日本でも少しずつ注目を集めるようになったマーケティングオートメーション。しかし具体的な機能についてはまだそこまで浸透していません。

「なんとなく便利そうだから」といった理由で導入してしまうと、ツールを無駄にしてしまう可能性があります。

この記事では、マーケティングオートメーションの概要や、代表的な機能、導入前の注意点などについて解説します。マーケティングオートメーションの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. マーケティングオートメーションとは
    1. 営業とマーケティングの橋渡しとなるツール
  2. 既存のマーケティング手法との比較
    1. Webマーケティング
    2. CRM
    3. メールマーケティング
    4. SFA
  3. マーケティングオートメーションが注目されている理由
    1. 商談開拓手法の変化
    2. 蓄積していた顧客データの有効活用
    3. マーケティング業務最適化の必要性
    4. クラウド技術の普及
    5. マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへの変遷
  4. マーケティングオートメーションツールの主な機能
    1. リード情報管理
    2. リード育成(リードナーチャリング)
    3. 生成されたリードの取り込み
    4. Webアクセス解析
    5. スコアリング
    6. ランディングページの作成
    7. メール配信
  5. マーケティングオートメーションを導入するメリット
    1. マーケティング活動自動化による効率向上
    2. ヒューマンエラーの減少
    3. 見込み顧客との関係性強化
    4. A/Bテストの繰り返しによるマーケティングの最適化
    5. マーケティングプログラムを短時間で複製可能
    6. スコアリングによりリソースの無駄を軽減
  6. マーケティングオートメーションを導入する際の注意点
    1. Webマーケティングの知識がある人材が必要
    2. ツールごとに必要なリソースを把握
    3. スコアリングを過信しない
    4. 顧客リストは自社で集めなければならない
    5. マーケティングメールの強化が必要
    6. BtoC向けとBtoB向けのマーケティングオートメーションは異なる
  7. 主要なマーケティングオートメーションツール3選
  8. まとめ

マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーションとはマーケティングにおいて発生する定型的な業務を自動化し、効率化を図る取り組みです。自動化には、専用のツールが活用されます。このツール自体を指してマーケティングオートメーションと呼ぶこともあります。

販売機会獲得のために最前線に立つ営業担当のリソースを最大限活用するためには、「見込みある商談」の選定が必要です。マーケティングオートメーションは、この見込みある商談の効率的な創出を実現します。

営業組織主導で実施されていた旧来の新規顧客開拓や既存顧客へのアプローチにデジタルマーケティングの手法を取り入れ、コスト削減や売上増加を狙う仕組みです。

営業とマーケティングの橋渡しとなるツール

日本の多くの企業では、マーケティングと営業組織が分離しています。対して、アメリカではマーケティングが営業を含有しているという見方が一般的です。

マーケティングオートメーションもそうしたアメリカのコンセプトから生まれています。そのため、営業活動との親和性が高いのが特徴です。

マーケティングオートメーションを利用することで、「営業部門に優良な見込み顧客を少しでも多く渡すこと」ができるようになるでしょう。

既存のマーケティング手法との比較

マーケティングオートメーションと既存のマーケティング手法との相違点について紹介します。

Webマーケティング

Webマーケティングにおける最大の主眼は、コンバージョンとそこに至る時間の短縮です。対して、マーケティングオートメーションではコミュニケーションを効率化させることで成約率の向上を目指します。

また、マーケティングオートメーションではSNS投稿などWebマーケティングで実践されている取り組みを含有するケースもあります。

CRM

コールセンターをはじめとした顧客対応の現場で活用されているCRMとの違いは、自動化の範囲です。どちらもあらかじめ設定したスクリプトやシナリオに沿って販売活動を行っていく点は共通しています。

CRMの場合、基本的な対応は人(コールセンターではオペレーター、コミュニケーター)が行いますが、マーケティングオートメーションでは多くのアプローチをソフトウェアが担当します。

どちらにも利点はありますが、人的リソースを軽減できるのはマーケティングオートメーションです。

メールマーケティング

低コストで実施できるメールマーケティングは、マーケティングオートメーションの中でも行われています。

既存のメールマーケティングでは、都度配信するメール内容の選定を人が行っていました。マーケティングオートメーションでは、あらかじめ複数のメールを用意しておけば、条件に応じて違う内容を自動的に配信できます。

SFA

営業部門では営業活動の管理を効率的に行うSFA(Sales Force Automation)というシステムが使われてきました。
SFAの管理対象は営業員の販売活動ですが、マーケティングオートメーションは販売アプローチの一部を代行します。
営業員によるコミュニケーションは最小限におさえることが可能です。

マーケティングオートメーションが注目されている理由

マーケティングオートメーションはなぜ注目されているのでしょうか?

