アクセス解析にGoogle標準のユニバーサル アナリティクス プロパティ(UA)を利用し、慣れ親しんでいるマーケターの中には、Googleがいう次世代の測定ソリューションGA4Googleアナリティクス4)の導入になかなか踏み切れない人も多いのではないでしょうか。

しかし、Googleから「2023 年 7 月 1 日をもって、標準のユニバーサル アナリティクス プロパティにおける新しいヒットの処理は停止されます」と発表されたことによって、本格的にGA4の導入について考え始める必要性が出てきました。

ここでは、GA4とUAの違いやGA4導入のメリット、UAとの併用がおすすめの理由などについて説明します。

目次

  1. GA4とは
  2. GA4 とUAの主な違い
  3. GA4導入のメリット
  4. GA4導入の注意点
  5. GA4のプロパティを新規で作成する手順
  6. Googleタグマネージャーを使用してタグを管理する方法
  7. 2023年7月まではUAとの併用がおすすめ
  8. GA4を活用してマーケティングに役立てよう

▼ GA4の初期設定・基本をまとめた資料

【GA4】切り替えガイド|設定方法とレポートの見方

【GA4】切り替えガイド|設定方法とレポートの見方

GA4へ移管したばかりの方、これから使い始める方向けにUAとの違い、GA4の設定方法、レポートの見方などを解説します。

GA4とは

001.png

出典:[GA4] アナリティクスの使用方法

GA4Google アナリティクス 4 プロパティ)とは、2020年10月にリリースされた最新版のGoogle アナリティクスです。ここではGA4が開発された背景や主な特徴を解説します。

GA4が開発された背景

GA4が開発された背景には、従来のUA(ユニバーサル アナリティクス)では、変化の激しいユーザーの行動に追いつかなくなってきたことが挙げられます。ユーザーが商品を購入する場合、一人で複数のデバイスを使用し、Webサイト、SNS、アプリなどをまたいで行動するようになりました。これらを適切に計測するには、デバイスやブラウザを超えてユーザーを判別する仕組みへとアップデートされたのです。

GA4の特徴

GA4の特徴は、UAがWebサイトのアクセスデータしか収集できなかったことに対して、Webとアプリのデータを統合して計測できるようになったことです。Webサイトアプリの両方を運用しているマーケターにとっては、嬉しい機能でしょう。

さらに、AIを活用した分析・予測機能が備わっていることも特徴的です。過去のデータを分析することでユーザーの行動(購入に至る確率や離脱する確率)が予測できます。

蓄積されるデータが多くなればなるほど精度も上がるため、予測された行動を元に広告のアプローチ方法を検討するなど、効率的なマーケティング活動が可能になります。

GA4とUAの主な違い

ここではGAとUAの主な違いについて解説します。

データの計測方法

GA4とUAの最も大きな違いはデータの計測方法です。UAでは、セッションを中心とした「ページ単位」の計測方法が用いられてきましたが、GA4では「ページ単位ではなくイベント単位の計測方法に変わりました。

ページ単位ではそのページを数秒見ただけでも何分もかけてじっくり見た場合でも、ページビューは1になります。またアプリではスクロールしてみていくことが多いためページ遷移がほとんど発生することはなく、ページ単位という概念では、アプリを計測することは難しいといえます。

「イベント」単位の計測では、ユーザーのコンテンツに対する行動、例えばダウンロードや動画再生などをそれぞれ1イベントとして計測します。

計測単位をイベントにすることで、アプリの計測はもちろん、Webサイトの動的に実装されているログイン検索なども計測できるようになりました。

関連記事:GA4のイベントの考え方と設定方法を解説。イベントの種類や分析に役立つ機能

取得できるデータ

UAではページビュー数はデフォルトで計測されていましたが、GA4ではそれに加えてデータ収集を設定すると自動的に収集される「自動収集イベント」、自分で実装しなくてはいけないが事前に定義された名前とパラメータを持つ「推奨イベント」、自分で名前を指定して実装する「カスタムイベント」が収集できます。

