アクセス解析には、大きく2種類のレポートがあります。
「定期的に見ておくレポート」と、「施策ごとにその結果だけを分析するレポート」です。

今回はアクセス解析のレポートを、具体的な例を交えてご紹介します。

モニタリングレポートと施策用レポート

アクセス解析では、定期的に見ておくレポートのことを「モニタリングレポート」と呼びます。
広告を出稿したり、キャンペーンを行った時にその結果を分析するレポートとは違い、日常的に追っておくべき数値を見るためのレポートです。

施策を行った後は、モニタリングレポートとは別に、その効果を確認するためのレポートを作るのが一般的です。
その施策の目的に合わせた数値を細かく見ていく必要があり、モニタリングレポートだけでは足りなくなるからです。

モニタリングレポートに入れる内容

モニタリングレポートの最も重要な役割は、「サイトの目標・KPIの達成度合いを可視化する」ことです。
そのため、まずは目標数値・KPIおよびそれらの達成度合いがシンプルで見やすい表やグラフ、レイアウトで記載されている必要があります。

その後に、「このレポートを誰が使うか」を考えながら担当者が見るべき数値を盛り込んで行きます。

たとえば経営者向けのレポートであれば売上への貢献度を細分化した数値、広告担当者向けのレポートであれば広告ごとの詳細な効果、といったようにそのレポートを使う人が見たい数値を入れます。

どのような数値を記載するかは、実際にレポートを見る担当者に「どんな数値が見たいか」をヒアリングして決めると良いでしょう。その中から「定常的に見ていく必要があるもの」を取捨選択していきます。

モニタリングレポートを作るときの注意点

モニタリングレポートは、長期的にホームページのパフォーマンスを見られるようにしておくことが目的です。

そのため、現状の数値だけでなく、過去の数値トレンド・着地見込みの数値・前月比や前年同月比も入れておく必要があります。
合計値だけだと、「定常的に数値が悪いのか、局所的に異常値があったのか」「平日と休日のどちらの流入を増やす施策を行なった方がいいのか」など、実際の施策に落とし込みづらく、使えないレポートになってしまいます。

また、運用しているうちに、途中から不要になる数値・追加で必要になる数値があるでしょう。これらを定期的にメンテナンスしていく必要があります。

レポートを作る作業が属人化しないよう、「この数値はこうやって取得している」「ここを更新するにはこの手順が必要」といった簡単な手順書のようなものを作っておくのも良いでしょう。

施策用レポートに入れるべき内容

施策用レポートは、モニタリングレポートと違い「その場だけで使うためのレポート」です。

そのため長期的な数値の変化ではなく、「施策内容は何だったか」「その結果がどうだったか」「なぜその結果になったのか」がシンプルに分かることが大事です。

施策前後での数値比較と、施策後の数値の要因を深堀して「その結果になった理由」がわかる数値を入れましょう。

また、同様の施策を過去にも行なったことがあれば、その時の結果との比較も入れられると効果検証がしやすくなります。

施策用レポートを作るときの注意点

施策用レポートは、施策の結果報告などにも使われるため「綺麗な見栄えで」とこだわって、作ること自体に時間をかけてしまうケースがよくあります。

もちろん見やすいレポートを作ることは重要ですが、まずは数値を並べてみて、結果の分析に時間を使うようにしましょう。レポートの体裁を整える作業は、一番最後にまとめて行うと効率良くレポートを作れます。

また、施策用のレポートは後から他の担当者が自身の施策の参考にすることも考えられます。「どのような施策だったか」「どのような条件で取ったデータか」などをメモしておくと、他の人にも伝わりやすく同じ条件で後からデータを集計するときに便利です。

レポートの実例

ここからは、実際のレポートのイメージをご紹介します。

レポートの形に正解はありません。自社が見たい数値がすぐに見れるようになっているか、なるべくシンプルで分かりやすい形になっているかに注意しながら作っていきましょう。

モニタリングレポートの例

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上記はECサイトの例です。
左上に「サイトのゴール」「KPI」「KPIに影響する指標」をまとめて置いてあり、経営者など大まかな数値だけを瞬時に把握したい人はここだけを見ればいいようになっています。

一方、ホームページの運営者はさらに細かい数値まで追う必要があります。

上のレポートの場合は、各ページの遷移状況を見てボトルネックを把握できるように、遷移マップを下に置いています。ホームページの中できちんと回遊してくれているか、フォームのどこで離脱しているかなどをチェック出来るようにするためです。

このように、自社が常に確認しておきたい数値をなるべく見やすい形にしておくのがモニタリングレポートの役割です。
どんな数値をどのように見せるかはホームページによって様々です。

施策用のレポートの例

定期的に追うモニタリングレポートとは別で、施策を行ったときにその結果を振り返るレポートも必要です。

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たとえば、ページに改修を加えた場合は、その結果改善したかった数値がどうなったかを計測し、後で分析できるようにしておく必要があります。
レポートを作る前から、必要な数値を事前に考えておきましょう。

広告の効果を見る

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広告を出稿した際には、広告ごとに「何回表示されたか(インプレッション数)」や「何回押されたか(クリック数)」「最終的にどのくらいコンバージョンに繋がったか(CVR)」などを確認できるようにします。

コンテンツの評価をする

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メディアサイトやプレスリリースサイトなどでは、更新したコンテンツごとに「どれくらい見られたか(ページビュー数)」「その記事がどのくらい態度変容に繋がったか(=読んだ後にどれくらいコンバージョンしてくれたか)」などを追いかける必要があります。

まとめ

実際のレポートをいくつかお見せしましたが、自社に必要なレポートのイメージは持てたでしょうか?

レポートを作るときは、いきなりエクセルなどに向き合わず、まずはホワイトボードなどに「何の数値をどこに置くか」を考えてみると良いでしょう。

このレポートで言いたいことは何か、そのために必要な数値は何か、その数値はどう見せたらわかりやすいのか(棒グラフなのか折れ線グラフなのか、など)を順番に考えていくと無駄な時間をかけずレポートを作れるので試してみてください。