その背景について深堀りします。

商談開拓手法の変化

インターネットが当たり前のように普及している現在、顧客の多くは営業を受ける前の段階で必要な情報にリーチしています。必要なサービスや商品があれば、少なからず事前に調べているでしょう。

加えて、企業の担当者は通常業務に追われており長々と営業員と話すことを望みません。「御用聞き営業」は営業員からも顧客からも好まれなくなり、双方にとって時間のかからない営業スタイルが求められるようになってきました。

マーケティングオートメーションは、こうした商談開拓手法の変化に伴って注目が集まってきた取り組みのひとつです。

蓄積していた顧客データの有効活用

多くの企業は顧客データを蓄積していますが、有効に活用する方法を見出していません。これらのデータを活用したいと考えている企業が多く存在することは、近年増加している名刺管理ソフトへのニーズからもわかるでしょう。

顧客データ管理はマーケティングオートメーションの得意分野です。「蓄積した顧客データを埋もれさせず有効活用したい」「名刺管理ソフト以上に顧客データの価値を最大化できるツールを探している」といった企業は、マーケティングオートメーションに意識を向けています。

マーケティング業務最適化の必要性

日本では、マーケティング部門の役割がアメリカと比べると限定的です。一部では、そもそもマーケティング部門が存在せず、他の部署がマーケティングに該当する活動を行っている企業の例もあります。

「予算に対して効果が期待できない」「失敗に対する原因分析すらできない」という厳しい評価がこの状況の背景にはありますが、当然、日本でもマーケティング業務の最適化を望む声は少なくありません。

マーケティングオートメーションはそうした状況を大きく変え得るツールとして期待が集まっています。

クラウド技術の普及

ビジネスでは「IoT」「AI」など、次々と生まれる新しいキーワードが状況を変えていきます。現在は、さまざまなサービスが「クラウド」へと移行しました。かつてはセキュリティが懸念されていたクラウドも現在は安全性も十分と考えられており、警戒心を抱く企業は少なくなっているようです。

マーケティングオートメーションもクラウドサービスとして提供されています。クラウド技術の普及は、マーケティングオートメーションの注目度を底上げしていると言えるでしょう。

マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへの変遷

画一的なマスに対して実施する「マスマーケティング」に対し、かねてより必要を示唆されてきたのが一人ひとりに対して戦略をオーダーメイドする「One to Oneマーケティング」です。

一方で、One to Oneマーケティングは予想される膨大な労力から、マンパワーでの実現可能性が議論されてきました。

状況を変えたのは、ITのビジネス活用です。マーケティングオートメーションは、One to Oneマーケティングを実現させ得る技術の中でも代表的なものとして考えられています。

マーケティングオートメーションツールの主な機能

マーケティングオートメーションでは何ができるのでしょうか? 

代表的な機能を紹介します。

リード情報管理

マーケティングオートメーションが有している役割の根幹であり、他の機能との連携も深い機能が「リード情報管理」です。

顧客情報にあたるリード情報を正確に管理することで、マーケティング活動の自動化を図れます。

リードとは?

