ホームページを運用している人ならば、日頃からアクセス解析ツールに触れている人でなくても「セッション数」「直帰率」などの単語を聞いたことがあるのではないでしょうか。

アクセス解析の用語は、ホームページの効果検証・改善を行なっていく上で、アクセス解析の担当者でなくても“知っておくべき単語”と言っても過言ではありません。ホームページ運営の共通言語としてこれらの知識を持っておいた方が、関係者同士でコミュニケーションを円滑にとることができるためです。

施策をスピーディに進めるためにも、基本となる用語は意味を理解しておきましょう。

アクセス解析で一般的に使われる単語を、図にまとめると以下のような形になります。

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Cookie(クッキー)

Cookieとは、ホームページに来たユーザーのブラウザに、情報を保存できる機能のことです。
ホームページでは解析以外の目的でも使われる技術ですが、アクセス解析では主に「ユーザーを特定する」「計測したい情報を保存しておく」という2つの目的で使われます。

Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを導入すると、解析用のCookieがユーザーのブラウザに保存されます。

その中身によってユーザーが後日ホームページに来ても「前にホームページに来たAさんです」と認識して、今回の情報をAさんのデータに紐づけます。

更にこの機能を使って、会員データベースなどホームページのアクセス情報以外から取得したデータをユーザーのブラウザに保存し、アクセス解析ツールで計測することで、計測できる情報の幅が広がります。

IPアドレス

IPアドレスとは、インターネットに接続するための機器ごとに与えられている番号のことです。「123.456.7.89」 のように、数字とドットの組み合わせで表記されます。

IPアドレスは、人によって個別にならない場合があります。例えば会社のパソコンからホームページを閲覧する場合、会社内のどのパソコンを使っても同一のIPアドレスになり、会社内のどの人がアクセスしたかまでは特定できません。

また、アクセス解析ツールを導入した段階では、自社のIPアドレスからのアクセスまでレポートに表示されます。「本当の購入回数は10件なのに、テスト購入のデータが入ってしまって100件になっていた」といったような大幅なズレが生じてしまうと、正しい分析ができなくなってしまいます。

そのため、アクセス解析ツールを導入する際には、正確に計測するために自社のIPアドレスからのアクセスを除外するフィルタ設定を行うのが一般的です。

参考:
IPアドレスとは?アクセス解析する際に重要な役割を持つIPアドレスを解説

ユーザー数

ユーザー数は、ホームページを訪れた人の数です。
人の数、と言っても厳密な人数が測れるわけではありません。ツールによって判別の方法は異なりますが、IPアドレスとCookieの組み合わせなど、「その人しか持たない情報」を作って判別します。

たとえばGoogle アナリティクスでは、前述のIPアドレスとCookieを使う方法でユーザーを判別しています。Cookieを使う場合、ホームページを見るときの端末やブラウザが変わると別のCookieが発行されるため、同一人物としてカウントされません。

Cookieベースの計測ではユーザーが別になる.JPG

IP+Cookieの限界

近年では、このような場合でも1人の同一人物として判別できるようにするための取り組みがアクセス解析の大きなテーマの一つとなっています。
たとえば会員IDを判別の条件として、ログインしているユーザーを異なるデバイス・ブラウザであっても同一人物として紐づけるような仕組みです。

会員IDを判別条件に同一人物化.JPG

これにより、1人のユーザーの行動がつながるようになり、カスタマージャーニーに沿った施策を打てるようになることが期待されています。

セッション数

セッション数とは、ユーザーがホームページを訪れた回数のことです。
ホームページを見始めてから、他のホームページに移ったりブラウザを閉じたりするまでの一連の行動をセッションと言います。その行動が発生した回数がセッション数です。

ツールによってセッション数の定義が異なるので、注意が必要です。
とくにGoogle アナリティクスのセッション数は、「日付が変わると新しいセッションが開始される」「流入元情報が変わるとセッションが新しく開始される」など、他のツールにない仕様が多くあります。

参考:
アナリティクスでのウェブ セッションの算出方法

ページビュー数(PV数)

ページが表示された回数のことです。
ユーザーがページを閲覧した回数の分カウントされるため、同一セッション中に同じページを複数回見た場合も、その回数分カウントされます。

ページビュー数とインプレッション数の違い

インプレッション数は、広告が表示された回数(厳密にはアドサーバーから呼び出された回数)を指します。

たとえば、以下のような場合はページビュー数とインプレッション数に差が出ます。

  • 1ページ内に同じバナーが複数枚表示される場合があるとき
  • 1ページ内の枠にランダムで広告が表示されており、そのバナーが出るときと出ない時がある場合

このようなケースで広告のクリック率などを正しく評価したい場合は、単純にページビュー数を母数とせず、厳密に広告のインプレッション数を計測する必要があります。

ユーザー数・セッション数・ページビュー数の関係

ユーザー数とセッション数とPV数の関係.JPG

ユーザー数≦セッション数≦ページビュー数
この関係は崩れません。崩れている場合は、計測の設定などを一度確認すべきでしょう。

参照元(リファラー)

ユーザーが、「どこからホームページに来たか」という情報のことです。検索エンジン、外部のサイト、広告などのさまざまな参照元があります。

ホームページを運営していく上では、ホームページ全体のセッション数だけでなく参照元ごとにセッション数を確認し、自社の集客施策が期待通りの成果を上げられているか確認する必要があります。

