アクセス解析では「どこから来た人が(集客)」「何を見て(行動)」「何をしたか(コンバージョン)」を分析するのが基本の流れです。
では、実際にアクセス解析で扱うデータには、どのようなものがあるのでしょうか?

今回の記事では、アクセス解析で扱うデータを「属性データ」「行動データ」「コンバージョンデータ」の3つに分類して解説します。
具体的に何のデータが取得できるかはツールによって異なるため詳細な紹介は割愛しますが、どんなデータをどのように活用できるのか、読みながら考えてみてください。

取得する内容

アクセス解析で扱うデータは、大きく以下の3つに分類できます。

属性データ

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ユーザーがどんな人か、を表すのが属性データです。
アクセスしている端末などの情報は計測できますが、ユーザーの性別・年齢・職業・家族構成などは計測できません。

しかしマーケティング施策にはそれらの情報が必要不可欠です。属性データがあると、家族構成に合わせたクーポン券を発行したり、休日が平日か週末かによってメールマガジンを配信する時間を変えたり、といった“その人”に合わせた施策を打つことができます。

自社のホームページ上で収集する場合

属性データをホームページ上でとる場合はこれらの情報をアンケートや会員登録フォームなどから取得する方法が一般的です。

また、その場で取得できなくても、郵送の申込書などオフラインのデータをアクセス解析のデータと連携することで、属性ごとの分析ができるようになります。

ただし、オンラインとオフラインの情報を結合するためには、「このデータとこのデータが同一人物のものである」と確定できる情報が必要となります。通常は会員IDなどがその判別に使用されます。

外部のデータを収集する場合

自社で計測できない場合は、外部から属性データを集める方法もあります。
たとえばGoogle アナリティクスを使えば、Googleが持つ広告データをもとに性別・年齢・興味関心情報を表示できます。

また、独自で集めた情報を販売している企業からデータを購入する手段もあります。この時のデータを、第三者から提供してもらうデータという意味でサードパーティデータと呼びます。

サードパーティデータを提供している企業は、独自で情報を提供してくれる人(パネラー)を持っており、そのパネラーの端末などからアクセス情報・属性情報などを企業に送ります。サードパーティデータを使うことで、属性情報はもちろんですが、自社以外のサイトで入力したデータや閲覧情報のデータを知ることも出来ます。
ただし、分かるのはパネラーになっているユーザーの情報のみなので、あくまでも参考値です。

行動データ

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扱う行動データには、オンライン上のデータとオフライン上のデータの両方があります。

オンライン上の行動データ

ホームページ上をどのように動き、どのコンテンツをどれくらい見ていたかといったアクセスログの情報です。
これらのデータを、「コンバージョンしたユーザーとしなかったユーザーの行動の違い」「平日と土日の行動の違い」などと比較していくことで、施策につなげます。

最近では、全体の傾向を見るだけでなく、ユーザー個人の分析を行うミクロ分析的な手法も取り入れられつつあります。
アクセス解析では、ユーザー1人ずつに固有の情報が付与されます。それをもとに、「◯月◯日にサイト上で問い合わせしたこのユーザーが、サイト上でどんなページを見ていたか」を詳細に見ることで、そのユーザーの関心のある情報を予測できます。

BtoBなど、ホームページ上のコンバージョンから先にビジネス自体のコンバージョンがある場合には、ホームページの行動情報が重要な商談ヒントになる場合もあります。

オフライン上の行動データ

オフライン上の行動データは、ユーザーが「この行動をした」というヒントをウェブ上で取得できるようにしておくことで収集できます。
たとえばイベントの入場チケットにQRコードを使い、そのコードに1人ずつ別々のパラメーター(文字列)を入れておくことで、「このユーザーが何月何日の何時にイベントに来た」というデータを入手することができます。

また、日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、「iBeacon」などの技術を使うことで、GPSよりもさらに詳細な位置情報を取得することもできます。

iBeaconとは、専用の端末を設置することでiPhone・iPadなどApple端末から位置情報を取得できる仕組みのことで、WiFiなどよりも精度が高いことから海外で注目されました。

このiBeaconを店内に設置し、ユーザーがその近くを通ったときに「この店舗限定のクーポンはこちら」「この棚の商品を使ったコーディネートはこちら」のように、ユーザーにプッシュ配信を行ったり、過去の来店履歴・購入履歴などを取得して「あなたにおすすめの商品が入荷しています」といったレコメンド情報を送ることができます。

しかし、このような技術は日本ではまだ活用しきれているとは言えません。だからこそ、アイディア次第でさまざまなビジネスチャンスに繋げることができるでしょう。

コンバージョンデータ

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アクセス解析で最も重視されるのが、このコンバージョンデータです。

コンバージョンデータも、行動データと同様に、オンラインとオフラインがあります。

オンライン上のコンバージョンデータ

ホームページで計測できるのは、あくまでも自社のホームページ上で計測できる行動です。

例えば「ホームページ上から資料請求し、そのユーザーにテレアポをかけて商談し、成約に繋げる」というビジネスの場合はあくまでも「ホームページ上からの資料請求」がアクセス解析上のコンバージョンになります。

しかし、実際のビジネス上のコンバージョンは「成約」です。

そのため、1件の成約を取るために必要な資料請求数などを逆算して、コンバージョン目標に置くのが一般的です。

また、資料請求するユーザーの傾向をさらに分析し、「会社情報を閲覧する」「事例記事を精読している」など、コンバージョンにつながりやすい行動をさらに細かい目標に置くケースもあります。これらの行動に対してそれぞれに点数を付与する「スコアリング」という概念もBtoB企業では一般的に行われています。

参考:
マーケティングオートメーションで結果を出すために必須!「スコアリング」の基礎知識を解説

オフライン上のコンバージョンデータ

オフライン上のコンバージョンデータとしては、POSデータなどが活用されることがあります。
どの商品がどれだけ売れたか、その販売傾向は地域特有なのか、季節性があるのか、などPOSデータを分析し、「今売れるものは何か」「この商品が売れる人はどんな人か」などの予測結果をもとにホームページやWeb上の施策に反映します。

たとえば

・東京の店舗では限定商品がよく売れるので、東京からアクセスしたユーザーには、関東限定の新商品を最初に訴求する

・群馬の店舗では1人で同じ商品を複数購入する人が多いので、群馬からアクセスしたユーザーには、まとめ買いキャンペーンを訴求する

といったように、オフラインの傾向をもとにオンライン上の訴求や施策に反映させるのも手段の一つです。

まとめ

ここまで、アクセス解析で扱うデータと、それを元にした施策の立て方の例をご紹介しました。

オフラインでのデータも含めたあらゆるデータをもとに施策を講じることは、現代のマーケティングでは最早必須となっています。

データが手に入ったら、上記のどれにあてはまるか、そのデータをどのように活用できるか、ぜひ考えてみてください。