。6つのファクターを軸に、自社に適したインサイドセールスはどういう形なのか考えるきっかけになれば幸いです。