いよいよGoogle アナリティクスの画面を設定していきます。
最初に覚えておくべきは、Google アナリティクスのアカウント構造です。

Google アナリティクスでは、「アカウント」「プロパティ」「ビュー」という階層構造があり、それぞれに設定できる内容が分かれています。

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たとえば「計測するサイトのURL」は「プロパティ」で設定しますが、「目標(Googleアナリティクスで計測するホームページ上のコンバージョン)」はビュー単位で指定できます。

このように、階層ごとに設定出来る内容が異なるので、まずはこの階層構造に合わせて設定を進めていきましょう。

Google アナリティクスのアカウント構成

アカウント

アカウント」が最も大きな単位になります。通常は会社名などを設定します。
アカウントには主に、ユーザー管理・権限・変更履歴などのメニューがあります。

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また、全てのプロパティに共通で設定したいフィルタはここで設定します。
たとえば「悪質なクローラーからのアクセス情報は計測から除外したい」のように、全てのデータから除外したい場合はこのレベルでフィルタを設定します。

プロパティ

プロパティは、「同じトラッキングコードで管理したい範囲」を指します。
つまり、同じレポートにデータが入っていてほしい単位です。通常はサイトドメインごとにプロパティを分けたりします。

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プロパティを跨いだレポートの表示・分析は出来ません。
そのため、「メインドメイン(example.com)とサブドメイン(sub.example.com)を跨いだ分析がしたいか、しなくてもよいか」によってそれぞれにプロパティを別にするか同じプロパティにするかが変わります。

跨いだ分析もしたいが、権限の都合などで別々のプロパティにしたい、というときはクロスドメイントラッキングの導入なども検討しましょう。
クロスドメイントラッキングとは何か、については以下の記事を参考にしてみてください。

参考:
アクセス解析の発展|ferret [フェレット]

また、前回の記事でご紹介したように、Google アナリティクスは他のGoogleのサービスと紐付けることが可能ですが、この他サービスとのリンク設定もプロパティ単位です。
1つのプロパティに複数のGoogle AdWordsを連携することも可能です。

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ビュー

ビューはGoogle アナリティクスのアカウント構造の最小単位で、「表示したいレポートが同じ(=分析の目的が同じ)範囲」です。

たとえば、同じサイトでも「採用ページ」「サービス紹介ページ」は担当者も目的も別々です。

こうした場合は、「サイト全体のビュー」「採用ページだけのビュー」「サービス紹介ページだけのビュー」をそれぞれ作ります。
採用担当者・サービス担当は普段それぞれのビューのみを見るようにし、サイト全体を見る必要があるマーケティング担当者や経営者などは「サイト全体のビュー」を見るようにします。

アカウント構造のまとめ

アカウント・プロパティ・ビューの構造を再度見てみましょう。

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アカウント1つにつき、50プロパティまで紐づけることができます。
1プロパティにつき、25個までのビューが設定可能です。

それぞれの違いを正しく理解して、自社に合った設計にしておきましょう。

管理方法のオススメ

ビューは最低3種類用意する

上で、ビューは分析の単位、という説明をしましたが、最低限作っておくべきビューがあります。
それが*「何も加工しない用」「検証用」「本番用」*の3種類です。

前述のとおりに、部署ごとにビューを分けたいときなども、この3つは最低限作った上で、「何も加工しない用」のビューをコピーしてカスタマイズしていくことで個別のビューを増やしていきます。

「何も加工しない用」のビュー

「何も加工しない用」は文字通り、フィルタ設定やコンテンツグループ(サイト内のコンテンツを任意にグルーピングする機能)など、あらゆる設定をしていない状態のビューです。

後から新しいビューを設定したいときは、このビューをコピーし、必要に応じた設定を追加していく形にします。

そのため、なるべく加工しない「素のデータ」が入った状態にしておきます。

「検証用」のビュー

このビューは主にGoogle アナリティクスの設定や実装に変更を加えたときに、データが想定通りに取れているかを確認するためのビューです。
ビューのフィルタの設定で自社のIPアドレスからのアクセスのみが記録されるようにするなど、「自社のアクセスだ」ということが明確にわかるような設定にします。

