アクセス解析は日々進化しています。技術が進歩すれば計測できるデータの幅が広がり、データの処理が簡単かつ高速になるので、分析結果から打てる施策の選択肢が増えます。

この記事では、これまでのアクセス解析の限界と、そこから生まれてきたトレンドについてご紹介します。

Cookieを使った計測の限界

これまでの記事でも紹介した通り、アクセス解析は基本的にCookieの情報を使ってユーザーを判別します。

参考:
アクセス解析の基本的な用語

そのため、アクセス解析データの計測はCookieの制限を受けることになります。
そこを技術的に乗り越えるため、各種ツールの様々な機能開発が進められています。

クロスドメイン

自社で複数のサイトを運用している場合、それぞれの間でデータを一貫して見たい場合もあるかと思います。

例えばコーポレートサイトから自社製品のサービスサイトに来てコンバージョンしたとき、このユーザーコーポレートサイトでどんな情報を気にしていたのでしょうか。

会社情報を細かく見ていたユーザーだったのであれば、自社の企業情報をサービスサイト内でもアピールした方がいいかもしれません。採用ページを見てからサービスサイトに来たのであれば、就職活動の参考としてサービスサイトを見に来ただけなので、顧客情報としては除外すべきでしょう。

このような時に、自社が持つ複数のホームページドメイン)を跨いでアクセス解析を行うことを「クロスドメイン計測(クロスドメイン・トラッキング)」と言います。

Cookieはドメインを跨いで保持させることが出来ないため、ドメインが異なるホームページ間で計測する場合は、ユーザー情報をドメイン間で引き渡す必要があります。

それ自体はアクセス解析の初期から可能でしたが、複雑な実装が必要となるためエンジニアに依頼する必要がありました。しかし最近ではタグマネージャー(計測タグを管理・実装するためのツール)の機能向上などもあり、簡単に実装できるようになっています。

クロスデバイス

同じホームページでも、1人のユーザーが複数のデバイスで閲覧することはもはや当然になっています。
たとえば、通勤中にスマホで商品を探し、帰宅してから自宅のパソコンで購入するというような場合がよくあるのではないでしょうか。

このように、複数のデバイス(端末)でホームページにアクセスしてきた情報を同一ユーザーの情報として統合することを「クロスデバイス計測(クロスデバイス・トラッキング)」と言います。

Criteoが2017年に行った調査では、デバイスを跨いでユーザーに対して施策を実施することで、購入金額が上がったというデータが出ています。
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引用:Criteo グローバルコマース調査レポート 2017年第4四半期

前述の通り、ユーザーをCookieベースで判別すると、デバイスを跨いだ時に同じユーザーが別のユーザーとして扱われてしまいます。
しかし、デバイスを跨いだ行動を結びつけることができれば、デバイスごとの行動傾向を分析したり、カスタマージャーニーに沿った施策を実行したりするのが簡単になります。

クロスデバイス計測

デバイスを跨いでデータを連携するためには、自社のホームページの会員IDなどを連携の軸にします。
非ログイン時には別々のユーザーとして認識されますが、ログインした時に会員IDを取得し、それによって「この人は会員ID001番のAさんです」という情報でデバイスを跨いだ行動情報を統合します。

モバイルアプリの計測

ニールセンの調査では、スマートフォンを使っている時間の多くはアプリ利用に費やされ、月に2回以上使うアプリは23個という結果が出ています。

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引用:スマートフォンでは平均30個のアプリが利用され、利用時間の85%を占める

モバイルアプリを運用している企業では、自社のアプリが頻繁に使ってもらえるか、自社の情報をどれ位取りこぼさずに見てもらえるかが重要になってくるでしょう。

モバイルアプリの計測・分析をする際には、ホームページのアクセス解析と見るべき数値や分析方法が異なります。

モバイルアプリ独特のプッシュ通知・バッチ表示などの機能を利用して「ユーザーを呼びたいタイミングで定期的に呼べているか」など、アプリ独自の評価が必要です。
また、アプリが定期的に利用されているかの指標として、WAU(週間アクティブユーザー)やMAU(月間アクティブユーザー)などの数値もチェックする必要があります。これらの数値を維持することで、「自社のアプリユーザーに使われているか」を判別します。

他のソリューションとの連携

アクセス解析は、あくまでもマーケティング施策を実施するためのヒントを得ることを目的とした分析手法のひとつです。そのため、従来はアクセス解析ツールでデータを分析し、施策を実行する際はそれぞれのツールを別々に使う必要がありました。

しかし、技術の進歩に伴ってツール同士がシームレスに連携できるようになり、アクセス解析のデータをそのまま活用することでマーケティング施策を実行できるようになって来ています。
例えば、以下のような施策はアクセス解析のデータを活用することで出来る幅が広がります。

マーケティングオートメーション

MA(マーケティングオートメーション)とは、文字通り、マーケティング施策の実行プロセスを自動化することです。
これまでは「◯◯したユーザー」をアクセス解析ツールで抽出し、その結果をもとに「◯◯したユーザーに対して△△を実施する」というような設定をMAツールで設定する必要がありました。

しかし、今では「◯◯したユーザー」がアクセス解析ツールで自動でセグメントされ、そのセグメントに対して「△△を実施する」というアクションがMAツールで自動で実行されるように設定ができます。

A/Bテスト

MAツール同様に、特定のセグメントをアクセス解析のデータをもとに抽出し、そのセグメントに対してのみA/Bテストを実行することも可能になっています。
たとえば「過去に3回以上自社サイトでコンバージョンしたユーザーに対して、リピート購入を促すクーポンのクリエイティブ(画像)をテストする」のように、テスト対象を絞り込むことが可能です。

また、A/Bテストの実施結果とアクセス解析データを紐づけることで、単にどのパターンの方が効果が良かったかではなく、「なぜそちらが良かったか」が詳細に分析できるようになります。勝利したパターンとしなかったパターンで、ユーザーの行動がどう違ったのかを細かく見れるようになるためです。

BIツール

今までアクセス解析のデータを見る場合は、アクセス解析ツールの画面上で見るか、Excelなどにデータを貼り付けて集計するのが一般的でした。そのため、上司やクライアントに提出するレポートを作ることに時間を取られ、施策の検討に時間を使えないという悩みを抱えている担当者が多くいました。

しかし最近では、直感的な画面でグラフや表を簡単に作れるツールが多く出ています。
それらのツールにアクセス解析ツールを連携することで、レポートを作る時間と手間を大幅に短縮することが出来ます。

まとめ

アクセス解析は、基礎を理解した上で、発展的な分析や他ツールとの連携ができるようになれば、さらに強い武器になります。

単純に数値が見られるようになった後からがアクセス解析の面白く、難しいところです。ぜひ最新トレンドをキャッチアップし、データに基づいたサイト改善を進めてください。