テクノロジーやインターネットの普及に伴い、デジタルマーケティングが欠かせない時代となりました。それまで主流だったマスマーケティングに加え、現在は顧客一人一人に合わせたアプローチをする考え方が一般的なものになっています。

顧客の情報管理や顧客の育成といった文脈で語られる言葉としてCRM、SFA、MAなどがあります。混同しがちなこれらの言葉は、それぞれどのような違いや特徴があるのでしょうか。

今回の記事では、CRMマーケティングの基礎知識や具体的な施策を解説します。

目次

  1. CRMとは?SFA、MAとの違い
  2. CRM、SFA、MAの違いはターゲットにあり
  3. CRMマーケティングが必要となった背景
  4. CRMマーケティングの主な施策
  5. CRMマーケティングのメリット
  6. CRM、SFAとMAを連携するとより効果的
  7. それぞれの役割を理解し効果的なツール活用を

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CRMとは?SFA、MAとの違い

図_MA・SFA・CRMの違い.png

デジタルマーケティングを実施する上で見かけることが多いCRM、SFA、MAですが、意味合いは異なります。それぞれの概念について確認していきましょう。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とは

CRMとは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略です。顧客の情報を集め分析・活用し、顧客満足度やロイヤリティを高め、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指す手法のことです。

CRM=ツール、ソフトウェアと思われがちですが、顧客との関係性を構築、管理しマネジメントしていく手法のことを意味します。

単に顧客との関係性を管理するという意味では古くから行われていたことですが、ソフトウェアやITツールを活用することでより情報管理や分析の利便性、精度が上がりました。

その結果、顧客情報管理がデジタルマーケティングの時代において重要視されるようになり、CRMという言葉で語られるようになりました。

関連記事:CRMツールとは?MA・SFAとの違いやメリット、おすすめツールを紹介!

SFA(セールス・フォース・オートメーション)とは

SFAは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略です。SFAも顧客管理の仕組みではありますが、主に営業担当者を支援するものを指します。

現在は、一人の営業担当が複数のクライアントの商談を受け持つことが多く、それぞれのクライアントによって商談の状況や確度も違ってきます。そのため、管理を効率化するツールへのニーズが高まりました。

このような背景により活用されるようになったSFAは、営業活動の記録などをデータベース化しオンライン上で管理できるため、営業担当者の業務を効率化できます。見込み顧客に対するアクションなどを記録していき、営業活動のPDCAを回すことにも役立ちます。

また、どのクライアントがどのような商談プロセスにあるかなどを記録していくことで、営業チーム内での情報共有も効率化されます。

関連記事:【2021年版】SFA(営業支援ツール)とは?おすすめ10選を紹介

MA(マーケティングオートメーション)とは

MAとは「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の略であり、一連のマーケティング活動を自動化するための仕組みです。

さまざまなマーケティングの活動から獲得した潜在的な見込み顧客のデータを貯め、見込み顧客をナーチャリング(育成)していく活動を自動化します。

また、ホームページへのアクセス、フォームからお問い合わせなど、見込み顧客それぞれの行動に応じてスコアリングすることができ、特に確度の高い相手を抽出することで、実際に営業担当がアポイントメントを取って商談に繋げるために用いられます。

関連記事:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や効果、おすすめツールの料金、選び方を解説

CRM、SFA、MAの違いはターゲットにあり

CRM、SFA、MAは顧客の情報をシステム上に貯めて活用することで、マーケティングに役立てるという点で共通しています。

しかし、CRM、SFA、MAはそれぞれ用途が違うため、得意な部分も異なります。CRM、SFA、MAの違いは、マーケティングや営業活動におけるプロセスとして確認するとわかりやすいのではないでしょうか。

フェーズ.png

上記の図では、顧客が製品やサービスを購入(成約)するまでのマーケティング、営業活動のプロセスを示しています。MA、SFA、CRMと図の順に役割を紹介します。

「MA」は確度の高い見込み顧客を抽出する

MAは、見込み顧客の情報を集めスコアリングをしていくことで確度の高い見込み顧客リストを作成します。そのリストを営業担当と共有することで、マーケターとセールスの連携業務を効率化させる目的もあります。

MAでは顧客の情報を管理、育成し選別までをオートメーション(自動化)します。そのため、見込み顧客を商談に結びつけるまでの工程の効率化に繋がります。

「SFA」は営業活動を円滑化する

SFAは主に営業担当が活用する顧客管理の仕組みです。見込み顧客との商談記録や受発注管理などに用いられます。

商談をいかに成約に結びつけるかという目的のもと、実際に営業担当がアポイントメントを取って成約を目指す活動を効率化します。

「CRM」で成約後の顧客と関係構築を図る

CRMが特に価値を発揮するのは、見込み顧客が成約に結びついた後の関係構築の段階です。成約が完了した顧客を継続的にフォローし、良好な関係性を築きます。

製品やサービスを再度購入したり、良い口コミを拡げたり、他の見込み顧客に勧めてくれるような優良顧客に育成することを目指します。

CRMでは貯められた顧客情報を活用して、誕生日の人に向けてクーポンを配信したり、購入履歴を元におすすめの商品を紹介したり、すでに顧客となっている人に向けて、さらに利用してもらうようアプローチを行います。

SFAは成約に向けた営業活動に強く、MAはそれをアシストする役割を担います。CRMは成約後の顧客に向けた活動において活用される仕組みとなります。このようにCRM、SFA、MAは顧客との関わり方の各フェーズにおいて、それぞれ違った側面の利便性があります。

