動画広告でクリエイティブを開発していく際は論理だけで制作するのではなく、創造性が必要です。では、この両者はどうすれば共存し、両立するのでしょうか。

広告におけるクリエイティブとは何か?

「クリエイティブ」という言葉に誤解がつきまとうことは少なくありません。「奇抜なアイデアを考えること」や「芸術的な感性や天才性を要するわかりにくいもの」と捉える方もいます。しかし、広告クリエイティブとは、誰にでも習得可能で再現性がある技術なのです。

広告クリエイティブとは経営・マーケティング課題を解決するためものです。いわば、注文芸術(商業芸術・目的芸術)であり、課題解決のための創意工夫です。

広告クリエイティブ最大の目的は、「共感」を生み出すこと

これまでの広告は、興味のない生活者をターゲットにして強制的に振り向かせるものが多くありました。そもそも、広告=Advertisingの語源である「Advert」は振り向かせるという意味であり、それが広告の本質的な意義と考えられていたのです。

しかし、デジタル広告の時代では、企業から一方的に売り手の都合を押し付けるものや、クリエイターが経験や勘に頼り「ほら、こんなのいいだろ」と主観的に作る「上から目線」のコミュニケーションは通用しなくなっています。むしろ、生活者の目線に立って、人々がどんな気持ちでいるかを理解・共感してつくる「横から目線」のクリエイティブが求められています。

Web動画広告の主要メディアとなるYouTube、Instagram、Facebook、Twitterなどのプラットフォームでは、ユーザーの興味関心に応じて表示アルゴリズムが掲出するコンテンツを選んでいます。このようなメディア環境下では、ユーザーに興味関心を持ってもらえる、共感してもらえるクリエイティブを作ることが必要不可欠になるのです。

共感を生み出すクリエイティブ戦略のポイント

広告クリエイティブは、ビジネス(論理)とアート(創造性)が理想的なバランスで組み合わさったときに最もパワーを発揮します。論理と創造性を融合させるクリエイティブ戦略の思考プロセスは、大きく4段階に分けられます。

1)ミッションの発見(論理)
2)コアアイデアの開発(論理)
3)ゴールイメージの設定(論理+創造性)
4)アウトプットの品質管理(論理+創造性)

1)ミッションの発見

ミッションの発見とは、企業と生活者のニーズが噛み合うポイントを戦略として見つけることです。そのためには、企業と生活者の双方の観察と理解・共感が必要です。ここではミッションの発見におけるプロセス「観察→理解・共感→課題抽出」を紹介します。

●観察
広告制作は、広告主の課題の理解から始まります。企業の目的が「認知拡大」であっても、なぜ認知が必要なのか、どう認知されたいのかはそれぞれ異なるため、企業が置かれている状況を観察し、ビジネスの理解を深めることが必要です。

●理解・共感
次に、顧客となる生活者の「観察、理解・共感」です。具体的な手法にはインタビュー等がありますが、大切なのは「生活者の声よりも心に耳を傾けること」。自分が何を欲しているのかを明確に言語化することは難しいため、生活者の声を額面どおりに受け止めても、ヒットに繋がることは多くありません。

そのため、インタビュー等で得た生活者の声を鵜呑みにするのではなく、その言葉の奥にある「気持ち」の洞察が重要です。例えば、SNSで自社の製品についての投稿を探るソーシャル・リスニングでも、「なぜその投稿をするのか?」を考えると、人々が喜び・不満に感じる提供価値や、本当に達成したい目的(カスタマージョブ)が見えてきます。それを「理解・共感」できるかが、課題抽出やミッションの発見において非常に大切なポイントとなります。

●課題抽出
広告主と顧客の心を理解・共感することで課題が見えてきます。課題とは「どのように広告主と顧客の心を繋げるか?=どのように共感を生み出すか?」です。共感を生み出すためには、広告主がより深い共感、精神的価値を提供するためのミッションを、より高い次元で設定することが必要です。

例えば、レッドブル社はエナジードリンクの”元気を与える”という機能的価値に照らし、「翼をさずける」というメッセージを発信していますが、彼らのミッションはさらに高い次元の「夢を追う人たちをサポートする」ことです。このミッションに基づき、スポーツや音楽、アートにおいて、そのシーンの活性化やアスリートの自己実現をサポートしています。

2)コアアイデアの開発

次に、ミッションを生活者の共感を生むように伝えるためのアイデアが必要となります。Viibarではこうした広告主と顧客の心を繋げるアイデアを「コアアイデア」と呼んでいます。

例えば、レッドブル社は「夢を追う人たちをサポートする」ため、若手のDJやミュージシャンのためのレッドブル・ミュージック・アカデミーを作り、卒業後に第一線で活躍するアーティストを多く輩出しています。

コアアイデアの開発で大切なのは、必ず答えにたどり着けるというクリエイティブ・コンフィデンスと、肯定的な姿勢を崩さずに考え続けることです。また、1人よりもチームで考えると様々な視点やアイデアを取り入れられます。ほかにも、言葉だけではなくプロトタイプにしてみること。未完成のアイデアを恐れず共有すること。受け手の反応を素直な心で受け入れ改善を続けること。そうすれば、きっと良いアイデアにたどり着けるでしょう。

3)ゴールイメージの設定

ゴールイメージの設計とは、生活者との接点を設計することです。「今回のアウトプットはどう思われるべきか?」「どんな感情を抱いてもらうか?」「どうしたら心に響くか?」等を定義していきます。企画フェーズと制作フェーズで、それぞれに必要なゴールイメージの設計があります。

企画フェーズでは、生活者の気持ちを考えてクリエイティブを設計する必要があります。いかに生活者に「必要な情報が必要な時に届いた」と思ってもらえるか。広告とは、いきなりパーソナルスペースにお邪魔するものなので、相手の立場で物事を考えるというエチケットをわきまえておくことが重要です。

制作フェーズにおいては、クリエイティブの非論理的な領域が必要になります。企画までは、リサーチとロジックで組み立てる戦略的なプランニングが大半を占めますが、生活者の心を掴むクリエイティブを作るにはロジックだけでは不十分です。それでは「結局マーケティングだろ」と下心を見透かされてしまいます。

感動してしまう美しい映像、洗練されたデザイン、思わず笑ってしまうジョーク、泣いてしまうストーリー。広告クリエイティブにおいては、これらの論理を超越した力が、ロジックを積み上げた後に必要になります。これが達成されなければ、生活者のハートを掴むことはできないのです。

4)アウトプットの品質管理

クリエイティブの品質を最高にするためには、「これは共感を生み出すために最適・最強のアウトプットか?」と問うことが必要です。実際の広告制作では、ここに辿り着くまでに「軸」がブレてしまっていることが多くあります。

よくあるのが、こんなパターンです。
・論理は成立しているけれど、つまらないアイデア
・おもしろいアイデアだけれど、論理的ではない。

しかし、最高のアウトプットをするためにはいずれも妥協するべきではありません。論理と創造性が最適なバランスで両立し、広告主と生活者の間に共感を生み出している状態。これが、いかなる広告制作においても目指すべきゴールなのです。

まとめ

ここまで読んでくださった方は、広告制作におけるクリエイティビティとは天才性を要するものではなく、技術であることを理解いただけたのではないでしょうか?

繰り返しとなりますが

1)ミッションの発見(論理)
2)コアアイデアの開発(論理)
3)ゴールイメージの設定(論理+創造性)
4)アウトプットの品質管理(論理+創造性)

今回紹介した4つのポイントを踏まえて、論理と創造性が両立した効果の高い動画の開発を目指してください。