自動収集イベントには次のようなものがあります。

● 初回訪問

Webサイトに初めてアクセス、またアプリでは初めて起動したとき記録される

● ページビュー数

ページが読み込まれる、または閲覧履歴のステータスが変更されるたび記録される

● クリック数

現在のドメインから移動するリンクをクリックするたび記録される

● スクロール

ページの90%の深さまで初めてスクロールしたとき記録される

● ファイルダウンロード

ファイル拡張子がついたファイルに移動するリンクをクリックしたとき記録される

● 動画再生(動画エンゲージメント)

動画が終了したとき、動画が再生時間の 10%、25%、50%、75% 以降まで進んだとき、動画の再生が開始されたとき記録される

● サイト内検索

ユーザーがサイト内検索を行うたび記録される

関連記事:GA4のコンバージョン設定を分かりやすく解説!GTMでの設定手順から計測できない場合の対処法

レポート様式

UAとGA4の違いとして、GA4ではレポートが「レポート」と「データ探索」に分かれたことも挙げられます。「レポート」はUAで用意されているレポートと同じように、決まった項目が表示されるため、全体の傾向をつかむのには適しています。

しかし、項目はUAと異なる部分もあり、UAの時にはなかった「エンゲージメント(エンゲージのあったセッション数、平均エンゲージメント時間・ページ表示回数など)」などがあります。

● レポート

レポート画面も変更されていますので、見慣れるまでには時間がかかるかもしれません。ただユーザー数や閲覧数が多いページ、上位のイベントなどの指標を確認することができる「レポートのスナップショット」はカスタマイズ可能なので、マーケターがチェックしやすいように簡易ダッシュボードを作成することができます。

● データ探索

「データ探索」はUAのカスタムレポートに近いものです。レポートに掲載されないデータや分析手法を利用でき、データを詳細に探索できるため、データの深掘りや気付き、発見に適しています。

一方、自分で設定するものなので、分析したい内容を考え項目を選ぶ必要があり、自分で何を調べたいのかを決められなければ、利用できない機能とも言えます。また、使いこなすためにはスキルが必要になるでしょう。

関連記事:【初心者向け】GA4の見方を解説!最低限見るべきデータや探索レポートの使い方

GA4導入のメリット

ここではGA4を導入するメリットについて見ていきましょう。

データの計測が簡単にできる

UAでは、サイト内の行動分析をするためにはコードを書くなど手動での設定が必要でした。しかしGA4では、データを計測する際の設定が非常に簡易化されています。

例えば「サイト内検索」「動画エンゲージメント」「ファイルのダウンロード」など「自動収集イベント」はすでに用意されており、各項目に対して、ON/OFFのスイッチを切り替えるだけで計測できるようになりました。

BigQueryへエクスポート可能

BigQueryとは、Google Cloud Platformで提供されている、ビッグデータプロダクトの1つです。これまではGoogleアナリティクスの有料版「Googleアナリティクス360」で使用可能でしたが、GA4では無料で使用することが可能になりました。

BigQueryの特徴は超高速なデータ処理ができることです。GA4のデータをBigQueryにエクスポートできるようになったことで、高速かつ高度な分析が可能になります。

GA4導入の注意点

GA4を導入する際の注意点についても押さえておきましょう。

まだ完成版ではない

GA4はリリースされていますが、完成版というわけではなく未実装の機能もあります。そのため、現時点のGA4の使い方に慣れることは大切ですが、機能が追加されれば現時点での知識や経験だけでは運用が難しくなってくる可能性があることを理解しておくことが重要です。

新しい機能が追加されて、よりユーザー行動の把握ができるようになったとき、GA4を使いこなせずマーケティングに役立てられないという事態に陥らないように注意しましょう。

GA4 に関する情報が不足している

GA4は完成版ではなく、2020年10月にリリースされた後も機能の追加などが行われています。そのため、GA4の情報を収集しようとしても、紹介している記事では〇年〇月時点での情報という書き方をされていることが多く、現時点のGA4の状況がはっきりつかめないという問題があります。

Googleアナリティクスのヘルプページは、GA4がある程度分かっており困りごとが明確な人は活用できますが、GA4自体がよくわかっていないマーケターは活用しいにくい部分もあるでしょう。