企業や部門によって「リード」の定義はさまざまです。一般的には、「見込み顧客」と考えてよいでしょう。
マーケティングオートメーションにおいては、このリードという単位に対して活動を実施していきます。

リード育成(リードナーチャリング)

リードの多くは、すぐ商談につながる顧客ではありません。
一方で、「見込みなし」と判断してすぐ切り捨てると、獲得したリードを生かせないことになります。リードの価値を最大化するために重要視されているのが「リードの育成(リードナーチャリング)」です。

獲得したリードは「育成」を行い、見込み度を上げていく必要があります。マーケティングオートメーションでは、メール配信、SNSでのコミュニケーション、チャットの自動化をはじめとする機能でこの「リードナーチャリング」を実現します。

生成されたリードの取り込み

リードを管理したり、リードを育成したりするためには、生成されたリードをスピーディーに取り込む必要があります。営業活動や、展示会、Webサイトといったチャネルでリードを生成していく取り組みを「リードジェネレーション」と呼びます。

マーケティングオートメーションが行うのは、あくまでアプローチの自動化によるリードジェネレーションのサポートです。リードジェネレーションによって生成されたリードを効率的に取り込むのはマーケティングオートメーションの得意分野です。

Webアクセス解析

多くのマーケティングオートメーションは、WebサイトやSNSのアクセスログを解析する機能を搭載しています。この機能自体は他のツールでも珍しいものではありせんが、マーケティングオートメーションの特徴は「トラッキング」が可能な点です。

管理しているリード情報をアクセス情報の紐づけにより、「誰がどのページを閲覧したか」「誰がどのメッセージを読んだか」といった情報を把握できます。

スコアリング

「見込み顧客」の「見込み」という概念は、マーケティング担当の間隔に大きく依存していました。

マーケティングオートメーションでは特定の条件にもとづいてこの見込みを数値化し、感覚に頼らず顧客を客観的に評価できます。これが「スコアリング」という取り組みです。

「メールの開封」「Webサイトへの訪問」「製品データのダウンロード」「イベント参加」といった顧客の各行動に点数を割り振り、総合点によって見込み度を評価します。

ランディングページの作成

ランディングページは、資料請求や問い合わせの窓口となります。また、ランディングページを設置しておけばアクセスログをリード情報と紐づけることも可能です。多くのマーケティングオートメーションはランディングページの作成機能も搭載しています。

あらかじめ用意されたテンプレートを活用することで、簡単に素早くランディングページを作成可能です。

メール配信

マーケティングオートメーションによるメール配信は、リード情報にもとづく複数の条件分けによって内容が分岐します。

これにより、メール内容のパーソナライズを実現します。

マーケティングオートメーションを導入するメリット

企業がマーケティングオートメーションを導入するメリットについてお伝えします。

マーケティング活動自動化による効率向上

メール配信、SNS投稿、リード情報管理といったマーケティング活動の自動化は、マーケティング組織に大きな業務効率効果をもたらします。マーケティング組織の限られたリソースを活用するうえで、この点は大きなメリットです。

マーケティングオートメーションがあれば、自動化できる業務をすべてシステムに担当させマーケティング組織をスリムにすることも可能でしょう。

ヒューマンエラーの減少

人間が行う業務では、常にヒューマンエラーを警戒する必要があります。従来のマーケティング業務では、メール配信先や配信日時の誤りなどが代表的なヒューマンエラーでした。

マーケティングオートメーションを導入すると、自動化によりそうしたミスが減少します。また、「ミスを心配する必要がない」という担当者の心理的余裕というメリットも無視できません。

見込み顧客との関係性強化

マーケティングオートメーションによる自動化で、見込み顧客とのコミュニケーションは確実に密になります。さらに、アクションの内容やタイミングはシステムによって最適化されたものです。

やみくもにアプローチを繰り返すようなマーケティングよりも、見込み顧客との関係性が強化されることが期待できます。

A/Bテストの繰り返しによるマーケティングの最適化

マーケティングテストでは、ランディングページの内容、メール配信の内容による効果検証が簡単にできます。このため、A/Bテストが容易になり効果測定が簡単です。

コンテンツを着実に洗練できるでしょう。

A/Bテストとは

A/Bテストとは、Webサイトなどに関して「Aパターン」「Bパターン」といった2つのパターンを作成し、同数のユーザーを振り分けて効果検証を行う手法です。クリック率やコンバージョンといった観点から、有効なパターンを判別します。

近年のマーケティング戦略においては、常套手段となっている手法です。

マーケティングプログラムを短時間で複製可能

マーケティングオートメーションでは、マーケティングプログラムがデータとして蓄積されます。すでに多くのマーケティングプログラムを実施している場合、蓄積されたデータは財産です。