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CRMマーケティングが必要となった背景

CRMマーケティングが重視され始めた背景には、市場の動きや消費者行動の変化が関係しています。

少子高齢化の影響により、さまざまな業界で市場が縮小傾向にあります。市場での競争が激化する中で、新規顧客を獲得するのは難易度が高く、既存顧客との関係性を強化する動きにシフトしているのです。

また、デジタル化が加速する現在、消費者行動は多様化しているといわれています。個人によって大きく異なるニーズを汲み取るには、CRMマーケティングが必要です。

CRMマーケティングの主な施策

図_CRMマーケティングの施策.png

具体的にCRMマーケティングの施策として、どのようなことを実施すればいいのでしょうか。ここでは、CRMマーケティングの主な施策を紹介します。

顧客情報の管理・分析

CRMマーケティングの基本的な施策として、自社が保有している顧客情報を管理・分析することが挙げられます。

CRMシステムを利用して顧客情報を正しく管理することで、ターゲティングの精度を高めることが可能です。

また、顧客情報の分析において、優良顧客を見極めたり(RFM分析)、購入金額順にグループ分けしたり(デシル分析)することで、次の施策へとつなげることができます。

さらに、システム上で顧客情報の管理を徹底できていれば、部署間で連携しやすくなり、業務の効率化を図ることができます。

顧客をセグメントする

顧客のセグメントとは、性別や年齢、居住エリア、行動などの条件によってグループ分けすることです。顧客をセグメントすることで、グループごとの傾向を把握できますし、自社の商品・サービスにあった顧客層を明確化できるため、CRMマーケティングの分析手段として用いられます。

グループごとの傾向が明らかになれば、顧客にあわせてプロモーションを最適化したり、商品・サービス開発に役立てたりすることが可能です。

関連記事: リマーケティング広告の効果を高めるために、Googleアナリティクスのセグメント機能を利用しよう

状況に合わせたDMの自動配信

CRMマーケティングでは、顧客の状況に合わせてDM(ダイレクトメール)が活用されることが多くあります。DMとは、個人宛にプロモーション目的で送信される電子メールのことです。

例えば、誕生日の顧客に向けてクーポンを配布したり、サービスの利用率が低い顧客に向けてお得な情報を配信したりします。顧客一人一人のニーズに合わせたアプローチができるので、成約率を高められます。

加えて、CRMツールを利用すれば、システム上に保管されている顧客情報に基づいて、自動的にこのようなメールを送信できるので、業務の大幅な効率化を期待できるのです。

マーケティング施策の立案と実施

CRMマーケティングの効果を高めるために、分析結果を参考にしながら、具体的な施策を立案し、実行していきます。

また、市場の動向やトレンドを視野に入れながら、顧客一人一人に合わせて最適なアプローチを行うにはどうすればいいかを考えます。

例えば、若年層をターゲットにしているサービスの場合、若者の興味・関心を引きやすいコンテンツや、活用するチャネル、施策を実行するタイミングなどを検討します。

マーケティング施策のプランが決定したら、早速実行していきましょう。

効果を検証しPDCAをまわす

CRMマーケティングは施策をただ実行するだけでは、効果を最大化させることができません。マーケティングの効果を高めるためには、施策の結果を検証し、PDCAサイクルをまわすことが重要です。

例えば、メルマガ開封率が目標値に届かなかった場合、配信するタイミングやメールのタイトル、ターゲットなどを再度検討することで、次の施策へと活かすことができます。

なお、CRMマーケティングPDCAサイクルをまわすには、施策を立案する段階でKPIを設定しておくことをおすすめします。具体的な数値や期間が明確になっていれば、達成率などをわかりやすく理解できます。

CRMマーケティングのメリット

CRMマーケティングを実施することで、既存顧客との関係性を強化し、リピート率を高めることができます。顧客獲得単価が年々上昇している中で、ビジネスを成功させるためには既存顧客との関係構築を目指すことが重要です。

また、消費者のニーズを把握できるようになるので、顧客満足度の向上にもつなげられます。顧客満足度を高められれば、商品やサービスのブランド価値を高められます。

さらに、CRMマーケティングでは顧客データを集めることが可能です。顧客データは商品・サービスの改善や、新たな商品開発など、経営戦略に役立ちます

このように、CRMマーケティングにはさまざまなメリットがあり、企業にとって欠かせない戦略となっているのです。

CRMはSFAとMAを連携するとより効果的に

マーケティングの効果を総合的に高めるためには、CRMだけではなく、SFAやMAと連携して取り組みを強化することが大切です。

例えば、CRMで割り出した優良顧客に対して、営業部門がSFAで商談の確度を記録する事で、全体の流れを掴むことができます。

このように総合的なマーケティングを実施するには、 CRM、SFAとMAを連携することが重要なのです。
  

それぞれの役割を理解し効果的なツール活用を

本記事では、CRMマーケティングの基本的な概念について説明しました。顧客情報を正確に把握することで、誰に対してどのような施策を行うかが明確になります。

まずは自社の状況を客観的に理解し、どの部分を強化するべきか見極めることが大切です。加えて、SFAやMAを連携させることで、総合的なマーケティングを実現できます。

システムやツールを連携する際は、強みや特徴だけでなく、連携機能にも注目するとよいでしょう。

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