このようにGA4に関する情報はまだまだ不足しているということを前提に情報収集していくことが必要です。

UAからのデータ移行はできない

UAとGA4ではデータの計測方法が異なります。そのため、UAからGA4へのデータの移行・引継ぎはできません。UAが使用できなくなるまで、まだ時間があるからとのんびりしていると、GA4に変更した際にはデータが何もなく、分析ができないという事態を招きます。

GA4を利用するためにはGA4でデータを収集・蓄積する必要があることをしっかりと頭に入れておきましょう。

GA4のプロパティを新規で作成する手順

新規でGA4プロパティを作成する具体的な手順を紹介します。

1.新規プロパティを作成する

ga4_新規プロパティ_01.jpg

初めてGAを利用される方は、左メニューにある「①設定」から「②新規プロパティを作成」を選択します。

ga4_既存プロパティ_01.png
尚、すでにUA(既存プロパティ)がある場合は、画面上にある「開始」ボタンから設定を進めることが可能です。

2.プロパティ名や基本情報を入力

ga4_新規プロパティ_02.png

ga4_新規プロパティ_04.jpg

次にプロパティ名やビジネス情報を入力し「作成」ボタンをクリックします。

ga4_新規プロパティ_03.jpg

従来のUAを利用したい方は「詳細オプション」から一緒にUAプロパティを作成することも可能です2023年7月以降、使用できなくなるため、GA4の導入時期によっては、新たに作成する必要はないかもしれません。

3.データ計測の設定

ga4_新規プロパティ_05.jpg

データ収集先を「ウェブサイト」「Android アプリ」「iOS アプリ」のいずれかを指定します。任意で選んでください。ここではウェブサイトを選択しました。

4.データ ストリームの設定

ga4_新規プロパティ_06.png

データストリーム設定ではサイトのURLとストリーム名を入力します。ストリーム名は何のストリームかがわかるような名前が望ましいです。ここでは「ウェブサイト」としています。

拡張計測機能はONにしたままで、拡張計測機能の設定もデフォルトのままで問題ございません。後から設定を変えることが可能です。

入力後、「ストリームを作成」ボタンをクリックします。これで基本的な設定は完了です。

5.Googleタグの設定

プロパティやデータストリームを作成しただけでは、計測はできません。GoogleタグWebサイトアプリに配置する必要があります。方法は「生成されたタグWebサイトに貼り付ける」と「GTMでタグを管理する」の2つあります。

5-2.生成されたタグをWebサイトに貼り付ける

ga4_新規プロパティ_07.jpg

左メニューの「管理」→「データストリーム」からデータストリームの詳細へ進み、作成したデータストリームを選択します。上部に表示されている、「タグの実装手順を表示する」をクリックしてください。

ga4_タグを手動で貼り付ける.png

Google タグを手動でインストールする」にてタグをコピーして、Webサイトのすべてのページのコード(<head> 要素の直後)に貼り付けましょう。

また、「ウェブサイト作成ツールまたは CMS を使用してインストールする」では、指定されたプラットフォームであればコードを変更せずにGoogleタグの設定が可能です。

「GTMでタグを管理する」については次章にて解説します。

Googleタグマネージャーを使用してタグを管理する方法

前章で紹介したGA4プロパティが作成されていることを前提とし、Googleタグマネージャー(以下、GTM)でタグを管理する方法を紹介します。

1.GTMへログイン

GTM-TOP.png

下記URLよりGTMへログインします。ログイン後、アカウントがない方は、新たにアカウントを作成ください。
Googleタグマネージャー:ログイン

2.GTMタグ・トリガーを作成

GTM-タグの作成.jpg

最初にタグを作成しましょう。メニューの「タグ」→「新規」をクリックし、「タグの設定」を選択します。

GTM-タグタイプ.png

その次にタグタイプが表示されますので「Google アナリティクス: GA4 設定」を選択、タグの設定画面に切り替わるので「測定ID」を入力します。

GTM-測定ID.jpg

測定IDはGA4の管理画面の「プロパティ」から「データストリーム」を選択し、計測したい「ウェブストリーム」を選ぶことで確認できます。

GTM-トリガーの選択.png

続いてトリガーを選択します。今回はPVを計測する設定なので「All Pages(ページビュー)」を選択して保存します。目的に合わせてトリガーを選びましょう。これでタグ・トリガーの設定は完了です。