類似したプログラムを実施する場合は、その複製をベースにできます。従来のように最初からプログラムを組み上げるケースに対して、大幅に時間を短縮できるでしょう。

スコアリングによりリソースの無駄を軽減

マーケティングオートメーションによって恩恵を受けるのはマーケティング組織だけではありません。上述したとおり営業部との親和性も高いツールです。

とりわけ見込み顧客のスコアリングは営業担当に与える影響が大きい機能でしょう。スコアリングの評価が高い顧客のみを営業担当へ引き継げば、営業部のリソースを無駄なく使えます。

マーケティングオートメーションを導入する際の注意点

マーケティングオートメーションは有益なツールですが、導入する際にはいくつかのポイントを意識しなければ失敗してしまう可能性があります。

導入時の注意点を紹介します。

Webマーケティングの知識がある人材が必要

マーケティングオートメーションの取り扱いには、Webマーケティングの知識が求められます。SNS対策やメールマーケティングといったWebマーケティングの基本的なコンセプトを理解していなければなりません。

企業にこうした知識を持つ人材を確保する必要があるでしょう。あるいは、研修で担当者の知識を補填するといった取り組みが必要です。

ツールごとに必要なリソースを把握

マーケティングオートメーションツールで多くのタスクが自動化されますが、人の力が必要なくなるわけではありません。

ツールにはそれぞれ運用の推奨人数が設定されています。自社の規模でツールが求める人数を用意できるか把握してから導入しましょう。

スコアリングを過信しない

当初、スコアリング機能は画期的な機能として大きな注目を浴びました。しかし設定する条件によっては、信頼性に欠けるスコアリング結果が出力されてしまいます。

このことから、一部ではスコアリング機能を利用していない企業もあるようです。適切にスコアリング機能を活用するためには、実際に顧客にアプローチする営業担当からのフィードバックをもとに条件を最適化していく必要があります。

顧客リストは自社で集めなければならない

誤解されやすい点ですが、マーケティングオートメーション自体にリードを直接作り出す機能はありません。

海外の企業ではリード情報を購入するのが一般的ですが、日本の企業は法規制により自社でリード情報を集めなければなりません。

マーケティングメールの強化が必要

アメリカでは多くの企業が早い段階でメールマーケティングのアプローチに着手しました。そのため、メールのコンテンツを企画する力が企業に備わっています。

日本の企業の多くはメール配信を適切に運用できていません。マーケティングオートメーションはメールコンテンツを自動生成してくれるわけではないため、企業にメールコンテンツの制作力を培う必要があります。

BtoC向けとBtoB向けのマーケティングオートメーションは異なる

マーケティングオートメンションツールには、BtoC向けとBtoB向けが存在します。

それぞれ扱えるリードの数やオムニチャネルに対応可否といった相違点があるため、導入前に注意が必要です。

主要なマーケティングオートメーションツール3選

マーケティングオートメーションツールの主要なものを3つ紹介します。

Marketo(マルケト)

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Marketo(マルケト)

「Marketo(マルケト)」はアメリカ産のマーケティングオートメーションツールです。状況に応じて選択可能な9つのアプリケーションを搭載している点が特徴であり、汎用性に優れています。

日本でもBtoBBtoCを問わず多くの企業で導入されているツールです。

b→dash(ビーダッシュ)

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b→dash(ビーダッシュ)

「b→dash(ビーダッシュ)」はビジネスデータを網羅的に管理できる「All in one」のマーケティングオートメーションツールです。

ユーザーからは人を選ばない使いやすさや、直観的に操作できるUI/UXが高く評価されています。

MAJIN

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MAJIN

「MAJIN」は顧客行動の予測に特化したツールです。アプローチの自動化は、この予測をもとに行われます。

また、多くの顧客属性やアクションから施策を立ちるため、アプローチの個別化に適しています。

まとめ

マーケティングオートメーションを導入すれば、自社のマーケティング効率が大きく変わるかもしれません。とはいえ、マーケティングオートメーションによる効果を最大化するためには、この記事で紹介したような注意点を意識する必要があります。

自社に最適なツールを選び、商談数の増加に結び付けましょう。