とくにサイトに手を加える実装を行った場合には、Google Tag Managerのプレビューモードなどを活用しながら必ず検証用のビューで実装に問題がないか確認します。

「本番用」のビュー

検証用のビューとは逆に、普段データを分析する際には、自社や関連会社のデータは除外する必要があります。

「購入完了ページがたくさん見られています!」と喜んでも、実は半分以上が社内の開発担当者がテストしたためのアクセスだった、では意味がありません。

そのため、このビューには、自社や関連会社のIPアドレスなどで「分析用のデータに入れたくないデータ」をフィルタする設定が必要です。

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プロパティとビューを上手く使い分ける

プロパティとビューの違いについては、イメージがついたでしょうか。
以下では具体的な例をいくつか出して、プロパティとビューの使い分けを説明していきます。

もちろんサイトによって、このやり方が正しい時も正しくない時もあります。
自社のサイトではどちらの方法がいいか、参考にしながら考えてみてください、

複数サイトを扱う場合

サイトが複数ある場合には、サイトごとにプロパティを別にし、必要に応じてクロスドメイントラッキング用のプロパティをさらに作ると良いでしょう。

「同じトラッキングコード」「同じ計測のカスタマイズ設定」をしない方がよい場合は、プロパティを別に分けるのが基本です。

たとえば採用サイトと、ECサイトを1つのプロパティで計測するとどうなるでしょうか。

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採用サイトでは目標として「応募要項の閲覧」「応募完了」などを設定します。
一方でECサイトでは「商品をカートに追加」「購入完了」などが目的になります。
この両方が同じレポート上にあると見方も複雑ですし、サイトへのカスタマイズも複雑になります。

もう1つは、サイト間の行き来を分かりやすく計測するためです。
以下のように、サイト間の導線をパラメーターで管理している企業は多いのではないでしょうか。

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Google アナリティクスでは参照元の情報が変わるとセッションが変わるという特殊な仕様があります。
そのため、上の画像のようなときに同じプロパティで計測すると、セッションが2重にカウントされてしまいます。

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このように、基本的にそのサイト内で独立して分析したい場合は、プロパティをそれぞれのサイトごとに分ける方法が一般的です。

特定のディレクトリのみを扱う場合

この場合には1つのプロパティでサイト全体を計測し、関連するページごとにビューを分けることをおすすめします。

例えば「採用ページ(example.com/recruit/配下)」と「サービス紹介ページ(example.com/service/配下)」では分析の目的が異なります。

example.com/recruit/配下
・採用情報のページ
・見てほしい人は「自社に応募してくれる人」
=「どの職種がどのくらい見られたか」「応募する前にどんな情報をチェックしているか」を分析したい

example.com/service/配下
・サービス紹介ページ
・見てほしい人は「自社のサービス導入を検討してくれる人」
=「どのサービスがどのくらい見られたか」「サービス内容・プラン内容などのページをちゃんと見てくれているか」を分析したい

この場合はそれぞれにビューを分け、採用担当者が採用ページ用・サービス担当者がサービス紹介用のビューを見るようにします。

ここでプロパティを分けてしまうと、採用ページとサービス紹介ページを跨いだ分析ができなくなります。
そのため、サイト全体のパフォーマンスを確認しようとしたときにおかしな数字になってしまいます。

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上記のように、ユーザー数が実際以上にカウントされてしまったり、「サービス紹介ページを見ているけど実は応募希望者だった」というのが分からなくなってしまいます。

まとめ

Google アナリティクスのアカウント構造は理解できたでしょうか?

プロパティとビューの使い分けは特に頭を使うところでもあるので、基本的には「サイトごとにプロパティを作る」「レポートの目的ごとにビューを作る」という基準でまずは始めてみるとよいかもしれません。

ここで決めた設定がその会社のルールになるといっても過言ではありません。
自社にあった設定を、一度じっくり考えてみてください。