3.GTMのインストールと設定したタグの公開

タグを設定しただけでは、まだ計測はできません。計測するにはGTMのインストールと設定したタグの公開が必要になります。

3-2.GTMのインストール

GTMのインストールとは、GTMを計測したいサイトやアプリに紐づけるためのコードを指定の場所に配置することです。配置するタグは、GTM管理画面の上部にあるメニュー「GTM-XXXXX」をクリックするとタグが表示されます。

GTM-インストール1.png

GTM-インストール2.png

コードは2つあり、上のコードは計測したい全てのWebページの <head>開始タグの直後、または <head>のできる限り最初の方に配置し、下のコードは開始タグ <body> の直後に配置しましょう。これによって、GTMの設定を利用できる準備が整います。

正しく配置されているかの動作確認をするには、メニューにある「プレビュー」から確認できます。

3-3.設定したタグの公開

GTM-タグの公開.jpg

GTMのインストール完了後、前章で設定したGTMのタグを公開します。公開はメニュー右上の「公開」をクリックし、バージョン名や概要を記入することで公開できます。

GTM-タグの公開_バージョンの登録.png

バージョンは設定内容を公開するたびにバージョンが作成されるので、過去公開したタイミングやどんな作業が行われたかを振り返りやすくなります。そのため、バージョン名はわかりやすい名前を登録するのが良いでしょう。煩雑になりやすいタグの管理を効率化できます。

最後に「公開」ボタンをクリックすると完了です。

4.GA4で計測確認

最後にGA4で計測できているか確認しましょう。タグの公開から反映されるまで少しタイムラグがありますが、即時確認することが可能です。ただし、当日データの反映が行われるのは、24時間以内となります。

GA4-計測確認.png

計測が有効になった場合、上記のように「ウェブサイトのデータ収集は有効です」と表示され、リアルタイム集計(上記画面右下、またはメニューのレポート→リアルタイム)でアクセスを確認できます。計測が正しく動作できていれば、これで完了になります。

2023年7月まではUAとの併用がおすすめ

GA4の利用を開始する場合、2023年7月まではUAとの併用をおすすめします。ここでは、その理由について解説します。

GA4へのデータの蓄積

先述したようにUAからGA4へのデータの移行・引継ぎはできません。そのため、GA4を利用するためにはGA4にデータを蓄積しておく必要があります。

マーケターはデータ分析の際、前年同月比での数値比較を行うことも多いでしょう。UAが使えなくなるのが2023年7月1日のため、GA4で前年同月比での数値比較を行うためには、遅くとも2022年7月からGA4にデータを蓄積する必要があることがわかります。

GA4の利用を始めてもUAと併用するようにすれば、まだUAで分析ができます。データの蓄積のためにGA4の設定は早く行っておきましょう。

学習コスト

レポート様式の項でも触れましたが、UAとGA4ではレポート様式が大きく変更されています。そのため、UAの知識・経験が豊富なマーケターであってもGA4を使いこなすまでには、一定量の学習が必要になります。

また、GA4が未完成なこともあり、情報が不足していることから使い方についてわからないことがあっても、なかなか答えにたどり着けない、または得られない可能性があります。

マーケターは、いきなりGA4を使いこなすことは難しいことを理解し、GA4を早く設定して、UAをメインに分析を行いながら、GA4の学習をし徐々に慣れていく必要があるでしょう。

GA4の設定方法はGoogleアナリティクスヘルプで確認できます。
https://support.google.com/analytics/answer/9306384?hl=ja&ref_topic=9303319

GA4を活用してマーケティングに役立てよう

GA4はアプリWebサイトを横断した分析ができるなど、UAではできなかった多くの分析が可能になります。GA4を使いこなすことによって、マーケティング活動に活かせることも多くなるでしょう。

GA4に早く慣れて、これまでにはない新しいマーケティング施策を考えてみてはいかがでしょうか。

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