パラメーター

参照元の情報を詳しく計測するために使われるのが、パラメーターという仕組みです。
URLに「?aaaaa=bbbbb」というような文字列をつけることで、サーバーに送る情報に付加情報をつけられるのがURLパラメーターです。
このパラメーターで「参照元がどこか」を付与することで参照元の情報をツールに渡せるようになります。

パラメーターで情報を渡す.JPG

ツールによって、パラメーターの設定方法が決まっている場合と自由な場合があります。

参考:
Googleアナリティクスでよく使われるパラメーターとは

ランディングページ

ユーザーがホームページで最初に見たページのことです。

ホームページ制作や広告のシーンではランディングページというと「広告などから遷移してくるように設定するページ」という意味で使われます。
しかし、アクセス解析ではユーザーが最初に見たページすべてを指すので、ホームページの運営者側が意図してそこにユーザーを誘導しているかは関係ありません。

直帰率

ホームページに来て、最初のページを見ただけで他のページに遷移せずに帰ってしまうことを「直帰」と言います。
ホームページ(またはそのページ)に来てくれたセッションのうちの、直帰したセッションの割合が直帰率です。

離脱率

ページ上からユーザーが居なくなってしまうことを「離脱」と言います。ページから居なくなってしまうとは、ブラウザを閉じる、他のサイトへ移動するなど、ホームページ内の他のページの閲覧が計測されない状態のことです。

たとえばブラウザのウィンドウやタブを開いたままにしていても、ユーザーがホームページ上で何も行動しなければ離脱になります。

離脱率は「離脱数÷ページビュー数」で算出されます。ページが見られた回数に占める、離脱になった回数の割合です。

滞在時間

ホームページや、そのページを閲覧していた時間を滞在時間と言います。
滞在時間は「次のページを表示しようとした時間 - 今のページを表示した時間」の差分で計算されます。

そのため、離脱したページでは滞在時間が計測できません。「次のページを表示しようとした時間」がツールで計測できないためです。

直帰率が悪い=ダメなページか

直帰率が高いページは、そこに来たユーザーに魅力が上手く伝わっていない可能性があるので改善ポイントを探す必要があります。

ただし、1ページだけでユーザーが目的を完了して満足した上で直帰する場合もあります。

たとえば、「動画を見てもらうためのキャンペーンサイト」を作ったとします。
この場合、ユーザーの目的は「動画を見ること」ですから、他のページに移動する必要がなく直帰してしまいます。サイトの目的としても「動画を見てもらう」という目的は達成されているので、このページの直帰率が高くても問題はないと言えます。

ただし、動画を見た上で次のページにあるフォームから応募してもらう、といったキャンペーンの場合はフォーム画面に進ませる必要があるので、この場合は直帰率を改善すべきです。

コンバージョン

ホームページ内で、ユーザーにとって欲しい行動のことをコンバージョンと言います。
コンバージョンに何を設定するかはホームページにより様々です。

「商品の購入完了」「資料請求」などホームページの目的が明確な場合は、それを設定します。

企業サイトやメディアなど売上につながるものがない場合は、「会社情報ページの閲覧」「3記事以上ページを閲覧した」など、ホームページでユーザーにしてほしい行動を具体的な条件に落とし込み、それをコンバージョンとして設定します。

セグメント

「コンバージョンしたことのあるユーザー」や「Googleから流入したセッション」など、特定の条件に合致するデータのみを切り取って表示することをセグメンテーション(または「セグメントする」)と言います。
「コンバージョンしたことのあるユーザー」などの条件を指定してデータをセグメントする機能のことを、「セグメント」と呼びます。

アクセス解析で事象の原因を探ったり、施策につながるデータを発見しようと分析するときには、このセグメント機能を使ってデータを比較します。

たとえば「コンバージョンしたユーザーと、コンバージョンしなかったユーザー」「Google流入のセッションと、Twitter流入のセッション」などをセグメント機能をつかって比較し、違いを見つけるのがアクセス解析の基本です。

ディメンションと指標

ディメンションとはデータの分類のこと、指標とは知りたい数値データのことです。

ディメンションか指標かを見分けるには、以下の文章に落として考えてみると良いでしょう。

◯◯◯◯ 別に△△を見たい

このとき、◯◯◯◯に入るのがディメンション、△△に入るのが指標です。

同じ内容でも、ディメンションと指標の両方に入る場合があります。
たとえば「滞在時間別のセッション数が見たい」場合に滞在時間はディメンションですが、「ページ別の滞在時間が見たい」場合には滞在時間は指標(ディメンションはページ)になります。

まとめ

上記のような単語を、まずは意味を理解することから始めましょう。
普段アクセス解析ツールを使う方は、「こういう情報を知りたいときは、この数値を使えばいい」など、もう少し踏み込んだところまで理解を進めておくことをおすすめします。

たとえば「ホームページへの集客はちゃんと出来ているのに、コンバージョン率が低い」という時には、ランディングページがどこかを確認し、そのページの直帰率を確認します。

さらに、セグメント機能を使って参照元ごとにデータを比較し、その参照元に適したページになっているかを確認します。

このように、普段の業務に結び付けられる形で理解しておけるよう、まずは勉強したこの用語を使って何が出来るかを試してみるといいでしょう、